レンズ千夜一夜

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1757 奈良町(フローライトアポクロマート135㎜F2.4が奈良町で劇的勝利を)9


2月11日土曜日、
劉継紅先生の講義「大海啊故鄉」一曲完成講座

先生の講義を聴きながら、思い出した映画があります。
イングリッド・バーグマン主演の『秋のソナタ』(1978年)
バーグマンは母であるピアニストを演じます。
かつて棄てた娘を訪ねます。
娘もピアニストを目指しています。
娘の演奏に耳を傾けた後、母は、その曲の性格や、
パッセージごとに細かく雄弁に演奏の心得を聴かせます。
娘が想像したこともないような深く透徹したアプローチ。
娘は、母にはとても追いつけない才能の深い溝を感じます。

私が劉継虹先生の講座を聴きながら感じたのは、
ちょっと筋が違います。
私は、別に二胡の演奏家になりたいと思っているわけではない。
単に偉大な演奏家に接する機会を得て、
いわば二胡のレッスンを楽しむことを趣味にしているだけ。
でも、先生の語り口はバーグマンそっくりでした。
曲のことを知り尽くした、そんな感じ。


実に魅力的な曲です。
まあ、お聞きになってください。
大海啊故鄉 (電影原聲) The Sea, The Homeland (Original Soundtrack)
https://www.youtube.com/watch?v=sILzhr-bhiM 
テレビドラマでしょうか?
その主題歌です。
劉継紅先生がドラマの中で流れた二胡を独奏されたのですから、
作曲家王立平から実に細かい演奏の注文を受けながらの演奏だったそうです。
曲のことを知り尽くしておられるのも当然です。

可愛い歌手の卵による現代的な演奏も一つお楽しみください。
程晨 《大海啊故乡 》
https://www.youtube.com/watch?v=h4r3zXMWKKM
猛烈に簡単に歌です。
ところが、劉継紅先生はその楽譜の中に、
この曲を魅力的なものにする数々の工夫や独奏を、
玉手箱から宝物を一つ一つ取り出すように解き明かして下さいました。

ほとんどの演奏家がただ単純に歌い、演奏しているだけなのに、
劉継紅先生の二胡は想像を絶するほどにさまざまな技をちりばめて、
心に深く浸透して来る情感をたたえて、聴くものの心に食いこんできます。
そんな工夫を惜しげもなく教授されるのです。
もちろん私はまだ開放弦しか弾けない素人なので、ただの見学。
残念です。

すでに二胡教師をしておられる受講者が、
いきなり指名されて、一人で演奏されました。
驚くほどに見事な演奏でした。
先生がその長音をさらに印象深くする演奏法を伝授されました。
もう一度その方が冒頭部分をアドバイス通りに演奏されました。
もうそれだけで、ぐっと深い情感を讃える音楽になりました。
魔術。

今年一杯、この一曲完成講座が続きます。
ご自分が二胡独奏を担当された映画、テレビドラマの名曲が
いくらでもあるので、その中から生徒さんのリクエストを受けて、
順次採り上げられます。
次回は「少林寺」、その後は「紅楼夢」の名曲2曲が続きます。
日程は「劉継紅二胡 大阪教室」ホームページをご覧下さい。

とにかく日本国内に沢山活動している二胡講師の中で
けた外れに飛び抜けた大演奏家です。
すでに20数回講義、レッスンを受けましたが、
その度に心が揺さぶられ、奮い立たされる体験。
今回も3時間半、ほとんど立ち尽くめで講義。
今まさに絶頂期の迫力。
実に見事に雄弁な語り口、もちろん日本語です。

終わり付近で、2種類のアプローチによる模範演奏。
さらには、名曲「良宵」の作曲者、劉天華が自分の曲をどう弾いたか、
そのデモンストレーションもしていただきました。
劉天華、張鋭先生、劉継虹先生は順次師弟関係なのでできる芸当。
1日経っても、まだ少し興奮しています。

とって付けたようで申し訳ありませんが、
今この瞬間、突然、後悔!
ああ、先生のあの演奏姿を、
フローライトアポクロマート135㎜F2.4で撮ればよかった!





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by Sha-Sindbad | 2017-03-12 23:42 | Fl.Apochromat135/2.4 | Comments(0)

9.4 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「4 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしのびやかに」


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シネレンズを使っていますと、
「風姿花伝」の世阿弥の言葉を感じます。
秘すれば花なり
秘せずば花なるべからず
近ごろのレンズには、これがありません。
とにかくよく写る、みんな写る、どこまで写る。
写れば写るほど、私の心からは遠ざかります。
ヴェロスティグマート25mmf1.5って、とにかく写りません。
霞をかぶったようです。
でも、その茫洋たる画面の中から、
ふんわりと浮かび上がってくるものがあります。
私にはそれが「花」に見えます。
by Sha-sindbad | 2011-06-22 21:57 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.3 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「3 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしっとり系」


