レンズ千夜一夜

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1811 奈良町(2017年3月22日スピードアナスチグマート25mmF1.5でうらぶれて)Part 1


我が国の観光産業は10年前までじり貧状態でした。
でも、事情はその後一変しました。
今や盛況を極めています。
どうやら海外からのトゥーリストによって支えられているようです。
奈良町付近も10年前は閑古鳥が鳴いていました。
今や、中国、台湾、韓国のみならず、アジア一円から、
そして、欧米から、と海外の観光客が引きも切らず押し寄せて、
奈良町も平日さえもにぎわっています。

新しいお店がどんどんと出現しています。
その陰で、時流に乗れずに撤退していくお店もかなり多い。
前回の椅子だけがフロアにのこされた洋品店もその一つ。
通るたびに、ほとんど必ず、撮ります。
中原中也の詩の一節を思い出すからです。

「私はその日人生に、椅子を失くした。」

店主が失くしたその椅子がいつまでもひっそりと...
建物が大き過ぎて、観光用に使うことが難しいようです。

奈良町の多くの店の繁栄もいつまで続くことか......?
そんな儚げなたたずまいを撮りたければ、
ダルメイヤーのこのレンズを使いたいですね。

   スピードアナスチグマート25mmF1.5

そうだ、このレンズで撮った奈良町、ブログ未掲載だ!
思い出しました。
ソニーNEX-5に付けて、37.5mmで撮っています。
3回に分けて、ごらん頂きましょう。




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by Sha-Sindbad | 2017-06-07 18:42 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

1810 奈良町(2017年5月18日写真教室帰りスピードパンクロ50㎜F2が寄り道)Part 4-完-



「虚実の皮膜」という言葉があります。
近松門左衛門の言葉として伝えられるものです。

  「芸といふものは実と虚との皮膜の間にあるもの也」 

考えてみると、ロボグラフィもまた虚実の皮膜にありそうです。
大抵の写真家にとって、写真の価値はその真実性にあります。
  「一見、ファンタジーに見えます。
  でも、これはリアリティなのですよ」
そう主張することで、写真の価値を確保します。

私は逆のようですね。
  「一見、リアリティに見えます。
  でも、これはファンタジーなのですよ」

スピードパンクロ50㎜F2はどちらに向いているか?
バカとハサミとレンズは使いようです。
有能なレンズならどんな風にでも使い手次第でしょう。

写真家ならリアリティレンズとしても使えるでしょう。
異常なほどに見事な切れ味なのですから。

でも、私のお望みのファンタジーレンズにもなれます。
生み出されるイメージに躍動する生命感をみなぎらせて、
その勢いで幻想への扉をぐいと引き開ける、
そんな異能を秘めているようなのです。




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by Sha-Sindbad | 2017-06-06 15:48 | SpeedPanchro50/2 | Comments(4)

1809 奈良町(2017年5月18日写真教室帰りスピードパンクロ50㎜F2が寄り道)Part 3


photography(光の絵)を「写真」と翻訳したのは誰でしょうね。
カメラを売るための、欺瞞的キャッチフレーズだったかも知れません。
それほどに、この言葉が歴史に果たした役割はかなり疑わしいですね。

モノクロームの時代から、写真にさまざまな細工をすることなど、
大抵の写真家に撮ってはお茶の子さいさいだったからです。
「写真は嘘はつかない」
よく言われて来た言葉です。
単に角度を付けるだけで、もう完全な嘘になります。

アラン・ラッドは「シェーン」でトップスターに躍り上がります。
でも、ラブシーンが苦手でした。
実は背が低いので、大抵の女優さんを見上げることになるからです。
だから、台に上って、ときには女優さんが穴に入って、
抱擁シーンを撮影しました。
(アラン・ラッドは死ぬほど恥ずかしかったそうです)
下半身を写さないから、トリックが分からない。
遠景を撮るときは、レンズの角度、遠近感でいくらでもごまかせます。

つい最近まで、大抵の人は「写真は嘘をつかない」と信じてきました。
「写真が証拠だ」、よく言われる言葉です。
でも、裁判の場では、写真はむしろ証拠価値の低い資料。
いくらでもごまかせるからです。

デジタル時代になって、カメラ自体に種々の粉飾が仕込まれています。
CCDそのものですでに、レンズを通過した情報に加工粉飾がなされます。
そのうえ、さまざまな画像処理ソフトが組み込まれています。

