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レンズ千夜一夜

680 高架下の店 (キネタール50mmF1.8は映画レンズらしく雰囲気たっぷり)


以前からレンズが好きで、かなり持っていましたが、
次の三福対がそろったとき、私にシネレンズ・ルネサンスが起こりました。

    レンズ改造名人宮崎貞安さんの登場
    オークション
    マイクロフォーサーズの登場

これまで銀塩35㎜カメラでは、フランジバックの関係で使えなかった、
シネレンズたちの海が眼前に開けたのです。

シネレンズ中、私を心の底から賛嘆させてくれたレンズが2本あります。

    その第一がパンタッカー50mmF2.3。
    そして、その第二がキネタール50mmF1.8。

客観的にすぐれているわけではないかも知れません。
客観的に優れているということはなにを意味するのでしょうか?
もともと私は、この点に疑問を持っています。

    人間と一緒です。
    なんのキズもない完璧な人間ほど、おもしろくないものはありません。
    
レンズも同様です。

    現代レンズなど、宮崎さんの創るレンズ以外は全部、使いたくもない。
    完璧な画像など撮りたくもないからです。

私が撮りたいイメージはどんなものか?

    そんなことは言えません。
    出会ってみないと、わからないのですから。

でも、どんなイメージであってはならないかはわかります。

    非の打ち所のない完全な再現画像。
    あるいは、現実を遙かに越える超精密画像。
    これは全部落第。

シャープネスを高めて作り出したスーパーリアリズムの画像なんて、
おかしくって。

そうです。

私は完全に時代に取り残されてしまった人間なのです。
私の言葉に耳を傾ける人など、ほとんどいないでしょう。
私も現代派の写真家たちを説得するつもりなどありません。

    私が泳ぐ支流は、現代写真の本流からはるか取り残されて、
    小さな谷間に入り込んでしまったからです。
    支流は本来なら、いずれどこかで本流に流れ込むものですが、
    この場合、流れ込みません。
    完全に別世界に入り込んでしまいました。

それでいいのです。

    東は東、西は西です。

現代レンズ派のみなさんが間違ってこのブログを訪問しても、
せせら笑ってサヨナラでしょう。

    なんだこれは?
    ぼけ写真とぼけ写真との区別にこだわるなんて、
    写真をなんだと思っているんだ?
    写真を撮るための道具だよ。
    劣化した道具にこだわるクラシック派なんて、    
    錆びて刃こぼれしている包丁で鯛をさばくようなものだよ。
    落第!

自分が落第生になるなんて、夢にも思っていなかったことですが、
なぜか平気ですね。

    キネタールがプレゼントしてくれる写真を前にしていると、
    喜びがこみ上げてきます。

人に別にこの喜びを共感してほしくない。
私にとって、これは秘儀に類する恩寵なのですから。




680 高架下の店 (キネタール50mmF1.8は映画レンズらしく雰囲気たっぷり)_b0226423_2210402.jpg

by Sha-sindbad | 2013-05-05 22:14 | Kinetal50/1.8 | Comments(2)
Commented by 川越 at 2013-05-09 17:37 x
こんにちは。この写真もまたしばし見蕩れていました。レンズの素晴しさもあるでしょうけど、この写真を撮ったSha-sindbadさんに、毎度のことながら感心しています。
Commented by Sha-sindbad at 2013-05-09 23:00
川越さん
ありがとうございます。
実はこの写真、ひさしぶりにゾクゾクしながら撮り、
できた写真にもゾクゾクしているのです。
でも、いつものことですが、反応はゼロ。
でも、実は、反応ゼロは当然なのです。
ブログを始めた最初の頃、あんまり反応がないので、
幾人かの人気ブロガーの状態をチェックしてみました。
(最初の頃はアクセス数表示のブログが幾つもありました)
どうやら読者100人当たり、せいぜいコメント1ほどの割合のようなのです。
なんだ、それじゃ、私のブログにコメントなどないのは当たり前。
ずっとその調子なので、私のブログは訪れるものもまばらな僻地ブログ。
こうしてたまにコメントいただくと、さすがに嬉しいものですね。