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このレンズ、オークションで1万円ちょっとでした。

ことさら入手価格のことを申し上げるのは、
クラシックレンズの場合、価格と値打ちとは必ずしも比例しない、
そう言いたいからです。

もちろん、とくにレンズの場合、
価格が高いものは、名レンズ故の人気のせいでしょう。

でも、クラシックカメラの市場価格というのは、
写真を撮りたいユーザーが作るのではないようです。
ディーラーとコレクターが決める。
その場合、稀少性、話題性、ネームバリューがキーポイントでしょう。

美しい写真が撮れるということは完全ならち外。
これには当然の理由があります。

「美しい写真」とは何か?
人によって、ぜんぜん違うのですから。

とりわけ、私のように、
きたない、きれいの基準が人とずれている人間にはとても好都合。
人が、ちゃんと撮れない駄目レンズと烙印を押しても、
私の写真にはぴったり適合しているかも知れないのですから。

このヴェロスティグマート25mmf1.5というレンズ、
でも、オーソドックスな美の観点から観ても、
かなり美しい開放描写をするレンズなのじゃないでしょうか?

もちろん周囲は暴れていますが、
暴れ方もかなりおとなしく、中央の描写を邪魔していませんね。
今回の写真、私が感じたそのままを描写してくれました。

しっとりとした気持ちで撮りたいときには、
このレンズがよいかも知れませんね。
by Sha-sindbad | 2011-06-21 20:21 | CineVelostigmat25/1. | Comments(2)

9.2 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「2 ヴェロスティグマート25mmf1.5は空気が撮れる」

シネレンズを使えば、使うほど、分からなくなってきます。

一体、レンズの性能って、なんなのだろう?

友人が1993年12月アサヒカメラ増刊号の対談記事を送ってくれました。

東大の小穴教授、
「私どもの言う理想のレンズとは、
ひとつの平面上の図形が、ひとつの平面に忠実に結ばれるものですね」
つまり、テストチャートを写して、前面が非常によいピントであることが理想。

これに対して、木村伊兵衛が反論します。
「ライカのレンズはチャートになると駄目なんですよ」

小穴教授、
「ですから、いいレンズと言っても、私たちが言う、いいレンズと、
木村さんが女の人を写す場合の、いいレンズとは、違うんです」

でも、そうだとすれば、いいレンズというのは、
撮りたいものをちゃんと撮ってくれるレンズなのですから、
テストチャートとは無関係ではないか、そう思えてきます。

小穴教授は、レンズ作りの立場から反論します、

「あらゆる場合にいい結果を得ようとしたらば、
やはり平面にピントの合うやつでないと、融通が利きません」

でも、木村伊兵衛は、まったく動じないで、有名な言葉を吐きます、

「ライツのレンズは、チャートを移動すれば、今まで崩れていたものが
合ってしまったり、いろんなことをするんです。
立体を撮るには、完全なレンズで撮るよりも、
デッコマ、ヒッコマのあるレンズで撮る方がいいんですよ」

編集員が、例のとおり、取り持ちを買って出て、口をはさみます、
「いい場合もある、って言う訳でしょう?」
木村伊兵衛は、さすが大写真家、ちらっとも揺らぎません、

「そうじゃないんだ。
その方がいいんです。
風景だって、そうです」

なぜか?
小穴教授は、「あらゆる場合にいい結果を得よう」という前提を置きますが、
一本のレンズであらゆる場合にいい結果を得ようなんて考える必要がありますか?
万能のレンズなど、幸せの青い鳥みたいなものです。
無理に探したいと思う人は、探せばよろしい。

でも、特殊な写真を撮る人間にとっては、
ある特殊な状況、特殊な被写体を、他のどのレンズよりも凄く撮ってくれる、
そんなレンズがあれば、それが一番。

自分の撮りたい状況、撮りたい写真をしっかりと見極めて、
それに最高のレンズを探すのが、最善なのです。

シネレンズはまさにそれ。
このヴェロスティグマート25mmf1.5なんて、
テストチャートにかけたら、破壊的な結果でしょう。
でも、それがどうした、そう言いたいですね。
こんな風に撮ってくれるのであれば?


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by Sha-sindbad | 2011-06-20 14:47 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.1 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「1 ヴェロスティグマート25mmf1.5は柔和」


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ウォーレンザックのシネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5。

メイヤーのプリモプラン、キノプラズマートにかなり似たデザインの、
いかにもよく撮れそうなシネレンズです。

1930年代に作られたBolex 16mm用のレンズだったそうです。
とても廉価なレンズでしたが、
触ってみて、驚きました。
とてもしっかりと作られ、持ち重りのするレンズです。

撮ってみて、驚きました。
大口径だけに、レンズも、キノプラズマート風に大きく、クリアー。
そして、開放でも、像が緩むということはありません。

映画用レンズの能力にますます驚いています。



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by Sha-sindbad | 2011-06-19 20:07 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)