レンズ千夜一夜

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1927 肘塚(2017年10月1日ズマール50mF2で裏町を伝い)2 なんでこんな写真?


私の友人には正真正銘の写真家が数名います。
その作品を好むと好まざるに関わらず、
その人らしい精神と作品性がしっかりと刻印されている、
そんな写真を撮り続けている人、それが写真家です。

その一人はストリートフォトの達人なのですが、
と言っても、なんのことはない、
上記の写真家たち全員がストリートフォト。
それはともなくとして、この達人、かなり昔のことですが、
何を思ってか、選りに選って、従兄弟に作品を見せたのです。
その人、困惑した表情で、沈黙のまま見終わって、一言、
「あんた、なんでこんな写真撮ってるんや?」

間違って私のブログを訪問してしまった方もご同様でしょう、
「この人、なんでこんな写真ばかり撮っているの?」

今回はまさにそんな写真ばかり並んでしまいました。
幸い私の場合、そんな迷い込み組以外には誰も来ないので、
困惑する方はほとんど居ないでしょう?
ですから、私にとってここで大切なことは、
私自身が、こんな写真を撮る理由を知っていること、
これだけ。
理由は明らか。
私は、端的に出会いを喜んで、記念に撮っているだけ。

なぜ、喜ぶか?
誰一人観るものがないのに、路傍で満ち足りて微笑んでいる、
みすぼらしいけど、なぜか無視できない形姿に、
自分の人生を重ね合わせているのでしょうか?
私も、人に知られることもなく、
でも、自分では満ち足りた人生を送ってきました。

なぜ、満ち足りているのか?
私が背伸びをせず、手の届かないものを求めることがなく、
手に入れたものがなんであれ、それこそ欲しかったものと、
心から満足して生きて来たからでしょう。
すぐれた業績を上げようと、生半可な結果には満足せず、
ひたむきに努力する人間というのではなく、
自分の人生をひたすら楽しんでいる人間なのでしょう。

それにしては、せかせかと忙しく撮り歩いてるじゃない?
いいじゃないですか?
人生のリズムって、誰にも固有のものがあります。
私の場合は、せかせかリズムが標準。
これを外すと、勘が狂います。
端から見たらせかせかでも、
私はこれで十分ゆったりしているわけです。




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by Sha-Sindbad | 2018-01-21 21:13 | Sumar50/2 | Comments(0)

1926 肘塚(2017年10月1日ズマール50mF2で裏町を伝い)1 日記の効用


さあ、次のシリーズと参りましょう。
我が家から奈良町に行きたければ、
車のない私のルートは2つ。
バスか、歩きか?歩車いずれにしても、本来のルートとバイパスがあります。
バイパスは旧天理街道ぞいの肘塚という下町を突っ切るコース。
「かいのずか」と呼びます。

私にとっては、第一級とは言えなくても、第二級路地。
1時間半ほどかかりますが、ロボグラフィ撮影を満喫できます。

ちなみに車のないのは、一つは私の資力のせいですが、
もう一つ、私は交通事故必至の不注意人間だからです。
ふっと夢想、瞑想に落ち込みます、時と所お構いなく。
そんな人間は車など使ってはならないから。
おかげで、歩くことが苦になりません。

さて、本シリーズ。
銀塩35㎜用レンズとしては、私のお気に入り十傑に入る、
ズマール50㎜F2をソニーα7に付けました。
3回シリーズで回想することにします。

本文の方は前回の続き。

私は、幸いにして、前回書いたような思い違いをしなくて済みました。
独創的な写真を撮りたいなんて、ちらっとも思わないからです。
私と違って、断然独創的な写真を撮れる友人が何人も居たので、
まちがっても、自分に写真の才能があるなんて、思えなかったから、
ということもありますが、
そうでなくても、自分の写真を見れば、ただ、撮っただけ、
ということは一目瞭然だったからです。
私にも「見る目」はあるようで。
そして、なによりも、写真は私の視線の記録に過ぎない、
そう知っていたからです。

人が私の写真を観たら、どう思うだろうか?
なんてことを想像することすら、忘れて、すでに十年以上。
自分の写真を分け隔てなく撮影順に掲載できる、
ブログという媒体に写真記録も順番に並べて、
自分の日記として楽しむ、これが私の写真ライフの主体。

