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レンズ千夜一夜

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2090 エキササイズ(2019年1月13日パンタッカー75mmF2.3で奈良町撮ると、幸せな気分に)エクササイズの日々



アーシングを始めて以来、かなり絶好調気分。
疲れを感じず、翌日に疲れが残らないのです。
もちろん水素吸引も含めての毎日のエキササイズにも
大きな貢献を見ることができますが、
とにかくアーシングの効果は絶大。

朝の儀式を書いておきますと、
目覚ましがなったら、即座に目が覚めます。
まず布団の上で両足を突き上げ、
ぶらぶらと揺さぶり運動。
これによって、体の端に貯まった血液を中央に戻します。
まあ、そういう効果があると聴きました。

ほんとかどうかは知りませんが、
これで確かにすかっとして、さっと起き上がり、
側のヨガマットに移り、
上に置いたストレッチポールで、
ポールを横にし、縦にし、各40往復ゴロゴロ転がって、
背骨を伸ばします。
これはかなり効果的という感じがします。
終わると、さっとポールを脇に立てて、ヨガマット上、
20分間十数種類の自分で考案したストレッチを、
ゆっくりとした速度で楽しみます。
これらの運動で全身かなり柔らかくほぐされ、
血流もぐんぐんと流れをよくしてくれる、そう信じています。

朝食は洋式にパンと紅茶とシリアル。
シリアルは2種類、これに干しぶどうとバナナ半分、
ミルク、ヨーグルトをミックスして、これが主体。
美味しい朝食を済ませ、洗面をします。
退職すると、髭を蓄える方がかなりおられます。
私は貧相がなおさら貧乏たらしくなるので、
きちんと髭を剃ります。
その都度、櫛の歯をやわらかティッシューで拭い、
(まだ生きているようなものです。
水分は厳禁だそうで、おそらく頭髪の油が命の素)
これで朝の支度が完了。

そのあと寝室に戻り、
夫婦の寝具を畳んで押し入れに収め、
(私は寝具を①一ひねり、②二つ折りの手順で、
瞬時にきちんと畳むことができます。
何十年とやってきたので、当たり前。
寝具を押し入れに収めるのも運動の一種)
そして、昨夜洗った食器を食器棚や棚にきちんと収め、
朝食の食器を洗い、食卓を整理して、
朝の作業、終わり!
大体40分かかります。

でも、まさに流れ作業ですが、一つ秘訣。
寝室の整理にかかった後は、可能な限り、
コードレスイヤホーンを耳にセットし、iPhoneのYouTubeで、
ナショナルジオグラフィックのHistory Channelのような、
啓発的な番組に耳を傾けながら、作業するのです。
沢山収集した老読本を聞くこともあります。
これでますます元気が出るので、退屈せず、
はかどる作業を毎日重ねることで、流れ作業が身につきます。

実はこれ、すべて老化防止策。
たいてい、これらの作業が済むと、
アーシングウッドに出かけます。
アーシング、撮影、浄化、運動、幾重にも役立ちます。
こんな神秘の森(と言っても、小さなものですが)が、
我が家から徒歩数分で、しかも誰にも出会わず入り込めるのです。
天の恵み、それ以外にはありません。

ある朝、
その森に入る道(バス道から神域をぐるっと半周する迂回路)で、
溝に落ちた椿の花を撮っていると、
ときどき出会う60年配のがっしりとした男性が、
にこにこ笑いながら、尋ねてくれました、
「なにか良いものがありますか?」
こんな風に人に笑顔を見せることができる人には、
ほとんど出会いませんね。
うれしくなって、
「この神域で出会うもの全部がいいですよ。
この椿を見てください。
もう溝に落ちてしまったけど、
まだ嬉しそうに頑張っているじゃありませんか?
我々みたいなものです」
その人、ますます笑って、別れました。
この人とはその後も会うたびに10分ほど立ち話をします。
彼だけです。
笑顔一つ見せず、挨拶もしない人がほとんど。
大阪の下町とは大違い。

退職したとき、ほとんどの人は、どうやら、
「ああ、これで私の人生も下り坂になった。
納め時に近づいたなあ」
私は違いました。
職員たちに拍手で送り出された瞬間、感じたことは、
「ああ、これで自由になった!
これからがぼくの人生だ!」
何十年という職業生活で、やることはやった、
でも、社会への貢献はこれで終わり!
あとは自分のために生きるぞ!
それが私が待望した瞬間だったわけです。

