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レンズ千夜一夜

555 (プラナー35mmf3.5は下位レンズに身をやつした高級レンズ)



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レンジファインダー・コンタックスの交換レンズを用意したとき、
プラナーをビオゴンの下位に置きました。

どちらもツァイス最高のレンズ・ブランド。
数々の名レンズを輩出しています。
プラナーは標準レンズ系、
ビオゴンは広角レンズ系、と一応棲み分けがなされています。

その2種の看板レンズが35mmという中間領域で交錯したとき、
ツァイスは、ビオゴンの下位に位置するニューレンズに、
プラナーを選んだのです。

ところで、一つ、かなり普遍的な鉄則があります。
ジンクスかも知れません。

レンズ会社が同一焦点距離のレンズにダブル態勢をとって、
開放値の明るいのと暗いのとを出すとき、

    「下位の暗い方が、性能は上」

私の体験したところでは、
ローライ二眼レフの80mmF2.8は名レンズの誉れが高いのですが、
写りに関しては、75mmF3.5の方が明らかに上。
ズミクロン35mmF2よりズマロン35mmF3.5の方が上という人がかなり居ます。
私もその一人。
ヤシカコンタックスのプラナー50mmF1.4よりF1.7の方が上。
ディスタゴン28㎜と来たら、F2.8の方がF2より数段上。
レチナクセノンのF2.8はF2よりも格段に上質。
コンタレックスのディスタゴン35mmF4はF2よりも明らかに鮮烈。
枚挙にいとまがありません。

でも、不思議な鉄則がもう一つ。

    「ユーザーは、同系列のレンズでは、明るい方を好む」

私だって、そんな傾向がないわけではありません。
オールドコンタックスだって、35mmとなると、
F3.5よりもF2.8を選ぶ人の方が遙かに多いでしょう。
これは一種のブランド志向かも知れません。

私も長い間、ビオゴン35mmF2.8を使ってきました。
凄い描写なのですが、
どうも凄すぎるという過重感があって、
心から愛するにはほど遠い状態。
そんな私の目に近ごろ、偶然飛び込んできたのは、
とても廉価なプラナー35mmf3.5!
飛びつきました。

これが新品同様という感じで、きらきら輝くレンズ。
元々コンタックスマウントですが、
思い切って宮崎さんにライカMマウントに改造していただき、
ライカM9に付けて撮ってみました。

    開放ですが、かなり深い被写界深度で、
    堂々たる厚みがありますが、けっして重すぎず、
    どこか隠微な神秘を潜ませているような、優艶な描写。
    極上の味わい。

こちらは、使い初めから、心が躍ります。

    「いい!」
by Sha-sindbad | 2012-12-25 21:52 | Planar35/3.5 | Comments(2)
Commented by bisqueprince at 2012-12-26 01:13 x
仕事をしなければいけないのに、また、見嵌ってしまいました。 
でも、豊かな気持ちになって、仕事ができそうです。
同じ会社の同一焦点距離のレンズは、下位の暗いレンズのほうが良い写り、ですね、いつも勉強させていただき感謝です!
Commented by Sha-sindbad at 2012-12-26 22:15
bisqueprinceさん、
いつもありがとうございます。
このブログは、蒐集家でない、ただのレンズ好き、
写真家でない、ただの写真好きの作るレンズブログだけに、
いわば、人跡未踏の森林奥深くの一軒家。
それだけに、bisqueprinceさんのような方に訪問していただくと、
レンズたちが奮い立ちます。