1982 朦朧体(2018年4月5日タンバール90㎜F2.2で定かならぬ奈良町)
私はもともと写真をツァイスレンズで始めました。
大学時代はミノルタSR-1で、ミノルタのレンズで撮っていましたが、
職業生活に入って4年目、宮崎市で写真クラブ「写壇はにわ」入会。
これが私の長い写真生活の本格的な始まりでした。
そのとき、私は大阪の老舗「ツカモトカメラ」で手に入れた、
ツァイスのスーパーイコンタ6×9、
ヤシカコンタックスとレンズ3本で出発しました。
その後、コンタックスシリーズを7、8本集めた挙げ句、
コンタレックスシリーズに移行したのですから、
いわばツァイス党だったわけです。
立体感、存在感溢れる描写を好んでいたわけです。
でも、その後、平行してライカの沼にもずぶずぶ沈みこみ、
いわば王羲之風の魁偉な書体と、良寛風の洒脱な書体、
この両方に心が揺れ動く時代に移行していきました。
ライカレンズ群の中でも、ひときわ私の心をそそったのは、
タンバール90㎜F2.2。
自分の技術でもセンスでも、そして資力でも、
とても追いつけない高嶺、それが、
タンバール90㎜F2.2。
銀塩カメラからデジタルカメラの時代に移行し、
その最初期は、ライカレンズの市場はかなり暴落し、
タンバールも往時の半額以下に落ちたことがありました。
そのライカレンズ受難の時期に、私の手に落ちたのです。
こうして、私にとって、ホロゴンと並ぶ究極のレンズが、
私の手の中で遊ぶようになったのですが、
実は、未だに使いこなすことができないじゃじゃ馬。
銀塩時代にはその一番の難関がピントにありました。
なぜかピントが来ないのです。
ソフトレンズの本来の理想は、
焦点がびしりと合った主人公が霧に包まれつつ立ち上がる、
そんな幽玄な境地にあるように思われるのですが、
肝心要の焦点が来ないのでは、ただのボケ写真です。
デジタルのソニーα7で使うようになって、
液晶画面の拡大機能で、焦点問題は解決しました。
でも、もっと基本的な障害が立ちはだかっています。
私のセンスそのものが、
タンバールの理想となるような幽玄の境地にほど遠い!
タンバールの朦朧体写真を撮るためには、
撮影者自身はかなり感性と知性を使う必要がありますが、
私と言えば、人間そのものが朦朧体、
これじゃ、始まりませんね。
撮影面では、私のお好みの被写体が暗がりの中の黒いもの、
というような地味がものが多いため、タンバール向きではなさそう。
それに、半逆光程度の角度がよさそうですが、
私は基本的に順光派であることも邪魔しているのかも。
未だに四苦八苦しています。
古都奈良の奈良公園から奈良町を歩き回りましたが、
タンバール写真と言うには恥ずかしいような写真ばかり。
でも、2回に分けて、ごらん頂きましょう。
by Sha-Sindbad
| 2018-06-23 15:49
| Thambar90/2.2
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