どなたにもそんな気持ちは大なり小なりあるのでは?
でも、自分の職業、社会的地位を自分と思ってしまった人には、
「生身の自分こそ本当の自分で、
職業、社会的地位なんて、ただの衣服に過ぎない」
と考えるのはとても難しいようです。
私は、職業に就く前に、大先輩の講義を受けました。
「君たちねえ、みんなが君たちに頭を下げるだろうけど、
それは君たちの職責に頭を下げてるだけで、
君たちに本心から敬意を払っているんじゃないよ。
そのことを一生忘れちゃいけないよ」
私は、記憶力は抜群に悪いのに、
このときの先輩の表情、言葉はけっして忘れませんでした。
今でも、その場の情景をくっきりと思い出します。
それは底の底から私を粛然とさせる体験でした。
人生の恩人の一人だった、私はそう考えています。
彼の言葉は一生役に立ちました。

よく考えると、私の人生って、こんな恩人たちのお陰で、
なんとか保っているようなものですね。




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by Sha-Sindbad | 2019-06-08 23:32 | PanTachar75/3.5 | Comments(0)

2086 刻み込む(2018年12月17日キノプラズマート25㎜F1.5が奈良町を重厚に捉えた)



宮崎貞安さんからキノプラズマート50㎜F1.5の復刻版、
VarioPrasma50mmF1.5
が送られてきたことはすでに報告しました。
同時に送られてきた超大口径レンズ、
ISM50mmF1.0を早期に返還しなければならない都合上、
VarioPrasma50mmF1.5の試写は後回しになっています。

その間に、ほぼ同等の条件で撮られたCマウントレンズ、
キノプラズマート25㎜F1.5
の写真群をご覧頂くことにしましょう。

このレンズをオリンパスE-PL1に付けると、
見かけ上の写りは50㎜レンズ相当となります。
私には確認しようもありませんが、
おそらくオリジナルのキノプラズマート50㎜F1.5とは、
異質かつ一段落ちる画質だろうと思います。
でも、キノプラズマート25㎜F1.5にはそれなりに、
キノプラズマート族の一員であることの誇りが感じられます。
私にとって、という限定付はありますが、
いつもどこか誇りに充ちた毅然たる香りが燻り立つ感じがするのです。
でも、私のひいき目に過ぎないかも知れません。

とにかくずらりと並べて、
ごらんに入れることにしましょう。




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by Sha-Sindbad | 2019-05-25 23:33 | Kinoplasmat25/1.5a | Comments(0)

2082 晩秋(2018年12月6日奈良町とズマロン35㎜F3.5は相性がよかった)



目を開いて探すと、面白い言葉がいろいろと見つかるものですね。
今度見つかったのは彫刻家のイサムノグチの言葉。

 日本では、人が年老いて最後にたどりつく趣味は石だと言われている。
 ただの石、自然のままの石が玄人の目には
 すでに出来上がった彫刻なのである。
 しかしこの言い方は完全には正しくない。
 肝心なのは見る観点だ。
 どんな物をも、一個の古靴でさえも、
 彫刻となるものは、
 その見方と置き方なのである。

うれしい言葉です。
ロボグラフィについても、まったく同じことが言えるのですから。

 どんな物をも、一個の古靴でさえも、
 ロボグラフィとなるものは、
 その見方と置き方なのである。

大抵の方は承服しないで、
こうおっしゃるでしょう。

 どんな物をも、一個の古靴でさえも、
 どんな風に見方と置き方を変えても、
 写真とはならない

もちろんおっしゃるとおりです。
「ロボグラフィ」なる写真分野は存在しません。
私がロボグラフィと称して撮っている写真は、
誰の目から見ても、「写真作品」と言えるものではありません。
第一、私も「写真作品である」と称したことはありません。
私は、だから、アマチュア写真家であると自称したこともありません。
ただの写真好き。

もっとも、こう言い張るからと言って、
なにか一層高級なステータスを自ら放棄したつもりもありません。
多くの敵を作る危険を冒して断言しますと、
「もし、写真家を一個の独自な視点で写真作品を創造する人
と規定するならば、
アマチュアはたくさん居るけれど、
写真家と言える人はほとんど稀にしか居ない。」
こんな視点から見れば、「私は写真家です」という言葉は、
ほとんどの場合、自称、願望表現に過ぎないことになります。
だから、私が「写真家ではございません」と言ったからと言って、
別にことさらに卑下したり謙遜したりしたわけじゃありません。

