1991 唯我独尊(2017年11月11日フォコター50mmF4.5が新大阪の休憩時間に活躍)
一番豪快な描写をするレンズはなにか?
私の知る限り、答えは一つです。
ライカ社の引伸しレンズ、フォコター50㎜F4.5
宮崎さんにライカMマウント用レンズに改造していただきました。
でも、あまり使っていません。
こんな友人をあなたはお持ちではありませんか?
何時会っても、自信たっぷり。
私は、いわば天才。
私はそれを知っているし、あなたもそれは認めざるを得ない。
そこで、2人の会話のテーマは常に彼自身、ということになります。
そんな人に私は40年前に出会いました。
今でも、彼は変わっていません。
そして、その天才ぶりに驚倒させられます。
でも、出会いがいつも少し物足りないのです。
別れてから気づきます、
今回も彼は僕になんにも尋ねなかったなあ...........
フォコターって、そんな友人の雰囲気にかなり似ています。
いわば、天才的レンズ。
フォコターもそれを知っているし、
私がそう思っていることも知っている、
でも、フォコターは私のことにはさほど関心を抱いていない、
そんな感じ。
天才たちが愛用して、その信頼にこたえてきました。
とくに、ライカレンズで撮った写真の引き伸ばしは、
このレンズに限る、そう言う人が沢山居ました。
確かに、カルティエ=ブレッソンのプリントを見る度に、
なんと堂々たる立体感、実在感!
なんという独特になだらかなグラデーション!
そして、生き生きとした雰囲気描写!
きっと彼のラボはフォコターを使っていたでしょう。
私はローデンシュトックの50㎜、80㎜しか使いませんでした。
ニコンの引き伸ばしレンズを試してみましたが、
切れ味、シャープネスは断然ニコン。
でも、グラデーションを犠牲にしていました。
おそらくフォコターは、上記の2本の良い点を備えていたでしょう。
でも、フォコターは高くて買えなかったのです。
ところが、モノクロプリント時代が去ってしまうと、
フォコターが往時の半額以下になって出回るようになりました。
さっそくあっけにとられるほど廉価で手に入れ、
宮崎さんにMマウントを付けて頂きました。
でも、なかなか手が伸びない。
なぜ?
ライカレンズの描写とかなり違う感じなのです。
ごくごく単純に各社のレンズの描写性を表現してみますと、
ツァイスは男性的、
ライカは女性的です。
フォクトレンダーは透明感があり、
シュナイダーは鋼の感触。
アンジェニューはコクがあって、
ダルメイヤーはやさしい。
余りにも単純化しすぎていますが、私の第一印象がそんな感じ。
じゃ、フォコターは?
他のすべてのレンズとちょっと違う感じなのです。
他の各社のレンズだって、自分の絵を描き、自分の歌を歌います。
でも、自分を愛してくれる人のために最大限協力してくれます。
だから、レンズ選びに成功すると、写真家はいつも、
自分の表現を徹底的に追求できるのです。
ところが、フォコターって、ちょっと頑固なのです。
いつも自分の絵を描き、自分の歌を歌います。
使い手に残された選択は、
フォコターの絵、歌を好むか好まないか、だけ。
だから、時代を創造する作品を生み出した写真家には、
義経に弁慶が使えたように、一変、かしづいたのでしょう。
でも、おそらくフォコターをカメラに付けて、
自分の写真世界を築き上げた写真家って、
世界広しと言えども、いないのではないでしょうか?
by Sha-Sindbad
| 2018-07-12 23:01
| Focotar50/4.5
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