レンズ千夜一夜

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1826 名玉極楽(2017年6月1日ズマロン35㎜F2.4で奈良公園散策)4-完-


静かです。
台風3号は私が住む奈良市の真南、
紀伊半島の最南部を通過して、現在、静岡沖のようですね。

昔、宮崎県延岡市に3年住んだことがありました。
春の雨は2ヶ月以上降り続けて、なにもかもがジュクジュクに。
台風は、関西で通常経験するのとは遥かに強烈なエネルギーで、
延岡の町をなぎ倒さんばかりの勢いで通過していきました。

この経験で、台風が渦を巻いていることを初めて実感できました。
一波一波と断続的に襲って来る。
遥か彼方から、助走を付けるように次第に、
バッシャーン、ガッチャーンという破壊音を飛散させながら、接近し、
フォルテッシモの暴風音とともに通過して行きました。
私が奈良で体験したジェーン台風、伊勢湾台風並みの恐ろしさでした。

今回は台風の左側にあたったため、奈良市は平穏無事でした。
洋上を航海中でどこか安全な港に退避するのが遅れた船なんか、
もう地獄のようでしょうね。

思い出しました。
私の新婚旅行は奄美諸島だったのですが、
最初の寄港地与論島では、大型船用の岸壁がないので、
洋上で小型ボートに乗り換える必要がありました。
ところが、島から数百m沖に停船した船は、
台風でもないのに、激しく乱高下。
私たちの船の下船口とボートの高低差は3、4mもあって、
何mも高下しているボートを見下ろすことができました。
「ええっ、どうやって乗り移るの?」
すると、ボートは波に乗ってぐっとせり上がってきました。
その度に、最高点でもまだ高低差が1m以上あるのに、
客は下船口から飛び降り、ボートの船員が受け止める、
まるでアドベンチャーでした。
台風下だったら、そんな芸当、とても不可能でしょう。

当時と打って変って、現在の私は平穏無事に自宅に休養。
高下を20度以上繰り返したでしょうけど、
階段づたいなので、かなり安全ですね。

今回でズマロンシリーズは終わり。
別ブログ「わが友ホロゴン」では、フレクトゴン35mmf2.4シリーズ。
軍配は両方に上がったようです。
なぜ?

漱石の「吾輩は猫である」で、苦沙弥先生が大真面目に、
「どうも出会う女性の6割に恋心を感じてしまう」とかなんとか。
私も出会うレンズの6割は好きになってしまいます。
でも、女性と一緒で(なんて書くと、アホな自民党首脳みたいに、
非難ごうごう浴びるかも知れませんが、ご心配なく、
私も含めて男性はもっとひどいですから)、
多かれ少なかれどこかに問題点があります。

でも、そんなレンズのうちほんの僅かなのですが、
「あばたもエクボ」風に、何が何でも愛しちゃう、そんな例外がいます。
フレクトゴンとズマロンはそんな例外的お気に入りなのです。
その理由は、写真をご覧になったら、お分かりと思いたいですが.......





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by Sha-Sindbad | 2017-07-04 22:42 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1825 名玉極楽(2017年6月1日ズマロン35㎜F2.4で奈良公園散策)3



今でこそたまにしか参りませんが、
以前のクラシックカメラショップには、
一家言のある御仁がたむろしていたものでした。
どんなレンズでも、収差はこうで、ああで、と解析して、
大抵の場合、言下に一刀両断なさる。
でも、よく聴いてみると、1、2本しか撮ったことがない。
レンズ記事の受け売りと、表面的なレンズ性能だけの評価。

でも、私の正直な体験によりますと、
レンズの最初の試写十数本では、
レンズの本当の性能は汲み尽くせないようで、
レンズには、特有の相性、出会いがあるようです。
そうした相性の良い光景に出合ったときに、
とんでもないほど生彩に富んだ独創的な絵を生み出す、
それが名レンズの個性なのかも知れません。

ズマロン35㎜F3.5、後続の超絶35㎜たちと違い、
とても穏やかに落ち着いた姿形のチビレンズですが、
飛び野では鳳凰のように大きく翼を羽ばたかせた感じ。
撮った私本人が一番驚いています。




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by Sha-Sindbad | 2017-07-03 12:20 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1824 名玉極楽(2017年6月1日ズマロン35㎜F2.4で奈良公園散策)2