私が敬愛する二人の写真家、
アンリ・カルティエ・ブレッソンと木村伊兵衛は、
いずれも視点も撮り方も違いますが、
人間を中心とするスナップ写真で一家を成しました。
二人の作品を眺めていきますと、第二次世界大戦を挟む時代の
人間相、社会相が巧まずして浮かび上がってきます。
生の人間たちが時代の中でどんな風に躍動していたか、
という人間的真実のドキュメントとなっています。

カルティエ・ブレッソンの言葉はそれを表しています。

  どんな人をも、一個の影でさえも、
  写真ドキュメントとなるものは、
  その見方と撮り方なのである。

カルティエ・ブレッソン、木村伊兵衛は、
そんな写真ドキュメントとなるよう、自分の写真を撮ったのです。
でも、彼らだけではありません。
当時世界に輩出した偉大な写真家たちは、
当時の時代層、社会、人間の生き方を活写し、
後世のために貴重な記録を残してくれました。

私のロボグラフィは、そんな記録とはなりえません。
カエサルの史上最短の報告文が、
「来た、見た、勝った」でした。
私のロボグラフィもそれです。
「来た、見た、撮った」
カエサルの報告は外敵の侵入を防ぐことができた、
という共和国の運命に関する公的な報告でした。
私の報告は、あくまでもプライベート。
ですから、私のロボグラフィは写真作品にはなりえないのです。
そのつもりすらまったくないのですから。

人間は孤島です。
ヴェトナム戦争で、米軍は見晴らしの良い高台に砦を構えたところ、
かえってヴェトコンに包囲され、曲射砲の雨にさらされました。
兵士たちはそれぞれ小さな穴を掘って身を隠しました。
地面に下方から飛んでくる弾丸からは安全でしたが、
弧を描いて飛び込んでくる曲射砲の砲弾を逃れる術はなく、
ひたすら自分の穴に的中しないことを神に祈り続けました。
でも、いつかは頭の上に落ちてくる砲弾を見たかもしれません。

人間はみんな米軍海兵隊員と同じ運命にさらされています。
彼らの何人かは、幸運にも弾丸を見ることなく、
救援を受けることができました。
私たちの場合はいつか必ず落ちてくる砲弾を受けるのでしょう。
誰もヘリコプターによる救援を受けることはできません。
でも、一つ、慰めがあります。
いつ弾丸が落下してくるか、誰にも分からない!
知らない間に、やられてしまうこともある!

マルティン・ハイデガーは「常に死を忘れるな」と教えました。
私はついにハイデガーの生徒にはなりませんでした。
忘れてもいいなないの?

  「常に死を忘れよ」
  「今、この瞬間に集中せよ」

それが私のモットーです。

私は道を歩くときは、それがどこであれ、
カメラを手にしていますが、
自己集中力に優れた人は別として、
私のように注意力散漫な人間には、
これ以上に今、この瞬間に集中できる方法はありません。

注意力は散漫でも、持続力だけは人に負けない私は、
この習慣を45年以上続けてきました。
ロビン・フッドは死のベッドで、名優のリトル・ジョンに助けられて、
愛用の弓で窓の外に向かって一本の矢を放ち、そして、息を引き取りました。
理想の死に方ではありませんか?
私もそうしたいですね。

さて、奈良町をソニーα7にズマロン35㎜F3.5を付けて撮りました。
このレンズを」使うたびに、このレンズの懐は深い、そう感じます。
どこに行っても、しっかり私の気持ちに沿ってくれます。
イサムノグチさんにしたがって、こう言ってみたくなります。
 
 どんな物をも、一個の古靴でさえも、
 ロボグラフィとなるものは、
 その見方と置き方なのであるが、
 それでもズマロンで撮ったときの気分は格別。



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by Sha-Sindbad | 2019-05-14 22:25 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

2081 凄い子供達︎(2018年11月28日奈良町をダルメイヤー25㎜F1.9が忍びやかに)



偶然、凄い子供達をyoutubeで知りました。

  日本生まれ日本育ちの川上拓土くん(8)
  【驚愕】倉敷で観光ガイドする子供が凄すぎる!
 
