レンズ千夜一夜

31 踏切の少年 (スピード・アナスティグマート25mmF1.5は接近戦も軽くこなし)



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石仏の足下に小さな水いれがありました。

兎の形なのでしょうか?
仏様にちょっと華を添える、そんな風情。
やさしい心根がしっとりと伝わってきますね。

こんな情景にスピード・アナスティグマート25mmF1.5はかなり期待できます。

今手元にないので、正確にはもうしあげられませんが、
とても近くまで寄れるのです。

そして、その近接での開放描写をご覧下さい。
ピントのきてほしいところは、見事に合焦し、
しかも、やわらかい。
それ以外は、形を残しながらも、完全にぼけてくれる。
グルグルボケのキノプラズマートとはどこかぼけ方が違います。
正直言って、こちらの方がナチュラル。

見れば見るほど、このレンズ、気に入ります。
近ごろも、いろいろなところで見ますが、
みんなとても高いですね。
私は相場の5割程度で手に入れました。
オーバーホール代が入手費用に加算されるとしても、
まだお買い得でした。

オーバーホールで、今のテイストにちょっぴり明るさが加われば、
文句なしの道具レンズになりそうです。
# by Sha-sindbad | 2011-07-14 18:03 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

30  踏切の少年 (スピード・アナスティグマート25mmF1.5も夢紡ぎ)



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キノプラズマート25mmf1.5に対抗できる実力と魅力を備えたレンズは?

そんな問いへの正解は次のレンズだという方が多いようです。

    ダルメーヤーのスピード・アナスティグマート25mmF1.5

すでにその写りの玄妙さはごらん頂きました。
ここ嵯峨野嵐山でも、侮りがたい描写をプレゼントしてくれました。
なにしろ絶妙の空気感。
どこで、なにを撮っても、メルヘンになってくれます。

内部にカビがあり、レンズ全面薄曇りという感じです。
かなり曇っているのですが、
メルヘンはけっしてそのせいではなさそうです。
キノプラズマートはまるっきりピカピカですが、メルヘンなのですから。

そう考えて、スピード・アナスティグマート25mmF1.5の方は、
今、マツモトカメラにオーバーホールのため入院中。

どう変わるか、予想もつきませんが、
私は、信じています、

さらに美しい写りになる!
# by Sha-sindbad | 2011-07-13 22:15 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

29  能面 (コンタレックスのプラナー50/2は怨念までも写しちゃう)



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夢にも、美しい夢もあれば、悪夢もあります。
憧れが導いた夢もあれば、怨念にどっぷり漬かった夢もあります。

前回のダルメーヤーはやさしい夢にふさわしいレンズでしたが、
ツァイスの超弩級一眼レフ、コンタレックスの標準レンズが、プラナー50/2。
怨念を秘めた能面を写すにはぴったりのレンズです。

なぜ?
一眼レフの歴史上、最強のレンズ群。おそるべき描写力を誇りますが、
あんまり凄すぎて、蝋燭をナタの一振りで吹き消す、
そんな過剰性能に仰天し、辟易した記憶があります。

私の使用したボディはコンタレックススーパーでした。
半世紀経つのに、強靱なるメッキのボディは傷がほとんどつかず、
ピッカピカのままでした。
レンズもボディも写りも含めて、もうティーゲル戦車そこのけでした。

過去形で書いている理由、それは、
十年ばかり使ったものの、あんまり凄すぎて、
なんとかしたいと思っていたところへ、
親友が食指を動かしました。
これぞチャンス到来、親友が気が変わらないうちに、
さっと上げてしまいました。

もつべきものは、友です。
ありがたい....
# by Sha-sindbad | 2011-07-12 21:20 | Planar50/2 | Comments(2)

28  ピエロ  (WideAngleSpeedAnastigmat15mmF1.5は夢幻への扉)



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レンズの楽しみ方は、人様々でしょうね。

私にとって、写真とは、

    カメラで見る夢

これ以外の何ものでもありません。

写真は、もちろん、人が見ることができます。
そこに何かを感じたり、感じなかったり。

でも、その写真を撮ったときの気持ち、
その写真に感じる私の気持ち、
これはあくまでも私のもの。

それが、夢であり、
夢って、人と共有できるものではありません。

シェークスピアの「テンペスト」のセリフが、
そっくり私の気持ち、

    We are such stuff as dreams are made on,
    and our little life is rounded with a sleep.

