レンズ千夜一夜

1986 しっとり(2017年11月8日パンタッカー75mmF4.5が雨の神社をぶらり)


現代のディジタルカメラのシステムでは、
作品作りの本格的プロセスはフォトショップのような、
画像処理ソフトに最大の比重がかかります。
画像処理ソフトが加工しやすいように、
クセのないニュートラルな画像を用意する、
これがレンズの役割となります。

私が使っているレンズは銀塩フィルム時代のレンズたち、
そして、銀塩フィルムの作品作りは撮影の瞬間にかかっています。
絞り調節による被写界深度の選択、露出補正による最適露出の決定、
これらはすべて撮影者が撮影の度に選択しました。
その当時のカメラもレンズもかなり個性的ですから、
カメラ、レンズの選択決定もまた作品作りの本質要因でした。

だから、レンズたち、よく言えば、極めて個性的、
ありていに言えば、癖だらけ、欠点だらけでした。
そんな癖や欠点が作品に味わいを出すことを予期する、
これも撮影者の作品作りの一環でした。

私は徹底的にこの時代の人間です。
プリントの段階でさまざまに画像処理する人もいましたが、
私は基本的に、撮影時で勝負終わり、その後はいじらない、
そんな主義でした。

今でも、そのやり方を持続しています。
なぜ?
自分の創意と工夫とセンスだけで写真を創りたいから。
写真作品など作らなくなって、
私の人生の記録に徹するようになると、
なおさらに、出会いを素直に記録することに徹したい。

じゃ、現代のレンズが一番癖がなくていいんじゃない?
でも、それこそ、筋違い。
すでにお分かりと思いますが、
私は徹底的に癖だらけの人間です。
その癖をそのままに、人生を押し通ってきました。
死ぬまで、そうするつもりです。
だから、現代のレンズの癖がなく、完璧な画像には、
身震いするほどの嫌悪感、疎外感、悪寒を感じるのです。

とんでもないほどに癖のあるレンズと私とがピタリ合う!
そんなレンズがかなり沢山見つかります。
そんな癖だらけの古代レンズたちこそ、私の伴侶。

私の癖とレンズの癖とがバッティングしたら、
そのレンズは、私のレンズじゃないだけ。
そんなレンズに数知れず出会いましたが、
さっさとお別れして、お互いにしこりを残しませんでした。

私の友人たちも、ここだけの話、私に優るとも劣らぬ、
猛烈な癖だらけ人間です。
だから、ワクワクするほどに面白い奴らです。
どうしても我慢のできない人とは付き合いません。
レンズと一緒。

ドイツの映画レンズメーカーの雄、アストロベルリンは、
いわば癖だらけのレンズたちを陸続と製産したようです。
ドイツ人は日本人以上にとんでもない癖だらけ民族です。
おそらく中国人と双璧でしょう。
だから、そんなドイツ人がアストロレンズを生み出し、
ドイツ人映画カメラマンたちに愛されたのでしょう。

沢山の系列があります。
ズームレンズがなかった時代です。
ズームレンズじゃないのに、まったく同質の画像にならないと、
レンズを交換するたびに、銀幕の画像の画質が変化したりすると、
まとも物語に没入することなどできません。
だから、同じ絞りで各種焦点距離のレンズがシリーズ化され、
同じ色合い、同じ性格の画像を提供したアストロは愛された、
そう聞きました。

でも、私は同じパンタッカーF2.3系列のレンズを数本使いましたが、
実のところ、シャープネスもコントラストも画質もまちまち。
なぜ?
それは制作年代が違うから、ということで説明できそうです。

このパンタッカー75㎜F2.3は、残念ながら、
私の№2のパンタッカー50㎜F2.3よりもかなり新しいレンズです。
だから、コントラストも厚みもシャープネスも一層ダイナミック。
50㎜はメタモルフォーゼを常におこしてくれますが、
75㎜はむしろリアリズムを強化するタイプのレンズです。
おそらく映画製作方針が、時代とともに、
ロマンチックからリアルなタッチに移行していったせいでしょう。
映画スクリーンも巨大化するにともない、
フィルムコントラストを高める必要もあったかも知れませんね?

そのお陰で、このレンズ、目覚ましい高画質が災いして、
私のお気に入りになりそこねたようです。
人間もレンズもあまりに鋭敏すぎると、
私のような強烈アバウト抜け作人間とはとてもかみ合わない、
という感じ。




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by Sha-Sindbad | 2018-07-01 22:33 | Comments(0)