とにかく流暢な本格的英語ガイドです。
でも、ただ暗記しているのではありません。
外国人ツーリストと当意即妙、ウィット一杯に受け答えして、
まるでベテランのガイドさん。

拓土くんだけではありません。
いくつもビデオがあるようです。
どうやら新手の英語力アップの秘法ということらしい。
でも、一体どうやれば、こんな離れ業をできるのでしょう?
自分自身と比較して、つくづく賛嘆せざるをえません。

また、あちこちに幾人もいるようです。
その1人に、ツーリストの男性がつくづくと、
「ぼくは英語教師なんだけど、
これまで教えた誰よりも優秀だよ」
こんな子供たちが出てくるほどに、
日本の子供達は国際化しているのでしょうか?

3つか4つのビデオしか覗いていませんが、
子供達ののびのびとした受け答えにつくづく讃嘆し、
ついで、我が身を振り返って、恥ずかしくなりますね。
すでに海外旅行をする資金も尽き、
ご覧のように、ほとんど徒歩を移動手段として、
近場ばかり歩き回っています。
普段、日本語会話さえあまりしないので、
だんだんと語学力全般劣化の一途を辿っている感じさえします。

せめて写真撮影の腕だけは現状を保ちたいものです。
でも、どんな能力にも言えることですが、
現状を維持したければ、現状をしのぐレベルアップを目指して、
一層の努力を重ねなければなりませんね。
私のように、ほとんど同じ場所で、完全に同じ撮り方をする限り、
技術も感性も貧弱になっていくものです。

そこで、頼りたい奥の手があります。
名レンズたち。
今回は、ダルメイヤー25㎜F1.9。
奈良町のロボグラフィたちをほんのりとキャッチしてくれます。
廉価版のチビレンズですが、
本サイトですでに40回も採り上げた、私の大のお気に入りレンズ。
私にとっては、この古めかしいペッツヴァール表現に出会うたびに、
現代レンズの完璧描写にどうしても馴染めないのはなぜなのか、
よーく分かる感じがします。
そんな私の気持ちはおそらくどなたにも理解していただけないでしょう。



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by Sha-Sindbad | 2019-05-08 17:45 | Apoquaria28/2 | Comments(0)

2076 威風堂々(2018年11月18日ホロゴン15㎜F8が奈良町を闊歩して)



この頃、素敵な言葉がよく見つかります。

「藁屋に名馬を繋ぎたるがよし」

室町の茶人、村田珠光の言葉だそうです。
同種の馬群の中を駈けていると、観る人が観れば分かるのでしょうけど、
観る目のない人には、どれが名馬でどれが駄馬か、分からないものです。
でも、藁屋にただ一頭繋がれている姿を見れば、
誰の目にも名馬のただならぬ輝きには目を見張るでしょう。

アートはすべてコントラストが鍵です。
というより、この世界のすべてはコントラストが鍵です。
ホワイトヘッドは、存在が創造的に変化していく鍵はコントラストにあるとしました。
どんな存在も安定、静止は堕落に通じます。
生きるためには変化し、向上するしかないのです。

トインビーは文明の誕生、発展の鍵は「挑戦と応戦」にあるとしました。
彼の名句は「オールを休めると、文明は滅亡する」
人間もそうですね。
オールを休めると、失速し、老化し、死に至ります。
無敵の勝者がいつか無残にも一敗地にまみれる運命に見舞われるのは、
新しい状況に、かつて無敵であった手法をいつまでも使い続けようとするためです。
死ぬまで失速したり老いたりしたくなければ、オールをこぎ続けること、
どんどんと革新していくこと、これしかないのです。
あなた、テレビづけになっていませんか?
新しい情報を手に入れたい?
だったら、パソコンで十分。
しかも、そんな新しい情報があなたにどれだけ役に立ちますか?
泡と消えて行って、昨日のニュースがなんだったか覚えていますか?
生きることはニュースを追い求めることではありません。
自分自身の成長に役立つなにかを手に入れ、変化し続けること、成長し続けること、
ではありませんか?