当初のもう1つの訳語「光画」こそ、初めから正確な訳語だったし、
今では、「写真」という訳語は、写真の性質について、
完全な誤解、欺瞞を招きかねない「誤訳」であることは明らかです。

私のロボグラフィはまさに最初から「光画」として撮られています。
光は魔術師。
ロボグラフィは「光の魔術」「視覚の遊戯」です。
スピードパンクロ50㎜F2は「魔法の杖」、
それも最高クラスの杖というわけです。
私は写真で嘘をつきまくっているわけですが、
ロボグラフィたちもその嘘に片棒かついでいるわけです。




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by Sha-Sindbad | 2017-06-03 23:33 | SpeedPanchro50/2 | Comments(0)

1808 奈良町(2017年5月18日写真教室帰りスピードパンクロ50㎜F2が寄り道)Part 2

ギター
良い楽器ですね。

どこがよいか?
人さまざまでしょうね。
でも、そんなことはどうでもよい。

私にとって、良い楽器だと心から感じられる!
私にとって、良い楽器ですね。

じゃ、なぜ、良い楽器だと感じられるの?
私にははっきりとしています。
私はギター音楽などほとんど知らないのに、だから、なおさらなのですが、

  幾度聴いても、
  「ああ、いいなあ..........」そうつぶやいて、ため息をついてしまう、
  そんな曲がいくつも見つかるからです。

感じる印象は一つ。

  静寂の闇の中に響く、たった一つの音、
  そのたとえようもない密やかな美しさ。

そんなひそやかな味わいを楽しませてくれる稀有の楽器ですね。

サンプルを2つ紹介しておきましょう。
なにも最高、というわけではありません。
たまたま出会って、私が愛している演奏を2曲。

① アグスティン・バリオスの「森のささやき」
Kyuhee Park - A. Barrios: Un Sueño en la Floresta
https://www.youtube.com/watch?v=fU-RJD9qRlU

② タレガ アラビア風奇想曲
Francisco Tárrega - Capricho árabe  
https://www.youtube.com/watch?v=y_goHl-GuNk

なぜこんなことを書いたか?
私がロボグラフィを見つけたとき、
私の目にはロボグラフィだけしかありません。
私のそんな印象をとどめるためには、
ただそれだけが写ればよいのです。

  ロボグラフィだけを闇の中に浮かばせてくれる、
  そんな風に撮ってくれるレンズこそ、
  私のレンズ、マイレンズなのでしょう。

ホロゴン、パンタッカー50㎜F2.3、ゾンネタール50㎜F1.1、
タンバール90㎜F2.2、私が愛するCマウントレンズたち、
そんな私の気持ちに沿った画像をプレゼントしてくれます。

そして、今回の奈良町写真を眺めて、つくづく悟りました、

  スピードパンクロも心底私好みの写真を撮ってくれる!





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by Sha-Sindbad | 2017-06-03 16:06 | SpeedPanchro50/2 | Comments(0)

1808 奈良町(2017年5月18日写真教室帰りスピードパンクロ50㎜F2が寄り道)Part 1


言葉って、おかしなものです。
ただの記号として、いつか発明され、進化したものです。
ただの記号、信号、音、字です。
ところが、なぜかそんな言葉にニュアンスや情感がまとわりつく。

たとえば、アフロディテやヴィーナス。
言葉そのものが美女を思い起こさせます。

ニュアンスという言葉もそうです。
なんだか言葉や文章から立ち上る、柔和なほのかなほのめかし。

ユートピア、ハーモニー、イリュージョン、
それぞれにいかにもその意味にふさわしい語感ですね。

悪逆非道、傍若無人。
もう語感だけで、いやな感じがしてしまいます。

レンズ名にもそんな語感がともないます。
タンバール、ホロゴン、アンジェニュー、ゾンネタール、
私の大好きなレンズ名を並べてみますと、
ふわっと包み込むような語感が名レンズにふさわしく、
あまりきつい語感は名レンズに似合わない感じがしますね。

そう考えると、スピードパンクロ50㎜F2。
この名前の語感も写りにかなりふさわしい感じがしませんか?

きりっ、すぱっと視野の一部を切り取り、
すきっとしたイメージに仕上げるレンズ、

そんな感じがあって、いかにもこのレンズにふさわしい。
私の勝手な思い込みでしょうか?