私にとっては、ブログは、まさに「夢ツール」。
夢は自分一人で観るもの、楽しむもの、
そして、目覚めると、忘れるものです。
だから、信じられないことかも知れませんが、
私は、2つのブログに、思う付くままに書き連ねた文章、
さっと好みの写真を選択して、順番に投稿してしまうと、
記事の大半を読み返したり、
写真を見返したりすることがありません。
(その証拠に、たまに以前の記事を見返したりすると、
同じ写真が2枚並んでいることがよくあります。)
見返す暇はないからですが、
そもそも、見返したりしないのが日記、
そう考えているから。
日記とは、明日思いっきり生きるがために、
今日一日のことを整理し、区切りをつけるため、
なのですからね。




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by Sha-Sindbad | 2018-01-19 21:59 | Sumar50/2 | Comments(0)

1925 依然として号外(2018年1月5日ペッツ57mF2持って散歩へ)2-完-隠れもない天才 



写真趣味の深みにはまった人に見られる顕著な現象の一つ、
それが「独創性蜃気楼現象」でしょう。
別名、「隠れもない天才現象」!
カメラという高機能ツールの助力を得ている写真特有の現象です。
だから、この現象はカメラの発展につれて増加傾向を見せています。

小学校低学年の子供ですら、しっかりとした写真が撮れます。
シャッター速度、絞りを自分で選択し、ピントを手動で合わせる、
20年以上前のカメラを使う人にはあまり見られなかった現象です。
シャッターを押せば、なんとか撮れてしまう現代のカメラを使うと、
「おれ、天才みたい!
コワーイ!」

ストリートスナップだって、お手の物です。
ただ、カメラを動かしながら、シャッターを押せばよいだけ。
カメラの操作の習熟と手練の早業と瞬間的判断力と、そして、
たじろがぬ度胸を必要としたマニュアルカメラ時代とは大違い。

だから、近ごろでは、初心者カメラマンは、自動車と違って、
初心者マークなど付けていません。
どなたも、いかにもベテランという風情を漂わせています。
まさに写真のカラオケ現象。

私は、オートフォーカスカメラなるものを使ったことがないので、
幸い、そうした現象から免れてきました。
そして、偉大な写真家たちの創造的名作を沢山見てきましたので、
まさにアマチュアピアニスト、ヴァイオリニストと同様に、
自分を天才だとか、プロはだしだなんて、
思い間違うエラーとは無縁できました。
その副作用として、現代の自称傑作を拝見しても、
「わあ、凄い!」と喜ぶのですが、その写真が目の前から消えると、
さらりと忘れてしまい、思い出すこともありません。
本当の傑作は心の奥底までぐいぐいと突き刺さってきて、
生涯忘れることができないものです。

だから、写真の天才判別テストがあるとすれば、こうでは?
あなたの写真を幾十枚か、誰か他の人が見て、
あなたにこう言ってくれるか?
「心の奥底に突き刺さって、忘れようとして忘れられない傑作が、
少なくとも10枚はありますよ!
あなたのような写真家にじかに出会ったの初めてですよ!」

自分で自分の写真を眺めて判定することなどできませんよ。
自分の写真を眺めるときに、特有のフィルターがかかります。
「我が身かわいさの依怙贔屓フィルター」
そして、写真の天才、天才とは言えなくても、本物の写真家、
そんな人間に出会えることは、誰の生涯にもほとんどない、
そうお考えになった方がよいでしょう。
まして、自分がそんな写真家であるなんて!??


  [後書き]
    大和路紹介ポスターで絞りテストをしてみました。

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絞りテスト
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by Sha-Sindbad | 2018-01-18 14:57 | Petz57/2 | Comments(0)

1924 依然として号外(2018年1月5日ペッツ57mF2持って散歩へ)1 異貌行路前編


ペッツ57mF2
ますます凄みを見せてくれている、そんな感じがします。

もともとペッツヴァールレンズは、中心付近では見事な切れ味。
その豊かな切れ味によって浮かび上がる主題を、
夢幻的なバックグラウンドがふんわりと浮かび上がらせるあたりに、
ペッツヴァールの醍醐味があります。