ホワイトヘッドの最重要のコンセプトは「新しさnovelty」でした。
旧套墨守は退歩の引き金、
新しさが躍進の引き金、というわけです。
でも、新しさは従来の生活、従来の見方の延長上には見つかりません。
まったく新しい場に自分をどんどん自分を置いていかない限り、
新しさに直面することはできません。

こんな風に考えると、はたと気づきます。
私のように、どこにも行かないで、いつも同じ場所で写真を撮っている人間に、
新しさはどこにあるでしょう。
どこにもないかも知れません。
でも、私のモチベーションは落ちません。
新しさは外になくてもよい、
内に新しさを感じることだって、できるはず、私はそう考えたいのです。

私のロボグラフィに新しさなどありません。
私にとっては、写真としての新しさなど無関係。
私は写真家ではないのです。
自分の人生に写真を活かしたいだけ。
私にとっては、今日、このロボグラフィに出会ったこと、
それが新しい体験。

こんな私に、村田珠光の「藁屋に名馬を繋ぎたるがよし」はどんな意味を持つか?
私は「人生、意気に感ず」という言葉が大好きです。
余談ですが、古代から中国人が一番大事にしてきた価値はなんだと思いますか?
私は「義」だと思います。
「義を見てせざるは勇なきなり」
これも名言ですね。
司馬遷の史記が今なお私たちの心をときめかせ続けるのは、
中国人が文字通りこの言葉を生きてきたからですね。
一度約束したら、生涯守り続ける、
状況の変化なんていう現実主義はとらない、これが古代中国人でした。
諸葛孔明なんて、自分を見いだしてくれた劉備との約束を守り続けることで、
一生義を守り、義に死んだ人間ですが、
そのような人が文字通り山ほど居るのが中国史の面白さです。
私もそんな人間でありたいと願ってきました。その一つの実行が、「始めたことはやめない」です。
妻と一生生き続ける、というのが、私にとって最も大切な義なのですが、
このいわば大義に続いて守ってきたのが、
実のところ、写真を愛し続けることでした。
(音楽への愛情は実のところ妻よりも古いのですが、
これは妻も同様なので、お互い、許し合っているわけです)

職業生活の日々は長く厳しい時代ですが、
それを一度もくじけずに、心身を壊さず生き延びることができたのは、
どんなに忙しくても、どんなに仕事が待っていても、
毎週末には撮影に出て、ロボグラフィをとり続けたことでした。

風景写真家はどうやら季節に左右されるようです。
季節ごとに被写体となる風景を追い求めるのですが、
たとえば、冬枯れともなると、長い休眠に入ることとなります。
目的地の往還はひたすら移動だけ。
ロボグラフィは違います。
一歩家を出た瞬間から撮影は始まります。
そして、家に入る瞬間まで撮影が続きます。
観ることは、ロボグラフィと出会うこと、
そして、ロボグラフィはどこにでも隠れているのですから。
「藁屋に名馬を繋ぎたるがよし」
なんでもない道ばたにはそんな名馬が待っているのです。
私にとって、「名馬」とは、私をはっとさせる存在。
やあやあ、そんなところで、頑張ってるじゃないか!
そう感じさせてくれるものたち、それがロボグラフィ。
私の写真は全部そんなロボグラフィ。
そして、私も社会の中で、
道ばたのロボグラフィとまったく同じ存在です。
誰も私のことなど気にとめない。
誰も私のことを忘れている。
でも、私の心は生き生きと躍動しています。
私は、体格も普通で、容貌、容姿はさえず、
風采の全然上がらない人間ですが、
でも、目だけは生き生きしています。
どの瞬間、どの場所でロボグラフィたちに出会えるか、
完全に予測不能の人生なので、
油断できず、心をわくわくさせて周囲を観察しつつ歩き回っているのですから、
私にとっては、「途中」というものがありません。
絶頂体験の可能性を秘めた瞬間で満ちている!

こんな風に感じられるようになったのも、
私が常に写真でその体験を記録できるという態勢を創り出したからです。
どんな人も自分の好きなこととなると、
目が輝き、動作がキビキビとしはじめます。
私にとって、全瞬間がそれなのですから、
ずっと私の心は生き生きとし続けている。
自分で意識的に生み出した生き方ではありません。
私の人生にいつしか染みついた生き方です。
だから、私にとっては本物。

ホロゴンをソニーα7に付けて、
奈良町を歩きました。
他のどんなレンズとも異なる描写をプレゼントしてくれます。
完璧に近い補正が施された現代レンズの愛用者には、
容認しがたい癖の画像でしょう。
私のブログ写真など、現代のほとんどのアマチュアカメラマンの目には、
容認しがたいほど稚拙な失敗画像と映っていることは、私も承知しています。
それでよいのです。
おかげで、私はひっそりと自分のブログ日記を楽しめます。




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by Sha-Sindbad | 2019-04-18 23:24 | Hologon15/8 | Comments(0)

2075 傾国のレンズ(2018年11月17日奈良町のビオゴン21㎜F4.5の足取りは重く)