J.R.R.トールキンの不朽の名作、
「The Lord of the Rings」にEntなる存在が顕われます。
「木の鬚」と訳された、森の住民たち。
トールキンには、エントに限らず、奇想天外なのが沢山登場します。
ジョージ・ルーカスのスターウォーズにははっきりと
「The Lord of the Rings」の影響が見て取れます。
サウロンはダースベーダーに、
ストライダーはハン・ソロに、
フロド・バギンズはルーク・スカイウォーカーに、
ガンダルフはオビ=ワン・ケノービに見事変身しています。
脱線。

Entなる存在をトールキンはどうやって思いついたのでしょう?
春日大社の神域内にある、日本有数の都市内の自然景観、
それが飛火野ですが、その飛火野を包むように、
天然記念物のナギの原生林、古い杉、松林が広がっています。
私は山登り、ワンダーフォーゲルとは無縁の人間です。
そんな人間でも深山幽谷の気分が味わえるのが飛火野。
エントにだって出会えます。

イギリスは、ヘンリー2世、リチャード獅子心王の時代、
森だらけでした。
その後の羊の飼育に伴う囲い込み、工業化と、
エントには厳しい環境に移行していったのですが、
それでも、まだ森は諸処に残っています。
ハハーン、トールキン先生、
イギリス人らしく山野の散策がお好きだっただなあ、
そんな散策の中でエントに出会ったんだなあ。
(余談ですが、もう1つ、トールキンの発想源があります。
シェークスピアの「マクベス」の動く森。
エントたちも最後の決戦の戦場に突然姿を現して、
無敵の活躍をします。
エントの神話的で、超自然的な生き様に照らすと、
ちょっと不自然な人間界への介入なのですが、
トールキン先生、マクベスの伝統を継承したのでしょうか?)

ズマロン35㎜F3.5
いつも書きますが、ライカの花形であるズミクロンや、
ズミルックスよりもずっと自然で膨らみ、余裕のある描写。
飛火野でエントたちとの出会いを記録するにふさわしい、
そんな腹の据わった描写をプレゼントしてくれました。





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by Sha-Sindbad | 2017-07-01 20:45 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1823 名玉極楽(2017年6月1日ズマロン35㎜F2.4で奈良公園散策) 1

前回、こう書きました、

「カメラを手にすると、別世界、別次元に生きることができる!」

今朝、ちょっと時間があったので、
志村ふくみさんの「一色一生」を開きました。
そこで、こんな言葉にぶつかりました。
お母さんの言葉です、

「暑い時も、寒い時も、機さえ織っていれば、
どこへ行くより幸せや。
こうして一人機に向うのが極楽や」

そう、「別世界、別次元」は「極楽」だったのです。

ただし、私の場合、さまざまなレンズを楽しむので、
この「極楽度」はかなりバリエーションがあります。
その度合いを無理矢理数値化してみますと、

言わずと知れたホロゴンが満点の100。

私の愛する変幻ロボグラフィをプレゼントしてくれる、
パンタッカー50㎜F2.3やスピードパンクロ35㎜F2は80点

キノプラズマート群、スピードアナスチグマート群、
タンバール、ゾンネタール50㎜F1.1は70点、という感じ。

つまり、私の大好きなレンズは、メタモルフォーゼを起こす、
ロボグラフィ専科のレンズたちなのです。

じゃ、ズマロン35㎜F3.5はどうなの?
これが難しい。
往年の珠玉の名レンズたちも同様です。
レンズの性格が上記のレンズたちとちょっと違う感じがします。
最高品位の傑作写真を撮るためのレンズたち。
つまり、レンズの味とか個性で語るのではなく、
結果の写真の描写性で語るレンズたちなので、
私のお好みレンズたちとは同じまな板に載らないのかも?

とは言え、このズマロン35㎜F3.5がプレゼントしてくれたのは、
私にとっては、極上のロボグラフィたち。
やっぱり、これもまた私にとっては「愛しのレンズ」なのです。
70点組に入れてあげてよいかな?




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by Sha-Sindbad | 2017-06-30 22:11 | Summaron35/3.5 | Comments(3)

1578 大阪日本橋(ズマロン35㎜F3.5は雨の日だとさらに瑞々しく)Part5



誰かと話していて、対話者がこう言ったとしましょう、
「だいたい大衆というものはねえ..........」
こんな風に話し始めるとき、
大抵の場合、その人は、自分を上位に置いているものです、
エリート、教養人、趣味人、富裕層、上流階級、等々。

そんなとき、あなたは自分をどちらに置いて受け止めますか?
やっぱり、話者と同じラインに乗りますか?
エリート、教養人、趣味人、富裕層、上流階級.....?