ペッツ57mF2では、ちょっと違う感じ。
その醍醐味は少しシフトして、
オリジナルの切れ味に現代レンズ的な厚みとコントラストを加味して、
意外性に満ちた異貌のたたずまいを生み出すあたりにありそうです。




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by Sha-Sindbad | 2018-01-16 23:30 | Petz57/2 | Comments(0)

1923 号外(2017年12月31日ペッツ57mF2が世界初登場!)3 チョロスナlife


気がついたら、もう1月14日ですね。
元旦から2週間も経ってしまっていますね。
昨年11月来、私は疾風怒濤に翻弄される木の葉の生活でした。
撮影に出かけたのはたった一回。
写真は撮ってきましたが、すべて所用の移動のついでに撮っただけ。

むかしから「チョロスナ」は禁物とされてきました。
機会に乗じて、なんにも思い入れもコンセプトもなしに、
チョロッとスナップしても、見る人が見れば、
なんの気合いも入っていない偶然の産物だと分かる、というわけです。

でも、私はまるっきり意に介しません。
昔から、「チョロスナ」しかしたことがないと言ってももよいほど。
ロボグラフィ専科になっても、事情は変わりません。
なんにも作画も意図もないまま、カメラに任せて、シャッターを押すだけ。
このような安直そのものの写真スタイルは誰の目にも明らかなようで、
私のブログライフは静穏そのもの。

2018年はそうした「チョロボグラフィ」人生はさらに深化して、
おっと、浅化していきそうです。
でも、面白いものですね。
私の場合、写真を始めた最初の時点から一貫して、
「チョロボグラフィ」、それが私の写真人生でした。
私という人間がそもそも立身出世も栄耀栄華も無縁の人生に徹して、
公私のすべてにわたり1人楽しむことが喜び、
という人間に徹してきたのですから、
写真だけは別なんて起こりっこなかったわけです。
2018年も生活のすべてのレベルで、
「孤高」ならぬ「孤底」のライフを満喫することにしましょう。

そんな私ですから、ペッツ57mF2では苦戦を強いられている、
そう言ってもよいかもしれません。

颯爽たる気っぷの良さがどうやらこのレンズの身上。
現代的なペッツヴァールを求める方には最適でしょう。
私のように泥臭く低迷するロボグラフィの路地裏をはい回る人間には、
なんだか地が関西人なのに、気がついたら、
東京弁をしゃべってはしゃいでいる、そんな自分に気づいて、
なんだか「浅はか」みたいだな、と、反省を強いられる、
そんな状況に近い感じ。

あるいは、ちょっと極端な喩えですが、
初めてスケートリンクに下り立って、
氷上をよたよた、よろよろ、おずおずと進んでいたら、
突然、脚を取られてスッテンコロリンと宙を舞おうとしたその瞬間、
なぜか、身体をさっと回転させて、全身をフンワリ宙に舞わせて、
すっと氷上に降り立ってしまった、という、
あり得ないハプニングが起こってしまった感じ。
レンズとしての凄みが私をかえって戸惑わせているというのが、
正直な気持ちです。

もっとも、銀塩カメラからソニーα7等のデジタルカメラに移行して、
銀塩時代はボケレンズとして私を喜ばせていたレンズたちが、
かなりキリリとした輝きを見せて、私を戸惑わせる、
そんな傾向をこのレンズも見せてくれるだけかも知れませんが...




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by Sha-Sindbad | 2018-01-14 22:23 | Petz57/2 | Comments(0)

1922 号外(2017年12月31日ペッツ57mF2が世界初登場!)2 橋渡し


カメラマンはどんな写真を求めるでしょうか?
最低条件は明らかです。
完璧な画像。
現代のカメラ、レンズはその要請を満たすべく、
各社、賢明の努力を払っているようです。
私が学んでいる吉田正さんの写真教室でも、
メンバーの皆さんが文字通り最高の画質の写真を持ち寄ります。
そして、そうした最高の画質を下支えにして、
見事な写真世界を積み上げようと、懸命に努力なさっています。