ツァイスの35㎜判用広角レンズの最高峰は、もちろん、

  hologon15㎜F8。

いわゆる35㎜判の広角レンズとして、
ツァイスばかりではなく、世界的に見ても、白眉、
私はそう確信しています。
全部使った訳ではないので、実地に確認したわけではありません。
でも、やっぱりそう確信していることは否定できません。

ホロゴンほどのレベルではありませんが、
使う度に、「これはこれは、やっぱり凄い!」
そう感嘆させられてしまうのが、

  ビオゴン21㎜F4.5

現代にも同名のレンズがコシナから発売されて、
評判が良いようです。
おそらく昔のビオゴンのレンズ特性の改良版なのでしょう。
でも、私にとっては、この現代の改良がくせもの。
オリジナルビオゴンの癖を取り、遙かに高性能にする、
このコンセプトが私にとっては迷惑そのもの。
そのような改良の行く先は常に、超シャープ主義。
名レンズを名レンズたらしめている所以は、
常に、シャープネスの面ではない。
生き生きとして、圧倒的な深みに満ちた再現性、
これではないでしょうか?

私の友人はかつて、こう言っていました。
「ビオゴンは20世紀の十大発明の一つや!」
ちょっと大げさですが、
ハッセルブラッドのSWCの38mmF4.5、
オールドコンタックスの21mmF4.5、
この2本のビオゴンを使ったことがある人なら、
ほぼ完全に納得するでしょう。

ほぼ完全なレンズ性能、
完璧な精密感、
並ぶもののないほどの透徹した清澄な味わい、
リアルなのだけど、その陰から立ち上る異界の香り....

中国では、最高の美女は「傾国の美女」と呼ばれました。
私にとっては、ビオゴン属は、ホロゴンに次ぐ傾国のレンズ。
私の財政はこれらのレンズによって確かに傾きました。
やれやれ...........




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by Sha-Sindbad | 2019-04-16 23:40 | Biogon21/4.5 | Comments(0)

2073 小は大を兼ねる(2018年8月8日奈良町でのメオスティグマート50㎜F1は至宝かも?)



久しぶりにチェコのレンズを奈良町に持ち出しました。

  メオスティグマート50㎜F1

どうやら映写機用レンズらしい。
絞りもないし、ヘリコイドリングもない。
ずどんと、ただの筒型のレンズ。
ヨーロッパの知恵者が超硬度の厚紙で作った筒にこれを収めて、
ソニーα7のマウントを付けてくれました。

なにしろ超大口径で、無限大から超接写まで自由自在の、
機能は限定され、周辺光量は落ちますが、
その代わり、適材適所で超絶写真が撮れます。

ソニーα7に付けて持ち出しました。
おそらく感度を50まで落として設定できるデジタルカメラは少ないでしょう。
しかも、50㎜の焦点距離のまま使えるので、撮りやすい。
改造者は、まさに最上のカメラで使えるようにしてくれた訳です。

ebayで落札した当初は、カメラを下に向けると、
レンズが滑り落ちそうになりました。
なぜか今ではそのようなこともなく、
なんのストッパーもないのに、レンズは紙製鏡胴から滑り出さず、
フォーカシングの滑らかさも文句なし、という状態に落ち着いています。
改造者の丁寧な心遣いを実感することができます。
万事に丁寧、周到な仕事ができる人でないと、こうはならないでしょう。
並の人ではないかも知れません。




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by Sha-Sindbad | 2019-04-11 23:41 | Meostigmat50/1 | Comments(0)

2070 いつもの風景(2018年11月13日奈良町に久しぶりトポゴン25㎜F4が鋭く切り込み)



久しぶりにトポゴン25㎜F4を使いたくなりました。

ちょっととぼけた語感とは裏腹に、
極めて敏感に斬り込んでくれるレンズです。
コロッセウム風のすり鉢型形状がとても美しい。
剛健な仕事レンズ風デザインのツァイスレンズの中では、
ライカ専用ホロゴンと並んで、
もっともアーティフィシャルなデザインと言えそうです。

ご承知かどうかは知りませんが、
私はどんなレンズも開放でしか使いません。
近頃、21㎜レンズをホロゴンと対等の条件で競わせるために、
f8に絞って撮ることがあります。
こうすると、ホロゴン同様に、パンフォーカス設定で、
ひたすら感じたら即シャッターを落とすというスタンスで、
軽快に使い続けることができます。
でも、正直なところ、それじゃ、なんだか面白くない。
21㎜超広角レンズでもボケ味を味わいたいのに、それができない。
ここらあたりがどうやらひっかかるようです。