このレンズを使ってみて、
その気持ちはさらに強まった感じがします。   


    
# by Sha-sindbad | 2011-07-11 21:52 | Sp.Anastigmat15/1.5 | Comments(2)

27 仲間 (WideAngleSpeedAnastigmat15mmF1.5は懐かしのレンズ)



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今日到着して、今日早速撮った、とれとれの写真を一枚。

    ダルメーヤーのWideAngleSpeedAnastigmat15mmF1.5

以前、私が写真を始めた頃は、
ダルメーヤーは「ダメメーヤー」とあだ名されて、
駄レンズばかり生産する会社という評判だったように記憶しています。

メーヤーだって、そうでした。
でも、評判、噂って、根拠のないがせネタが多いですね。
実際に付き合ってみないと、生地、真価が分からない、
という点では、レンズも人間もまったく同じですね。

私にとって、
ダルメーヤー革命はスピード・アナスティグマート25mmF1.5から。

なにを撮っても、戦前のフランス映画になってしまう!
雰囲気と空気感がこんなに濃厚なレンズはない。

そう思っていますと、
その弟分か兄貴分かわりませんが、
WideAngleSpeedAnastigmat15mmF1.5もまったく同格でした。

私の横を通り抜けていった仲良し4人組の男たち、
近ごろ珍しい硬派の雰囲気を漂わせていました。
# by Sha-sindbad | 2011-07-10 21:21 | Sp.Anastigmat15/1.5 | Comments(2)

26  皿  (ペラール35mmF3.5は色も出せます)



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yoshiさんから、前回のペラール35mmf3.5の写真に注文が付きました。

    他のカットも観たいです。
    もう少し色の入った写真。

困りました。
私の写真は、カラーですが、カラーがつきません。
かろうじて、赤程度。

わざとではありませんが、
色のないものばかり撮っています。
ロボグラフィというものは、地味なものなのです。
路地裏でそっと自己主張する、そんな奥ゆかしい、というか、
たそがれた、というより、はっきり言うと、くたびれた存在なのですから。

ペラール35mmf3.5で撮った奈良町のファイルを探してみました。
かろうじて見つかったのが、これ。

yoshiさん、ご心配なく、
ちゃんと色も再現してくれます。
と、思うのですが.......
# by Sha-sindbad | 2011-07-09 21:46 | Perar35/3.5 | Comments(3)

25  ペットボトル  (ペラール35mmF3.5は現代の三枚玉)


私のように改造レンズを使いたい人間にとって、
MS-Opticalの宮﨑貞安さんは救世主のような存在。

ライカM、Lマウントへの改造をお願いするのですが、
いつでも必ず、帰宅するのは、家を出たときの彼女ではない!

生まれ変わったように、ピッカピカの美女!
世界で唯一のレンズ!
そう感じるほど見事に、新しいレンズに作り替えてくださるのです。

レンズ改造ではありません。
レンズ再創造!

でも、宮崎さんの才能は、改造だけにとどまりません。
ご自分でも独創的なニューレンズを製作されるのです。

メーカーとは違い、その生産数はごく少数。
つまり、生まれたときから、
レアもの、ビンテージものとなる運命のレンズたち。

クラシックレンズを常用する海千山千のレンズマニアたちにも
好評サクサク、海外でも高く販売されています。

その一本がこれ、

    ペラール35mmf3.5。

現代にもっともシンプルな三枚玉でどれだけの性能を出せるか?
宮崎さんが自分に課した難題がこれ。
この難題に見事答えることができたでしょうか?

開放でのこの描写をごらんください。
いかがですか?



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# by Sha-sindbad | 2011-07-08 22:41 | Perar35/3.5 | Comments(2)

24 マネキン  (ヘクトール73mmf1.9は女性のためのレンズ)



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戦前、木村伊兵衛は女性や文士たちのポートレートを撮り、
一世を風靡しました。

ポートレートは大判で撮るべしというセオリーを破って、
ライカ判で撮ったことで、人物が突然生き生きと躍ったからです。

そのレンズが、
    ヘクトール73mmf1.9

ということで、私も撮ってみたい。
随分前のことですが、一本手に入れました。

当時は開放をほとんど撮らず、
たいていはf5.6あたりに絞って使いました。
ゴージャスなほどに、厚みのある描写にしびれました。

ホロゴンを初めとして、広角に移行する時期に、売ってしまいました。
後悔しています。
近ごろ、探すのですが、なかなか見つからないですねえ.....

