レンズ千夜一夜

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1245 美章園高架下商店街 (コーラルH45mmF1.9はまるでノクトン)



アイレス写真機製作所が1959年発売したレンジファインダーカメラが、
アイレスバイカウント(Aires Viscount)
そこに付けられたレンズは、

    コーラルH45mmF1.9。

当時一流だったフォクトレンダーのプロミネントに対抗する、
日本製だったようです。
レンズもノクトン50mmF1.5に対抗して、F1.5まで用意されたようです。

畏友RAさんからお借りして使ってみました。

    ライカMマウント改造版です。
    まるでノクトン50mmF1.5そっくりに華麗で切れがいい。
    
このあたりの日本製レンズの性能は、
なかなかどうしてドイツ製に負けていません。

    レンズに堪能な写真家なら区別できるのかも知れません。
    でも、コーラルとノクトンの写真をランダムに見せられたら、
    両レンズの写りの差を判別できる人がどれだけいるでしょう?

    昔、ヤシカコンタックスのツァイスレンズが評判をとったとき、
    写真を見て正確に判別できたのは林忠彦さんだけだった、
    というお話を聞いたことがあります。

コーラルH45mmF1.9も、堂々たる標準レンズですが、
今では知る人ぞ知る、マイナークラシックの位置に甘んじています。

    日本製であることが邪魔をしたかも知れませんね。
    私の印象は、ノクトンと比べると、やや立派すぎる写り。
    ほとんど完璧な描写力。
    私のように、破綻だらけのレンズに魅力を感じる人間には、
    破綻がないのが、どこか物足りないという感じ。

これは当時の他の日本製クラシックレンズと共通している不満。

    独仏英のレンズたちが見せてくれるような、
    はじけるような閃き、きらめきをどこかに感じる、
    そんな遊び、余裕が心をくすぐります。
    そんな気配がみじんもない、というのはちょっと残念。




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by Sha-Sindbad | 2015-01-28 15:43 | Coral45/1.9 | Comments(5)

1243 美章園断章 (ダルメイヤー25mmF1.9は未練たらしい動物の生み出したものだった?)

ダルメイヤー25mmF1.9の前回記事に、
petzvalさんからコメントをいただきました。
その文章はコメント欄にひっそり収まっているにはあまりにも惜しい。
本文の方に引っ越しさせていただきました。

    「ダルメイヤー25mm f1.9万歳!
    その昔、蓄音機を初めて聴いた人は
    ラッパの奥で歌手が歌ってる!と勘違いし、
    肖像写真を撮ってもらう時、
    魂を取られる!と勘違いした。。。
    現代人は笑いながら「昔の人は幼稚で単純だった」と言う。
    本当にそうだろうか?と私などは思います。
    人間とは「未練たらしい動物」です。
    消え去る音やイメージを何らかの方法で
    どこかにとどめておいて再生したいのです。
    これがすべての再生芸術?の根本にあるのだと
    私は強く信じております。

    これだけの説明だと単純に聞こえるでしょうが、
    実はもっと深いのです。
    ただ機械的に、あるいは科学的に再生するのでなく、
    消え去ったはずのものが、今そこに、
    目の前にあるかのように錯覚したいのです。
    いつまでもいつまでもそれを握りしめていたいのです。
    音にしろ、イメージにしろ、これこそが再生の原点なのです。

    19世紀の人たちは、恐らくこうは意識してなかったでしょう。
    ただ、彼らの深層意識にこのことが染みついていたのです。
    だから、ペッツヴァールもエジソンも恐ろしくリアルな再生装置を
    つくり出してしまったのだと私は思っています。

    こんな主張をすると、アッハッハと笑う人がいます。
    エジソンの蓄音機の音がリアルだって? 
    ベストのコンディションで痛んでないレコード(円筒管)を聴くなら、
    このことはイヤと言うほど思い知らされます。

    宮崎さんは言われました:
        「ペッツヴァールレンズの中心部はシャープ、
        でも、ただシャープなだけじゃない。。。」
    未熟者ではありますが、私に言わせるなら、
    中心部の像は画面から「浮き出る」のです。
    まさに「そこにある!」のです。

    やがてツァイスが新しいガラスをつくり出し、次に3枚玉が発明され、
    写真は「隅々までシャープ」に発展して行きます。
    確かにプロターの質感描写やトリプレットの透明感には
    惜しみなく拍手を送りたい。
    でも、イメージは浮き出て来ないで、
    紙の中に大人しくおさまっているのです。。。
    そうは言っても、私はペッツヴァールだけじゃなく、
    プロターもトリプレットも大好きです。
    まだ「時代の精神」は薄まっておりません。

    ただ、その後の時代、
    特にここ数十年間のレンズや音響再生装置の「進歩」?を見ておりますと、
    「ああ、人間はもはや未練たらしくなくなったんだ。。。」
    と言ってしまいたくなるのです!」

ペッツヴァールの魅力をこんな風に書いていただくと、
とても納得してしまいます。

    というのも、私は、SPレコードのリアルさを体験しているからです。
    金沢の蓄音機館で、戦前の大テナー、ティト・スキーパを聴きました。
    たしかHMVのラッパ型の手回しの蓄音機。
    そのラッパから等身大のティトが飛び出してきました。
    フロトーの「マルタ」だったと記憶しています。
    SPからのLPへの復刻版で永年親しんでいたティトが、
    まだ生きていた!