トポゴンは開放重点で撮りました。
温かい感触があって、やっぱりトポゴンは頼りがいがあるレンズ、
そんな印象。
どうやら28㎜とほとんど同じ感覚で使えそう。




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by Sha-Sindbad | 2019-03-31 22:42 | Topogon25/4 | Comments(0)

2066 幽暗(2018年9月19日奈良町の秋をキノプラズマート20㎜F1.5がどっぷりと)一つの終わり



写真家吉田正さんが指導する写真教室の受講を続けて4年経ったと思います。
とうとう写真教室を卒業する日が来ました。

もとより、私が写真教室に通うこと自体が、
いわば自己矛盾に近い異常事態でした。
私はとっくの昔に、
写真家としての表現行動など無縁の人間になっていたのですから、
今更写真を勉強するもなにもあったものではない。

でも、無理を承知で写真教室に通い始めたのは、
長年続けてきた稼業から足を洗って引退したからです。
なにもやることがないというのも退屈、
幸い私が十年来私淑し、交友を続けてきた写真家の吉田正さんが
西宮で写真教室を手広く開いておられる。
じゃ、吉田さんの写真談義を聴きにいこう、
ということからでした。

期待したとおり、吉田さんの講義は楽しいものでした。
吉田さんが梅田に教室を開かれた機会に、
私も梅田に移りました。
さすが大阪です。
すでにそれぞれにその人なりの写真を撮る人たちが揃いました。
吉田正さんの講義もさらに充実し、
みなさんの写真も楽しい、
ということで、写真教室をずいぶん楽しんできました。

でも、昨年来、教室は次第に成長しはじめました。
ただの写真教室ではなく、
吉田正さんの傘下の写真家集団の一翼という色彩に染まり始めたのです。
これには参りました。
私は、ちょっと表現が奇妙ですが、
骨の髄まで写真家ではない人間です。
ただの写真趣味。
表現なんて、実のところ、写真趣味45年の間に、
ひとかけらも頭の隅をよぎったことがない人間です。
最初の最初から、私はレンズに頼りっきりの、
いわば、「撮れちゃった写真」だけ。
写真展も幾度か楽しみましたが、
これも、はっきり言って、私に関する限りは「写真展ごっこ」でした。

そんな私を見事に見抜いたのが、最初の師匠、田島謹之助さん。
落語家立川談志の「抱腹絶倒落語家列伝」は、
田島さんが談志師匠に、かつて撮り貯めた昭和の落語名人たちの写真を、
フィルムもろとも一切合切贈与したことがきっかけ。
田島さんの見事な写真がびっしり収められて、見応えがあります。
その田島さんと中国旅行で知り合って、
「よろしかったら、写真見てあげましょうか?」
これがキッカケで、いわば田島さんの写真の弟子になったのですが、
最初の頃、あきれたように、というか、あきらめたように、
こうおっしゃったことを思いだしました。

「あのねえ、※※さん、
あんたの写真、一見すると、いかにも意味ありげなんだけど、
よくよく見ると、なーんにもないんだよねえ。」

当たり前です。
私は、写真を始めてから今日まで、
写真に意味をもたせたり、
情景に何か意味を感じて撮影したり、
というようなことを一切したことがないのです。
私に限って言えば、
写真は表現ではありません。
たった一つあるとすれば、
「この瞬間、ぼくはこれに出会ってよかった、と思った」
ということ位。
そこから出発して、写真に撮ることでなにかを表したいなんて、
これっぽっちも考えたことがないのです。
「よかった! パチッ(シャッター音)」
ただこれだけ。
このときなにかを感じたことは間違いがありませんが、
そんな私の気持ちなど、写真に込めようとしていません。
ただのロボグラフィの目撃報告。
これまさに素人写真。

私はそれを隠そうとしたこともありません。
誰でも見たら一目瞭然なのですから。

現在の私の写真の撮り方にそれがはっきり現れています。
半分はノーファインダーで、
どう移るか確認もしないで、撮っています。
残りの半分は、液晶ファインダーを拡大表示して、
ピントを合わせると、シャッターを落とします。
その瞬間、液晶ファインダーは通常の表示に戻りますが、
そんなものはまったく見ていません。
そんな写真を、たとえば、ブログでは、撮影順に、トリミングなどせず、
白枠を付け、編集画面で私の一定の濃度にそろえるだけで、
ブログに順番にアップしているだけです。

