1834 加美路傍(2017年6月16日パンタッカー40㎜F2.3が一変して)2
パンタッカー40㎜F2.3が撮ってくれた写真をざらっと眺めて、
フランス映画「ミクロコスモス」の1シーンを思い出しました。
映画歴何十年の私にとって、最高に美しく、啓発的なシーンの一つ。
超接写レンズでミクロの世界を画面一杯に写し出した映画ですが、
その中でも最高のシーン。
蟻が水玉にぶつかるのです。
小さな蟻よりもはるかにでかい水球です。
蟻は眼前に大きく広がる水の壁にいきなり頭を突っ込みます。
表面張力の方が強いので、蟻が頭を突っ込んだ位では、
水球は崩れません。
頭だけが水球にのめり込んで、水を飲んでいます。
蟻の目がどの程度遠くまで見通せるのか知りませんが、
蟻は厚い水のレンズが写し出す巨大な光景を見ながら、
玉露のような味わいの水を味わっているのではないでしょうか?
蟻にとっては一つの悟りに近い境地を体験しているのでは、
そんな感じさえしました。
そして、この光景を見た私もまた、
蟻の観点でものを見る、という稀有の体験ができた、
そんな感じが確かにしています。
人生観が回転した、とまでは言い切るつもりはありませんが、
ロボグラフィって、これじゃないかな?
そう気づいたのです。
つまり、水球に顔を突っ込んだ蟻の視点に少し似ている。
あなたは普段道を歩いているとき、
路傍のありふれたあれこれに目を止めることがありますか?
あまりないのでは?
私はそんなありふれたものに目を注ぐことに楽しみを感じるのです。
大抵の人は、そんな暇はありませんね。
その日の仕事のこと、生活のこと、体のこと、世界のこと、等々、
頭の中にはさまざまな思いが渦巻いてというのに、
道ばたのあれこれなどに気を散らして、一体どうなるの?
そして、見たからと言って、それが心に何か響かせることなど、
あり得ませんね。
どなたかみたいに、キッパリおっしゃるでしょう、
「こんなものたちに、私たちは負けるわけにはいかない。
わたしは忙しいのだ!」
でも、私には、こんなものたちもまた頑張って存在している、
この町の人たちは生活の中でこれらを邪魔ものとは思っていない、
この町って、こんな風に生きているんだなあ、
そうはっきりと感じて、美しさを感じ、
ときには、いとおしさも感じるのです。
by Sha-Sindbad
| 2017-07-13 14:56
| PanTachar40/2.3
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