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レンズ千夜一夜

704 茶店 (エクター47mmf2の開放はやさしいニュアンスに満ち)



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京の祇園と清水寺を結ぶルートはさまざまですが、
どれもかなり楽しいロボグラフィで一杯。

でも、愉快ではないことが一つ。
あからさまに客寄せのためのデコレーション、お店が増え続けていること。

でも、ある坂にひっそりたたずむ小さな茶店には、
長年の生活を経て、ロボグラフィの名にふさわしい壁面が生まれています。

    たいていの写真家は京都に来て、そんなものを撮りたいとは思わないらしい。
    でも、ここには唯一無二の歴史が刻まれている、
    私はそう感じるのです。

レチナに付いていた、エクター47mmf2。
名玉の誉れ高いミリタリーカードンの同名レンズと同じレンズです。

    寸分違わない写りです。
    カードンのエクターは、かなり高級感の有る作りで、
    ヘリコイドの歯車が、まるで西部劇のカーボーイの拍車みたいで、かっこいい!
    ところが、カードンを作ったアメリカ人の指って、
    オールドコンタックスを作ったドイツ人の指と同じくらい、鈍感だったらしい。
    痛くて堪らないのです。
    勢い、レンズ本体を握ってフォーカシングします。
    すると、一説によると、レンズが故障する危険があるとのこと。
    つまり、この歯車、無用の長物。

私はカードンを手に入れるのを取りやめ、
その10分の1ほどの廉価で、レチナを手に入れました。

ここには、華やかで、かすかに憂いに満ちた美のオーラが漂います。

    「象潟や 雨に西施が ねぶの花」 芭蕉

私の場合、別に ねぶの花など撮りたいとは思いません。
じゃなくて、西施を撮ってみたい、
とすると、西施を撮るのなら、やっぱりこのエクターかな、
そんなことを思わせてくれるレンズ。
by Sha-sindbad | 2013-05-31 21:43 | Ektar47/2 | Comments(0)