それでも、かなりしっかりとした構図で撮れているように
ご覧いただけるのでしたら、
それは、私の撮影経験の長さ故であるとともに、
ロボグラフィであれ、ストリートスナップであれ、
どんなものを撮るにしても、最大限接近して撮るので、
それだけが写り、
無用なものが写ることがとても少ないからです。

水平垂直がかなり保たれているのは、
スナップであれ、ロボグラフィであれ、
カメラ、レンズは常に垂直と
調練しているからです。

私は曲がったことが大嫌いですが、
曲がった写真も大嫌いだからです。

写真家が水平垂直を動かすのは、表現意図からであって、これは別論です。
でも、単にカメラになれていないために、
水平垂直が撮れていないのに、
わざと歪めてみました、なんてしたり顔で言い訳をしますと、
心の中で「嘘付け! 下手くそ!」とつい言ってしまいます。

アマチュアが写真家から、
「これはなにを表現したかったのですか?」と尋ねられると、
「現代の孤独を象徴したかったのです」
なんてしたり顔で聞いた風な口を利くと、
やっぱり、
「嘘、嘘! 
ただ撮れただけの写真にそんなこじつけ、よしましょうね」と、
心の中でささやきます。
そして、そんな人とはお付き合いは遠慮することにしています。

というような次第で、
私としては、柄にもないことはあっさりやめにして、
一人でロボグラフィをただ撮って、ブログにただ掲載する、というシンプルで、
じゃまのはいらない境地をひたすら味わう時代が到来しました。

なんにも表現せず、
ただ私の出会いの瞬間を記録したロボグラフィたちを撮影し続け、
ブログに掲載し続けるわけです。
人はぜんぜん来ないのですが、
正確には、文書量と写真量はただならないので、
ネット検索でのヒット率はかなりあるでしょう。
でも、一見して、
「おじゃましましたあーーー、
さいなら!!!」でしょう。

かくして、私はついに写真家の世界から卒業したというわけです。
正確には、「最初から無縁だった」わけですが。
でも、写真家吉田正さんの優れた作品、豊かな人間性に接して、
人生に沢山の滋養を頂きました。
吉田正さんには感謝の気持ちで一杯です。




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by Sha-Sindbad | 2019-03-21 22:52 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)

2063 商店街(2018年8月28日エルマー35㎜F3.5が奈良町の人たちをやさしく眺め)



ライカの広角レンズ、エルマー35㎜F3.5は、
1930年から1950年まで、なんと20年間にわたり、
約4万2500本製作されたそうです。

後継機種はズマロン35㎜F3.5です。
1946年から1960年まで14年間にわたり、
と、こちらも息の長いレンズで、
約6万本から8万本製作されたそうです。

一方、カルティエ=ブレッソンがライカを手に入れたのは、
1932年のことだそうですが、まことに異例なことに、
彼の最高傑作のかなり多くを陸続と生み出しました。
7年後には第二次世界大戦が勃発してしまいます。
ですから、彼の第一期全盛期はかなり短かったのです。

当時の傑作の多くは、35㎜か50㎜レンズによるもののようです。
1935年にヘクトール28㎜F6.3が出現していますから、
これも使ったかも知れませんが、
カルティエ=ブレッソンの初期の写真の多くは、
28㎜の画角よりは狭い感じがします。
50㎜の被写界深度よりかなり深い感じの作品もあります。
とすると、メインはおそらくエルマー50㎜F3.5だったとしても、
エルマー35㎜F3.5もかなり使ったのではないか?
そんな感じがします。

すでにかなり古い写真ですが、昨年8月の奈良町スナップは、
このエルマーを付けたソニーα7をウェストレベルで両手で持ち、
ノーファインダーで撮影したものです。
全て開放ですが、開放値が3.5もあるので、
かなりピントは来ている感じがします。

さすがにバルナック時代のライカレンズですね。
情景はとても自然な雰囲気で、人の肌が美しく再現されています。
このあたりの描写の味わいが、
カルティエ=ブレッソンの名作たちとかなり近い感じがします。
私の勝手な我田引水かもしれませんが、
こんな風に憶測してみますと、
なんだかこの古いレンズがますますいとおしく感じられます。



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by Sha-Sindbad | 2019-03-13 21:15 | Elmar35mmF3.5 | Comments(0)