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レンズ千夜一夜

223 お能人形 (アンジェニュー25mmF1.4はきっと優れたシネレンズ)

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今から10年以上前のことです。
ある写真家に写真を見ていただいたことがあります。
高名な写真家です。
とてもあたたかい方で、真剣に写真をご覧になります。
2度ごらん頂いたのですが、
いつも熱情溢れたご批評を頂くことができました。

写真が本当にお好きなのです。
その方がこうおっしゃっいました、

    「コンセプトを持たない写真家は、
     コンセプトをもって撮る写真家に到底かなわない」

私が写真をあきらめたのは、この瞬間だったかも知れません。

    きっと人生を賭けたいほどのコンセプトなんか、
    ちらっとも思いつかなかったせいでしょう。
    そんな退屈なこと、したくない!
    脳天気に、極楽至極に、その日その場で撮りたいものを撮る、
    それが人にどう印象を与えるかなんか、気にしていられるか、
    自分が、心から楽しめたら、それでいいじゃないか!

私の気持ちはそうでした。

それからは背伸びをするのはやめました。
人に評価してもらうことに意味を感じなくなったのもこの時から。
だから、今回のような写真が撮れるようになったのです。

写真を撮るとき、自分の気持ちしか考えない。
自分のためにしか、写真を撮らない。
とても気楽です。

そんな私の気持ちに沿った写真をちゃんと撮ってくれる、
それが、私にとっての名レンズ。

そんな風に考えると、
アンジェニュー25mmF1.4は大変な銘玉。

ホロゴン15mmF8と同じように、
私が撮りたいと思ったイメージよりも、
はるかに素敵なイメージをプレゼントしてくれます。

私の写真だとは思いません。

    レンズの賜物。

これを素直にレンズのものと認められるようになったのも、
自分が写真作品を撮るスタンスから訣別したから。
by Sha-sindbad | 2012-01-31 02:04 | Anjeniueux25/1.4 | Comments(4)
Commented by nakky85 at 2012-01-31 09:43
写真のコンセプト・・・
これは考えされられますねぇ。
ひいては「何のために写真を撮ってるのか?」っていうことにも繋がりかねないですしねぇ。

結局は「ヒトとヒトとの繋がりの一助」に行き着くと思うんですけどね。
それは大多数のヒトのコンセプトであって、自分オンリーのものではないでしょうしねぇ・・・

「自分は何のために写真を撮っているのか?」という問いの答えを探すために写真を撮ってる・・・
なんてなっちゃうと、哲学の領域ですね(笑)
Commented by Sha-sindbad at 2012-01-31 17:40
コンセプトって、写真を創作と考える人たちの、
いわば創作理念。
nakky85さんも私も、写真は人生と考える人間。
こんな人間には、写真撮影のためのコンセプトなんて、要りませんね。
私はそう考えています。
Commented by モンタナ at 2012-08-19 21:36 x
お邪魔します。

「人に評価してもらうことに意味を感じなくなったのもこの時から。
だから、今回のような写真が撮れるようになったのです。」

上記の言葉に痺れ感動しました。

なるほど・・・深く考えさせられ反省している自分です。

自分で好きにやっている事、人様の評価など関係ない。

簡単に、そんなところでしょうか?

失礼しました。
Commented by Sha-sindbad at 2012-08-21 18:20
モンタナさん
私の気持をよくご理解いただき、ありがとうございます。
おっしゃるとおりです。
少し言いかえますと、
人が評価しなくても、
自分の写真を心から愛せるようになったのです。
つまり、自由になった、そう考えたいですね。