レンズ千夜一夜

1983 朦朧体(2018年4月5日タンバール90㎜F2.2で定かならぬ奈良町)2


私は12、3年前から中国の撥弦楽器、揚琴を学んでいます。
ツィンバロン、ダルシマー、サンドゥーリ等、
同種の民族楽器が世界中にあります。
これが中国に入り、一大変化を遂げました。
上記の楽器たちは独特の音律の民族楽器ですが、
中国人はこれを12音階の楽器に改良したのです。
そのうえ、バチを竹に変えました。
これは揚琴の奏法を画期的に変えてしまいました。
しなやかで弾力性があり、かつ小回りが効きます。
遙かに精緻多彩な音楽を生み出す楽器に生まれ変わりました。

そんな揚琴演奏の当代の第一人者は、黄河先生。
中国の音楽大学の双璧は北京中央音楽院と上海音楽院。
その中央音楽院の揚琴教授でした。

私の先生、付虹先生から聴きました、
最近、中央音楽院の揚琴教授が王玉珏さんに交替したそうです。
黄河先生の弟子です。
世代交代ですが、この新教授の演奏がYouTubeに沢山あります。
付虹先生に教えていただき、これを見て、仰天してしまいました。
演奏のスタイルが革命的なほどに変わったのです。
黄河先生の伝統的な演奏を一つご覧下さい。

黄河扬琴独奏:《黄河颂》
https://www.youtube.com/watch?v=e2J3443XZoM

一つ一つの音に芯があって、粒立ちがとてもよくて、
目も醒めるような、水際だった名演です。
誰も真似ができないんじゃないか、とさえ思えます。
試しに、ツィンバロン、ダルシマーの演奏をご覧になれば、
揚琴の表現力がどんなに増大しているか、
お分かりになるでしょう。

そこで、新しい王玉珏教授の演奏をご覧下さい。

王丹紅創作揚琴協奏曲《狂想曲》王玉珏
https://www.youtube.com/watch?v=b1Nsto7uQdU&list=
PL1kIeRJejsQZ2fryUfVPfn1mKZKb32iIE&index=4&t=0s

なんだか同じ楽器と思えないほどに違うではありませんか?
硬質の感触を出来るかぎり押さえて、
近頃大きく改良された揚琴をお使いになっていることも、
音の幅、質、表現性に好影響を与えているのかも知れません。
でも、2分目あたりの繊細で優美なアルペジオにぶつかると、
もうすっかり心を奪われてしまいました。

王玉珏さんも学生の頃の演奏は黄河先生の奏法に近い感じ。
現在の優艶な奏法が王玉珏さんの創造かどうかは分かりません。
少なくとも、王玉珏さんの演奏に助演している奏者たちは、
全員、王玉珏さんと同じ奏法に変わっています。

でも、実は、私の先生、付虹先生の演奏法もかなり近いのです。
先生の演奏はYouTubeでたった一つしか見つかりません。
それもiPhoneのファイルなので、音質も画質も今一。
私も昔から、先生の演奏法をYouTubeなりで見て、
学びたいと思ってきました。
黄河先生の超絶技法は、一生かかっても学べないでしょう。
でも、付虹先生や王玉珏さんの奏法なら、
私が弾けるようなやさしい曲にでも応用ができます。
でも、付虹先生のビデオはない。
自分でiPhoneで撮らせていただきましたが、
クローズアップで撮るせいか、
とても真似できるものじゃない!

王玉珏さんの奏法ももちろん真似できるものではないけど、
すでに十数曲は見つかっています。
さまざまなテクニックの部分が散りばめられているので、
ああ、ここではこんな風に弾くんだなあ、と、
僅かながらも学ぶことができそうです。
第一に、ソフトなサウンドの魅力を一杯感じ取ると、
自分の楽器でもこんな音を出したい、という目標ができます。

そこで、肝心要の写真に話を移しますと、
写真でも、硬軟二つの潮流が常にあるのではないでしょうか?
私の体験では、硬派の代表はツァイスレンズ。
軟派の代表はもちろんライカレンズ。
その究極の代表格がタンバール90㎜F2.2ですね。
なんだか、タンバールって、レンズ界の王玉珏さん、
そんな感じがしてきました。

問題は、私という人間はもともと硬派の人間です。
そんな人間がムリにタンバールを使おうとすると、
まるで弁慶が猫撫で声で迫る、
そんな場違い感がかすかに漂います。
演奏もそうでしょうけど、
技法の問題、レンズの問題ではなく、
心そのものがしなやかに変わる必要がありそうです。
軟調レンズを使うときは、そんな気持ちを忘れず、
心を柔らかく保ち、対象への眼差しも和らげつつ、
そっと撮りたい、そんな気になっています。




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by Sha-Sindbad | 2018-06-24 17:09 | Thambar90/2.2 | Comments(0)