私は?
その正反対かも知れません。
最低の画質を求めて、長年レンズ行脚してきました。
写真黎明期のオールドレンズたちを使ってきました。
現代のレンズがスーパーリアリズムを追求するのに対して、
オールドレンズたちはリアリズムとは対極の、
茫洋、幽玄の境地に傾斜するようです。
私にはそれがたまらない魅力。

このように考えますと、「東は東、西は西」という感じで、
互いに相容れない関係にあるように思えてきますが、
新たに登場したペッツ57mmF2は、もしかすると、
「橋渡し的存在」なのかも知れない、そんな感じがしてきました。
颯爽たる切れ味も見せてくれます。
ペッツヴァールらしい大ボケも見せてくれます。
マルチコートされているせいもあるでしょう。
現代的味わいで蘇ったオールドレンズ、
そんな印象が次第に濃くなってきました。





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by Sha-Sindbad | 2018-01-11 21:22 | Petz57/2 | Comments(0)

1922 号外(2017年12月31日ペッツ57mF2が世界初登場!)1 新古典レンズを高畑町で使う!


宮崎貞安さんから又ニューレンズのプロトタイプが届きました。
昨年届いたHistrioDagonar40/6.3に続き、
19世紀の古典レンズの現代復刻版です。

   Petz57mmF2

ペッツバールレンズを現代に蘇らせました。
ただし、ペッツバールレンズのほとんどは、
かなり大きなサイズのフィルムで使われたので、
35㎜サイズのソニーα7のようなカメラでは、
かなりの望遠レンズになってしまうレンズが大半。
宮崎さんはペッツバールのレンズ構成を若干修正して、
57㎜F2という使い勝手の良い焦点距離に収められました。

さて、どんなペッツバールレンズとなったか?
まずは、ご覧下さい。



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by Sha-Sindbad | 2018-01-06 22:06 | Petz57/2 | Comments(0)

1919 秋(2017年9月18日スピードアナスチグマート25mmF1.5の飛鳥路を歩む)3 謹賀新年


明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

2017年はあっと言う間に過ぎた感じがします。
うかうかと一年を過ごした感じがします。
本年は、心を入れ替えて、一瞬一瞬を大事に生きたい、
そう念願しています。
でも、いつもそんな風に決意しながら、
気がついたら、時間が経っている、そんな感じがします。

早い話、写真がそうですね。
写真を始めた頃は心の底から念願したものでした。
人が撮れないような、入魂の傑作をものしたい!
それ以来40年以上経過し、たゆまず写真を撮り続けてきましたが、
気がついてみると、最初の志とはかなり外れてしまったようです。
人が撮りたくないようなロボグラフィしか撮れない、
自分にだけ分かって、心から満足しつつも、
人にはまるで共感してもらえない写真しか撮らない、
そんな境地にいつしかたどり着いていたわけです。

じゃ、今年はどうするか?
どうもしません。
ただ続けるだけ。
段々と分かってきました。
自分が撮りたい写真なんか撮ろうと思っても、
撮れるものじゃない。
どう思おうが、自分の撮りたい写真を撮るって、
並大抵の技ではかなうものではない。
そうではなくて、自分が撮れる写真しか撮れないのだ。

時折、こんな言葉をもらす写真家が居られます。
「近頃ようやく自分が撮りたいように撮れるようになりました」
羨ましいですねえ。
どんな風に撮りたいのか、今になっても分からないのですから。
そんな私がレンズの個性、描写力に心を奪われるのは当然なのです。
レンズたちが撮ってくれる写真を楽しむことで、
「自分が撮れる写真」にバラエティを与えて欲しい、
それしか私にはできないのだから。
本年も、レンズの贈り物を味わう喜びに徹することにしましょう。



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by Sha-Sindbad | 2018-01-02 23:36 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

1922 号外4(2017年12月27日ヒストリオ・ダゴナール40mmF6.3とモンチッチ)


ヒストリオ・ダゴナール40mmF6.3を使えば使うほど、
画像のあたたかさに身上があるのかもしれない、
そんな感じがしてきます。
立体感と色あいがそう感じさせているようです。

レンズにあたたかさを求めても、仕方がないじゃないか?
そうお考えの方も多いかも知れません。
良いレンズというものの価値、役割は、
完全にニュートラルな再現性にある、
撮影者が主体で、レンズは道具に過ぎない!
そんな考え方です。