吉田正さんの写真教室の帰途、
JR奈良駅に降り立って、そのままバスで帰宅せず、
奈良町あたりを一巡しました。
スピードパンクロ50㎜F2をもっと使ってみたかったからです。

151枚撮りました。
5回に分けて、一応全部アップするつもりで、
どうしても気に入らないのは没にしながら、進んでみましょう。
名前の語感にふさわしい写真がどれだけ撮れているか?
ご自分で確かめてみてください。




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by Sha-Sindbad | 2017-06-02 19:49 | SpeedPanchro50/2 | Comments(0)

1803 記憶(2017年4月10日キノプラズマート20㎜F1.5奈良町にしっとりと)Part 6-完-

キノプラズマート、使えば使うほど、
「ああ、いい!」
そう感じます。
でも、その「いい」は私がその場に居た瞬間とそのときの気持ちを
しっかり思い出させてくれるからです。

「写真が多すぎるよ」
友人からそう言われました。
傑作写真ばかり並んだら、「多すぎる」とは誰も言いません。
「凄い!
圧倒された!」
そう言うでしょう。
だから、「見る価値のない写真を沢山出している」という意味。
私のブログ訪問者の99%、いや100%のご意見でしょう。

写真家として作品を発表する場と考えるなら、
極度に厳選、これが絶対でしょう。
「下手の鉄砲数撃ちゃ当たる」式が成功する筈がありません。
だとすると、私がなぜこんなに無差別のごった煮をしているのか?
その理由を考えていただきたいですね。

次のどれでしょう?
① 全部傑作で、人にアピールできる、私がそう考えている。
② ごった煮に辟易して、来る気をなくさせるため。
③ 自分の足跡の絵日記のつもり。

①じゃ、まるで「アホ」ですね。
正解は②と③。

人気ブロガーの皆さん、スパム攻撃に時折悩まされるそうです。
優れた写真とブログ人気とふたつながら嫉妬をかき立てるからです。
思うに、人気ブログの場合、それだけの理由があるから、
人が集まるのですから、嫉妬を感じさせるのも無理はないし、
そう感じる方が訪問してくる確率もそれだけ高いわけです。

一方、私がそれに近いコメントをもらったのは、
別ブログを初めて1年経たぬ頃、たった1回だけ!
なぜ?
訪問者がごく少数なので、
そう感じる方が来る確率も極めて微少だからです。
もっけの幸いです。
そのたった1回、ただちに削除して、
その人物のアクセスを禁じましたが、
なんで、わざわざ人を怒らせるようなことを書くんだろう?
かなり気分が悪かったことを覚えています。
「スパム」とはよく言ったものです。

そこで、考えた対抗策が「写真と文章をたっぷり」。
その頃気がつきました、
ブログって、完璧な日記媒体じゃないか!
そこで、掲載容量を無制限とするよう契約を変更し、
以来、どんどん文章と写真を無制限に増大させるとともに、
アクセス数をチェックするのを止めました。

私はかなり意思が強く、決めたことは実行する人間なので、
それ以来、幾人がのぞいたか、まったく調べたことがありません。
一度、朝、自分の頁を開いたら、なんと呼ぶのか知りませんが、
個人のホームページのようなものの体裁がガラリと変わり、
片隅にその時点までのアクセス数の欄まであって、
目に入ってしまいました。
早朝だったので、「2」か「3」だったと思います。
ただちに旧の頁に設定を戻しました。
その頁を開く度に「この頁はサポート終了」とかなんとか表示。
「いいでしょ、サポートなんかしてもらわなくてもね」
いつか、旧の頁が本当に廃止されてしまったら、
現ホームページがCRTに出現する度に、
アクセス数欄を見ないように反射的に顔を動かし、
次の瞬間、さっとアクセス数欄を手で隠すことになるでしょう。

見たって、いいじゃないの?
皆さんはそうでしょう。
私はいやです。
日記なら、そんなものは見ない、それが大前提。
いやなことは絶対にしない、それが私の流儀。





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by Sha-Sindbad | 2017-05-26 23:59 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)

1802 記憶(2017年4月10日キノプラズマート20㎜F1.5奈良町にしっとりと)Part 5



キノプラズマート20㎜F1.5を使っていると、
不思議な感じに襲われます。

ご承知のように(というのは、言葉の綾)、
ご承知でない方ばかりでしょうけど、
私はレンズを使うとき、99パーセント、開放一本槍。
人間の個性や癖はどんなときに出ますか?
本人が自意識を持たないとき、ふとした瞬間に、ですね。
レンズもそれと同じ。
レンズの個性、本質、真実の姿が出るのは、開放のときだけ。
レンズの欠陥、欠点、悪い癖が出るのも、開放のときだけ。
そうではないでしょうか?
だから、開放が面白いのです。