私はいつ頃からでしょうか?
はっきりと自覚しました、
私はこのどれでもない。
エリートでもないし、教養人でもないし、趣味人でもないし、
富裕層でも上流階級でも絶対にない。

私は、こうしてブログではあれこれと思考を書き連ねていますが、
これはボケ防止の日記だから。
実生活上の私は完全に衝動と情熱で生きています。
やりたいことを即時実行する、ただそれだけ。
うまくいかなくても気にしない。
次にしたいことが待っているから。

私は趣味人でもありません。
世間的には、趣味に数えられるものを幾つもやっていますが、
なんでいい、私の心をかきたてるものをやりたいから、やっているだけ。
生きる行為、呼吸するようなものです。

私が写真を撮るのは、ただひたすら撮りたいから。
撮りたいものが眼前に次々と現れるから。

よくストリートフォトの写真家を猟師にたとえることがあります。
注意深く視線を走らせ、獲物を発見するや、
素知らぬ顔で、じりじりと迂回しつつ接近し、
チャンスと見るや、突然行動を起こして、一発で獲物を仕留める。

私はこのどれもしません。
ロボグラフィは見つけるものではありません。
向こうから私を見つけてくれるのです。
路地の軒からぽたぽたと雨のしずくが落ちてくる、
近づいて傘で受け止める、そんな行動。

先日、喫茶店で女主人の友人が傘を自慢していました。
「これ、イギリスで買ったの。
こんなに大きくてすっぽりかぶれるので、雨に濡れないのよ」
見ると、おおきくこんもりとしたこうもり傘風のビニール傘。
透明なので、雨のしずくが伝い落ちる様を楽しめそう。
雨の日のロボグラフィが大好きな私です、
かなり羨ましい思いで眺めていました。

ズマロンはどうやらこの大きなこうもり傘風ビニール傘なのです。
おかげで、水滴をいくつも撮ることができました。






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by Sha-Sindbad | 2016-05-17 22:24 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1577 大阪日本橋(ズマロン35㎜F3.5は雨の日だとさらに瑞々しく)Part4



タペストグラフィ
ご存知でしょうか?
ご存知なわけがありませんね。
例によって、私の造語なのですから。
タペストリー、お好きですか?
織物です。
ヨーロッパの城郭、宮殿の壁にかけられています。
装飾の意味もありますが、寒さ対策でもあったでしょう。
図柄は多種多様です。
訳の分からぬ複雑模様が私の好みです。
ウィキペディアの「タペストリー」の項に、
素晴らしいタペストリーを見ることができます。

16世紀フランドルのタペストリー。
鮮やかな花と葉を描いた千花模様(ミル・フルール、万華模様)の地に
ユニコーンが描かれている。
ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館所蔵

私が内心考えて来たのは、こんな写真を撮りたい!
ホロゴン15㎜F8で撮りたい。
でも、ズマロン35㎜F3.5でも撮ってみたい。
そう私に思わせるこのレンズ、やっぱり私のお気に入りなのです。





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by Sha-Sindbad | 2016-05-15 18:16 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1577 大阪日本橋(ズマロン35㎜F3.5は雨の日だとさらに瑞々しく)Part3



ズマロンの残り写真を数えてみました。
なんとまあ、まだ139枚も残っています。
全部で548枚も撮っていたのですから、仕方がありませんね。
30枚、3回で校了、と予定していましたが、
あと3回ほどは続きそうです。

でも、見れば見るほど、ズマロン35㎜F3.5って、
魅力的な描写力をもっているレンズですね。

以前から信じて来たことが一つあります。
写真家として成功したければ、35㎜レンズ一本に絞る、
これが最短距離だ、そう改めて強調したいですね。
でも、こうして並べてみて思います。
ロボグラフィだって、ちゃんと撮ってくれます。
こういうのを「仕事レンズ」って言うんでしょうね。




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by Sha-Sindbad | 2016-05-14 22:27 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1577 大阪日本橋(ズマロン35㎜F3.5は雨の日だとさらに瑞々しく)Part2

今回のシリーズ、60枚から30枚に絞って、できれば3回で終わる、
これが最初の計画でした。
前回は予定どおり厳選できました。

今回はあえなく敗退。
46枚から30枚選ぶのがせいぜいでした。
えり抜きだからではありません。
私の大好きな写真がごろごろ、だからです。

でも、はたしてあなたが気に入る、
それはあなた次第。






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by Sha-Sindbad | 2016-05-14 00:05 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1577 大阪日本橋(ズマロン35㎜F3.5は雨の日だとさらに瑞々しく)Part1