私は、写真を始めてからずっと、別の考え方をしてきました。
レンズは伴侶であり、パートナーである、
それが私の偽らぬ気持ちです。

皆様(男性に限定)の伴侶(女性に限らない)もそうでしょう、
けっしてあなたの手の平にはりませんね。
それがいやだ、とお考えの向きもあるでしょう。
私は違います、そう簡単に手の平にるような伴侶では、
長い人生を共にする価値も甲斐もない、そんな感じがします。
私の伴侶など、私の手の平にるどころか、
油断すると、私を自分の手の平に載せようとするので、
まあ、逃げるのに骨が折れます。
でも、逃げている、というのは私の幻想かも知れない、
そんな幻想を醸し出しつつ、私を自分の手の平で踊らせている、
それが真相かも知れません。

レンズもかなり似ています。
おいそれと神髄、性能を見抜けるようなレンズなんて、
撮影を共にする伴侶には不足ですね。
私がレンズに望みたい理想は様々であり、
ときにはレンズによって異なることがありますが、
少なくとも、温かさとメタモルフォーゼ、
この2つは求めたいですね。

Histrio-Prot40mmF6.3、
このレンズはどうやら私の基準に合格、
そんな気がしてきました。



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by Sha-Sindbad | 2017-12-29 22:26 | HistrioDagonar40/6.3 | Comments(0)

1921 号外3(2017年12月22日ヒストリオ・ダゴナール40mmF6.3奈良三条通を駆け抜けた)2


与謝蕪村の画文集を楽しみました。

   「蕪村 放浪する「文人」」(新潮社)

そのラストに写真家野中昭夫の作品群と秀句とを組み合わせています。
誰がしたのか知りませんが、写真と句との対比が見事です。
主に望遠レンズを活用した風景写真、
これが写真なんだなあ、そんな感じがいかにもして、
見事な写真作品です。
芸術新潮のスタッフ・カメラマンとして長年活躍した人で、
写真家としての確固たる地位を築いている方のようです。

写真愛好家の99.9%が異口同音に言うでしょう、
  「いいな!
   素敵だな!」

私もそう言います。
でも、写真家に申し訳ないけど、頁を閉じた途端に、忘れます。
なぜ?
撮影者である写真家の心がどこにも感じられないからです。
感じられない私に問題があるのかも知れません。
でも、とにかく感じられないのです。

偉大な風景写真家たちの作品のほとんどは、
遙かに劣った性能のレンズたちで撮っていますが、
被写体と向かい合って立つ写真家の心が直に感じられます。
写真を通じて、写真家の心と直にふれあうことができます。
撮影時の気分も感じられます。
アンセル・アダムズ、エドワード・ウェストン、入江泰吉、
みんなそうです。

私の勝手な憶測ですが、
現代の最高級レンズたちは、完璧無比の画像というスクリーンで、
写真家の心を覆い隠してしまうのかも知れません。
なぜ?
肉眼を遥かにしのぐイメージだからです。
私たちは、少なくとも私は、
現代の写真イメージのようには外界を見ていないし、
そんな風に見たいとも思っていない。

そもそも私たちはパンフォーカスの目なんか持っていない。
本当に見たいものに注意を集中して見ています。
あとはバックグラウンドの役割でそっと控えておいて欲しい。
(念のため。
ホロゴンはもちろんパンフォーカスです。
でも、写真をご覧になったらお分かりになるでしょう。
写真中心部は縁辺部の8倍の明るさがあります。
そのお陰で、視線は常に中心部に集中する仕掛けになっています)

前置きが長くなりましたが、
じゃ、ヒストリオ・ダゴナール40mmF6.3はどうなんだろう?
現代レンズに劣らない描写性能を示している、
そんな感じがします。
でも、こうして何十枚も並べて見て感じるのですが、
いや、そうなんだけど、やっぱり古典的なたたずまいがあって、
画像は確かにシャープだけど、
現代レンズほどの超絶リアルではありませんね。
そして、背景は背景らしくそっと脇役に廻ってくれる、そんな感じ。
現代レンズとは一線を画する個性がありそうです。




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by Sha-Sindbad | 2017-12-28 21:57 | HistrioDagonar40/6.3 | Comments(0)