奈良町でこのレンズがどんな写真を撮ったか?
これをじっくり観て行くと、面白いことが分かりますね。
このレンズの開放描写って、開放とは思えないほどに重厚で、
像、イメージに厚みがあります。
でも、前後のボケ味は紛れもなく大口径レンズの味。
このまるで二律背反するような、でも、
このレンズを極上のビンテージに高めてくれる特質が、
どの写真にも顕われています。

私が持っている25㎜以下のキノプラズマートというレンズ、
たいてい、時折、どこか腰の弱さ、儚さのような雰囲気を見せます。
ところが、20㎜はそんな雰囲気と完全に無縁。

Olympus EP-L1で使うので、実質上、40㎜レンズ。
不思議ですね。
今盛んに試写を繰り返している宮崎貞安さんのニューレンズ、
Histrio-Prot40mmF6.3とまったく同じ焦点距離です。
その原型のプロターもキノプラズマートも設計者は同じ、
パウル・ルドルフ博士ではありませんか?
そのせいでしょうか?

そして、今、気づきました。
開放値はぜんぜん違うのに、描写性にかなり似たところがある、
そんな感じがする?
いかがでしょうか?
私の勝手な思いこみでしょうかねえ?





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by Sha-Sindbad | 2017-05-25 23:18 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)

1801 記憶(2017年4月10日キノプラズマート20㎜F1.5奈良町にしっとりと)Part 4


私は極めて狭い人生を送って来ました。
テレビを観なくなって何十年でしょうか?
誰もが関心を持つようなことに一切関心を寄せず、
と言うより、そんな関心が存在することすら知らず。
誰もが知っているようなこともほとんど知らず。
いやなこと、邪悪なこと、汚れたことは切り捨て、
私が心から望まない交際は一切絶って生きて来ました。

だからと言って、仙人のように生きて来たわけでもない。
要するに、狭い人生を生きてきました。
引退して第2の人生に入ると、さらに狭くなったようです。
そんな中で、ますます美しいものへ傾斜を深めています。

先頃肺炎を患った顛末は再三書きましたが、
なんのダメージもなくするりと疾病のクライシスから脱して、
さらに健康に自信を深め、
今、人生で一番健康で、一番敏捷で、一番頑健になった、
そんな感じをますます強め、
自分の人生にさらに集中する姿勢を強めつつあります。

どこに向かって集中するのか?
もちろん、美へ!

目下、キノプラズマート20㎜F1.5の写真を並べていますが、
これらの写真をご覧になったら、一目でお分かりでしょう。
眼を汚すようなもの、心に影を投げるようなもの、
どこかの首相や大統領の頬の弛んだ顔も含めて、一切うっちゃって、
私が見つめる美しいものはこんなものたちなのです。

私は、私の美しいものたちを人と共有したいとは思いません。
私が現に美しいと思うから、こうして撮影、ブログに掲載する、
だから、ブログは私の美体験日誌、
ただこれだけの意味しかないわけです。

「どこが美しい? ただの薄汚れた、ありふれたガラクタじゃない?」
そうお感じになるかたも多いことはよく分かっています。
それはつまり、あなたが私のブログと無縁だということだけ。
自分の体験を人に是認してもらいたい、共有してもらいたい、
なんて、これっぽっちも思っていません。

よく考えてみると、若いときからずっとこの調子で生きてきました。
誰にも知られることもなく、人から尊敬されることもない、
私はそれが一番だと信じてきました。
なぜって?
誰にも気兼ねなく生きることができるから。

キノプラズマート族って、そんな生き方をする私にはかなりふさわしい。
キノプラズマートというレンズはほとんど話題にならないし、
使ったことがある人もかなり少ない。
描写はかなり恣意的で、
どんなに使い込んでも、結果を予見することはできない。
だから、私はいつまでも写真を楽しめるのですから。




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by Sha-Sindbad | 2017-05-23 20:41 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)

1800 記憶(2017年4月10日キノプラズマート20㎜F1.5奈良町にしっとりと)Part 3


おー、おー、ついにこのブログの記事も1800の大台に載りました。
よい機会なので、種明かしを一つプレゼントしましょう。
(すでに何度も何度も書いてきたことですが)