私のブログ2つ。
「わが友ホロゴン」は倉庫に、本ブログはレンズの楽しみと、
使い分けているのですが、
近頃、「わが友ホロゴン」がパンク気味。
出したい写真群が目白押しに並んで待っています。
本来単発的なレンズ談義でさらりと交替しあっている本ブログでも、
お気に入りレンズの写真たちを消化していく必要が大きくなりました。

ズマロン35㎜F3.5による日本橋は総数548枚ですから、
原則的には「わが友ホロゴン」向きの量なのですが、やむを得ません。
250枚ばかり選択してみましたが、1回30枚限定でも、8回もかかる。
バンバン取捨選択のナタを振るい、半分に切り詰めましょう。

近鉄日本橋駅下車、この駅を起点にして、国立文楽劇場、黒門市場、
電々タウン、電々タウンの東側の裏通り、千日前マーケットを経て、
地下鉄御堂筋線難波駅、動物園前駅、すぐ側のJR新今宮駅から帰途に。
ズマロンが久しぶりの出陣に嬉々として撮りまくってくれました。





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by Sha-Sindbad | 2016-05-12 15:56 | Summaron35/3.5 | Comments(0)

1577 バス停まで(ズマロン35㎜F3.5はしっとり系レンズの白眉)


ツァイスとライカは35㎜カメラ用レンズの歴史における双璧、
そう言うことができそうです。
そんなライバル関係を記録した論述を見たことはないので、
ただの想像ですが、
ツァイスは、ライカレンズを恐るるに足らずと軽視し、
ライカは、ツァイスレンズをいつか凌駕してやるぞ、と、
敵愾心を燃やしていたのかも知れません。

両社のレンズの性格を簡単に各1文字で表現せよ、
そんな宿題を与えられたとしたら、どう答えますか?
私にはこう思えます。

    ライカレンズは柔
    ツァイスレンズは剛

ライカレンズの中でも、ライカの特質をよく体現しているレンズが、
戦後まもなく発売されたズマロン35㎜F3.5でした。
でも、ライカは結局、ズマロンではツァイスと戦えないと思って、
ズマロンの後継、ズミクロン35㎜F2を開発したのかも知れません。
その直後にツァイスはディスタゴン35㎜F4を出しました。
超ど級一眼レフコンタレックス用レンズでしたが、
ツァイスの伝統を受け継ぐ、比類のない剛のレンズでした。
コンタレックスが余りにも高価な機種であったために、
結局、コンタレックスは日本の一眼レフに敗北を喫してしまいます。
そのお蔭で、ディスタゴン35㎜F4はズミクロンに遅れをとり、
知る人ぞ知る、かなりマイナーなレンズになってしまいました。

そんなレンズ史の激闘の中で、とくにズミクロンの存在ゆえに、
かなりおとなしい性格のズマロンはあおりを食って、
本来得るべき名声を得ることなく終わったのかも知れません。
でも、使う度に思います。
ズミクロンよりずっと気品と優雅さを備えたレンズなんだけどなあ。

5月6日、このレンズを持ち出しました。
Rieさんがズマロンを手に入れたとコメントしてくださったので、
私も久しぶりに持ち出して大阪日本橋界隈を一巡したのです。

その朝、我が家からバス停までのいつもの田舎道を撮りました。
始点から1つ目のバス停なので、
奈良交通のバスはかなり精確に到着します。
余裕はせいぜい3、4分。
歩きながら、手当たり次第ズマロンで撮ってみました。
私にはとても美しい描写と思えるのですが.....

ただし、最後の3枚は近鉄奈良駅のポスター。
こんな渓流がバス停までの道にあったら、
私も、ロボグラフィトではなくて、
風景写真家になっていたかも知れませんね。
と言うのは、冗談。
渓流写真はとても美しい写真です。
でも、私は絶対に撮りません。
どこにもメタモルフォーゼが入り込む余地がないからです。
でも、ロボグラフィとしてなら、こうして撮ります。
この4行をあなたは理解し、容認することができますか?
できないでしょうね。
つまり、あなたは私と同類ではない、ということ。






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by Sha-Sindbad | 2016-05-11 22:48 | Comments(0)