現代ディジタルレンズの完璧な描写が実はなんの魅力もないことも、
これまで口を酸っぱくして書き続けてきました。
今、百万人の見方を得たような気持ちです。

私がティト・スキーパと出会った体験は、
ベラスケスが黒人の青年を描いたときにも同じことが起こりました。

    絵と実物とを知らぬ間にすり替えたのに、誰も気付かなかった。
    思うに、細かく描いているから、ではありません。
    もっと別の次元の生命感に満ちた太い描線が
    錯覚を生み出したのでしょうか?

「未練たらしい動物」、petzvalさんはそう喝破されました。

    私がホロゴンで仰天してきたのも、そんな気持ちかも知れません。
    自分の忘れやすい、うかつな視線で描いた像ではなくて、
    4Bの太い芯の鉛筆でぐいぐいと筆を惜しんで描かれた水墨、
    そんなイメージが私の心をとらえたのです。

ペッツヴァールレンズに再び見果てぬ夢を見そうです。
ホロゴンで抱いたのと同じ思いをまったく別のイメージで体験したい。

以前に私はダルメイヤー25㎜F1.9についてこう書きました、

    「このレンズも神様の贈り物のようで、
        私は大変に神様に愛されているようです。」
    「武士の妻のような凛々しい穏やかさが身上」
    私のこのレンズに対する思いは、
    手に入れた当時から格別だったわけです。

petzvalさんのコメントで知りました、

    その思いはペッツヴァールレンズ愛好者の皆さんにも通じるようだ。
    厳しい寒さですが、私の心はとてもあたたかい。





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by Sha-Sindbad | 2015-01-27 01:05 | Dallmeyer25/1.9 | Comments(7)

1242 喫茶店で (ダルメイヤー25mmF1.9は古色蒼然のたたずまいが好きらしく)



petzvalさんからNo.1240でとても簡単にお答えしにくいコメントを頂きました。

    こんなにお答えしにくいコメントははじめて。
    私の思考力を軽く超えているからです。

私の文章をご覧になったらお分かりのように、
私の思考はごく単純。

    ただの直感と連想で単文を連ねるだけ。
    撮影と一緒です。
    パッと浮かんだら、パッと捉まえる。

petzvalさんがおっしゃるとおり、
私は表現などいたしません。

    2つのブログにすでにかなり沢山の、
    どうやら8000を超える文章を書きましたが、
    自分の写真が表現であると書いた文章は一つもない筈。
    自分が写真家であることか、写真作品を作るとか言ったこともない。
    そんなこと、思ってもいないからです。
    ただの素人が私の心を騒がせてくれるものたちとの出会いを、
    写真という形で残したい、ただそれだけ。

petzvalさんがおっしゃるとおり、その瞬間、どんな写真になるかなど、
考えたこともないし、まして期待したり、企図したりしたこともない。

    すべてがレンズと神様の賜物。

    ですから、私は自分の写真を誰よりも早く喜び、
    こんな写真を私にプレゼントしてくれたことを深く感謝し、
    撮ったときの気持ち、状況を思い出して、
    自分の人生を再確認するのです。

    私の写真は極めてプライベートな記憶の鍵。

petzvalさんのカナヘビのお話、一編の短編のようです。

    そんな深く感じる心をお持ちの方に出会えたのは喜びです。
    私はもっと刹那的で浅い。
    突然、予感もなく異貌のイメージが地面からふわりと立ち上がり、
    私を喜ばせてくれます。
    すると、さっと撮って、次のインスピレーションを追いかけて移動。
    こんな風に一日中ただかけずり回るだけ。

昨日も撮影枚数は800枚を超えましたが、
これだけの出会いを深く心にあたためることなんて、
人一倍記憶力の悪い私は無理。
でも、心配無用。

    ちゃんとレンズが記憶してくれて、
    出会いの喜びを意外なイメージに直してくれるのですから。

petzvalさんが子供の喜びをお書きになっていますが、
実のところ、私は未だに子供なのでしょう。

    「小さな水槽の中に宇宙を再現した!」とお書きですが、
    私のロボグラフィもかなりこれに似た気持ち。

    路地の片隅に一瞬現れる宇宙の顔をさっとなぞった気持ち!

この気持ちは、小学生の頃、教室の隅でもちあげた鉛筆に、
深海をゆらりと潜航する潜水艦を見たときから、
また学生の頃ワーズワースに出会ったときから変わらようです。





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        [後書き]
          阪和線美章園駅界隈の、阪和線の高架下を
          さまざまなお店、民家が埋めています。
          これがとてもクラシックで、絵になります。

          200mほどでしたか、東側の道を南下し、
          その後、西側の道に移って北上しました。
          美章園駅近くに戻って、高架下の喫茶店に入りました。

          年配のご夫婦がやっています。
          壁面の3枚の風景写真はご主人。
          調理スペースに面したカウンター席の上の仕切壁には
          奥様の絵が並んでいます。

          お二人の作品はなかなかの出来。
          お二人がそれぞれにご自分の趣味を
          楽しんでおられる様子がありありと浮かび上がります。
          これはなかなかに難しいことですね。

          おかげで、とても雰囲気のよい喫茶店で、
          とても素敵なアートを楽しみながら、
          しばしの安らぎを味わうことができました。

          こんなやさしい気持ちにダルメイヤーはぴったり合いますね。
by Sha-Sindbad | 2015-01-26 00:25 | Dallmeyer25/1.9 | Comments(0)