ときどき、写真に対して、過度な期待を寄せられ、
また、写真家自身が過度な期待を持ってしまうことがあります。
すなわち、「写真作品は深い精神性をたたえていなければならない。」

私が自分の写真を絶対に「作品」と呼ばない理由がここにあります。
私の写真に精神性などかけらもないからです。
あるのは、ただの2次元の見かけだけ。
あるとしたら、「わあ、いいなあ!」という讃歎の気持ちだけ。

写真家のみなさん、胸に手を置いて、よーく考えてみましょうね。
「自分に深い精神性があるか?」
「うん、あるよ」と答えられる人は政治家にでもなりましょう。
絶対に写真家になろう、なんて思わないように。

私は、「精神性」などというような高邁な要素など自分には無縁、
そうはっきり知っています。
まああるとすれば、過剰な期待と過大な反応、それ位でしょう。
おかげで、路傍のどんな取るに足りない欠片にも即座に触発され、
大げさなくらいに上機嫌になれるわけです。
でも、写真の奥底を深く探ろうとしても、なにもない。
奥底そのものがない。
2次元の平面の模様だけ。

私の写真の師匠田島謹之助さんに深く慨嘆されたことがあります、

    「あんたの写真って、なにかあるぞっと思わせるけど、
    よくよく見たら、なんにもないなあ」

ここでは、どうやら、キノプラズマートというレンズが、
そんな幻影を生み出してくれているようです。
ありがとう、キノプラズマート!





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by Sha-Sindbad | 2017-05-22 23:59 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)

1799 記憶(2017年4月10日キノプラズマート20㎜F1.5奈良町にしっとりと)Part 2


長い間、私は一つ誤解をしていました。
私たち一般人が使うスチール写真用のレンズが最高、
漠然とですが、そう考えていました。
映画用レンズなど使ったことがなかったので、
当たり前と言えば、当たり前ですが。
でも、どうやら間違っていたようです。

遙か昔から、映画には莫大な資金が投資され、
成功すれば、その投資の見返りは大変なものでした。
そんな映画の成功不成功の決め手になるのは、
大抵の場合、映画としての出来不出来だったわけですが、
この出来不出来を左右したファクターの一つが、
画像、イメージの美しさ、迫力、リアリティでした。
そして、その決め手となったのは、カメラマンとレンズ、
この2つだったようです。

どうやらカメラマンはコンテに従って撮影するようです。
黒沢明、小津安二郎のような名監督は見事なコンテを作っています。
でも、そのコンテを最大限活かして映像にするのはカメラマンであり、
優れたレンズだったのです。

映画カメラマンは、ディレクター、監督、主演俳優たちを頂点とする、
集団製作のスタッフの一員として活動するので、
写真家たちのように、個人的名声を築くことはかなり難しいようです。
でも、名画には必ず名シーンがあり、その名シーンを活かしたのは、
カメラマンであり、名レンズでした。

だから、映画用レンズの製作には膨大な資金が投じられたようです。
アストロ・ベルリン、アンジェニュー、ツァイス、
キノプティック、ダルメーヤー、フーゴ マイヤー等々、
優れたレンズメーカーの多くの主力製品は映画用レンズだったようです。
キノプラズマートの「キノ」は「映画」を意味するようです。
語源はどうやらギリシャ語のkinein(動く)であり、
この言葉からkinema(キネマ)あるいはcinemaが生まれたようです。

ツァイスの偉大なレンズ制作者パウル・ルドルフ博士は、
ツァイス退職後フーゴ マイヤー社に移って、キノプラズマートを考案したのです。
36㎜映画用キノプラズマートはついに私の手の届かぬ高みに舞い上がり、
私が手に入れることができたのは、8㎜、16㎜用のキノプラズマート。
だから、名画とは無縁だったでしょうけど、
民生用のいわばプアマンズキノプラズマートたちを使うにつけて、
その魔術的な実在感にうっとりさせられるのです。
シネマ用の主力レンズを開発するための人的物的投資の成果は、
きっとこうした廉価版映画レンズにもしっかり反映している、
だから、こんなに深みのある画像をプレゼントしてくれるのだ、
そう考えたいですね。





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by Sha-Sindbad | 2017-05-21 20:55 | Kinoplasmat20/1.5 | Comments(0)