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レンズ千夜一夜

817 なんでもない猫(スーパーアンギュロン21mmf3.4は鏡面扉に我が家の英雄を見つけた)



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大阪平野の杭全神社の近くの路地にだんじり庫があります。

    2階建てほどの高さの開き扉は全面鏡面仕上げ。
    何年前でしょうか、私がはじめて出会ったときには、
    まだ上から下までツルツルピカピカの新品扉でした。
    私も含めて、前面の光景が映って、
    凹凸に合わせて変幻自在の鏡像が踊りました。

行くたびに鏡像は薄れていき、
今では、キズやサビのせいでしょうか、
私の姿は暗く頼りなげに漂い、
前面の景色もほとんど模様と化してしまいました。
その鏡像変化が楽しくて、幾枚かシャッターを落としました。

スーパーアンギュロン21mmf3.4は、
扉の前面の光景を鏡面扉に映った平面像に変身させてしまいました。

その内の一枚。
人はこの像にさまざまなものを見つけるでしょう。

    私は、18年前に世を去った我が家の英雄猫シロを見つけました。

怪傑ゾロのように、目のあたりまで黒く、
鼻から下は純白の、堂々たる風貌でした。

    毎日帰宅して、とてもやさしい雄猫でしたが、
    戸外で出会うと、知らんぷりされました。
    今は戦場にいるんだ、
    家人など、構っているヒマはない、
    そんな風情でした。

    絶対にひるまず、敢然と敵と立ち向かい、
    毎月平均1回は怖ろしい傷を負って、
    獣医さんの処置を受けても、
    ぴくりともたじろぎませんでした。

たった5歳で世を去ったのですが、
本人は悔いのない人生(おっと猫生)だったでしょう。

    その顔がきりりと浮かび上がっています。
    シュナイダーの銘玉の切れ味が、
    なんだかシロの毅然とした生き様に通じるものがある、
    そう気づいて、少し嬉しくなっています。
by Sha-sindbad | 2013-09-29 17:16 | SuperAngulon21/3.4 | Comments(4)
Commented by a1photo at 2013-09-29 19:51
猫生の話にあっちの方の光源氏もどきを出して申し訳ないですが、
正にバックからの視姦の数々、恐れ入りました。元気がでます。
Commented by Sha-sindbad at 2013-09-29 19:57
a1photoさん
しっ、知らない人が聞いたら、誤解するじゃないですか?
あれは、心からの讃美。
別に恐れ入ってもらわなくてよろしいのです。
それにこれ以上a1photoさんに元気を出していただいてもねえ。
ついでに、大急ぎでつけ加えますと、
昔は、バックシャンと言うと、
ファサードにはやや難ありとされていましたが、
現代は、美しい人はどこから見ても美しいのです。
Commented by bisqueprince at 2013-09-30 01:42 x
英雄シロちゃん、姿を現してくれて、良かったですねぇ。文章を拝読していて、sha-sindbadさんと、シロちゃんの、お互いの関わり方、に素敵な関係性を見て、心が温まりました。私にも、一度も会ったことのないシロちゃんが見えてくるようです。
Commented by Sha-sindbad at 2013-09-30 22:44
bisqueprinceさん
四半世紀に10人の子どもたちと暮らしました。
(けっして「匹」とか「餌」などと申しません)
今残っているのはたった3人ですが、
すでに世を去った7人、すべてが私の心に生きています。
それ以前の犬、文鳥、魚、亀たちもそうです。
みんな私になにかかけがえのないものを残してくれたからです。