この写真は、珍しく、開放。
ヘクトールもタンバールもボケがうるさいのですが、
こうして暗部から浮かび上がらせると、
柔和な表情だけが出てくれます。
私は、こんな黒の中の黒が好きなのです。
# by Sha-sindbad | 2011-07-07 10:53 | Hector73/1.9 | Comments(2)

23  鬼ごろし (シネラプター25mmF1.5は雰囲気ある再現性が命)



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現代デジタルカメラ使用者(A)とクラシックレンズ・コレクター(B)との間には、
大きな懸隔があります。

Aは完璧なレンズを求め、Bは非完璧なレンズを求めます。

Aはすべての収差が補正されていることを求め、
Bはどこか収差が残っていて、味わいとなってくれることを求めます。

Aは画面のすみずみまで均質であることを求め、
Bは画面の中心と周辺との間に主従の関係を求めます。

Aは高精細、高解像度、高鮮鋭なレンズを求め、
Bはそんなもの、ぜんぜん求めません。

Aは非の打ち所がない再現性、正確性を求め、
Bは再現性、正確性は二の次において、
メタモルフォーゼ、雰囲気、味わいを求めます。

こうした新旧世代のせめぎ合いの丁度中間をすり抜ける、
でも、ちょっぴり、というか、
かなり、クラシックレンズ寄り、
それが、
ウォーレンザックのラプター25mmf1.5
# by Sha-sindbad | 2011-07-06 21:53 | Raptar25/1.5 | Comments(2)

22  西陣織り  (アポクロマート100mmF2は玲瓏涼やかなレンズだった)



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アルパ9Dというカメラをかなり愛用していました。

継ぎ目に隙間があるような、ちょっと雑なところが、
いかにも手作り風で、工芸品のような風格のあるカメラです。
これに、ブラック鏡胴のマクロスイター50mmF1.8が似合いました。

結局、アルパで使ったレンズはわずかに2本。
もう一本がキノプティックのアポクロマート100㎜f2でした。

当時から、レアで高価なレンズでした。
そんな稀少レンズをどうして私が手に入れることができたか?
自分でもちょっと謎なのですが、とにかく手に入りました。

玲瓏という言葉がとても似つかわしい、精密レンズでした。

このレンズが私のもとから離れていった理由ははっきり記憶しています。
大きく重く、使い勝手が悪かったからです。
そして、私の好みよりもちょっぴり切れ味が良すぎました。

しかし、今回の写真でお分かりのように、よいレンズ。

透明ガラスの向こうの部屋には、一面、黒石が敷かれて、
いわばショールームの体裁。
そのガラスの内側すぐそこに、西陣織の婦人靴。
とても美しい色彩の文様だったので、
敷石にピントを合わせて、開放で撮りました。

靴にピントを合わせたのも一枚撮りました。
そちらの方は、どこに行ったのでしょうねえ?
# by Sha-sindbad | 2011-07-05 20:51 | Apochromat100/2 | Comments(0)

21  携帯歩き (クセノン25mmF1.4Ariはまさにクセノンだった)



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シュナイダーというレンズ会社は侮れないですね。
というより、凄い会社ですね。

スーパーアンギュロンの一族を思い出してください。

そして、クセノン族。
たくさんの兄弟姉妹がさまざまな分野で活躍しています。

私が近ごろ手に入れたアリフレックス用レンズもいいですね。
もともと、中将姫光学さんのブログで50㎜に驚愕したのですが、
この25㎜も、50㎜ほどの驚愕の写りではないにしても、
まことに自然で実在感があって、
しかも、どこかしなやかにやさしいのです。

丁度、この写真の美しい女性のように。
土塀のラインにこだまするかのように美しいラインを描きながら、
爽やかに通り過ぎてゆきました。

強烈な光でしたから、たしかf5.6に絞っていたと思います。
でも、うっすらとフレアを漂わせ、
現実感をそこなう固さは微塵もありませんね。
# by Sha-sindbad | 2011-07-04 12:06 | Xenon25/1.4Ari | Comments(3)

20  初恋  (キノプラズマート15mmf1.5は今ぼくのお気に入り)



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私が今、キノプラズマートというレンズにぞっこん惚れ込んでいること、
これは幾度も書いてきました。

35㎜用のキノプラズマートは超レア、超高価なコレクターズアイテム。
シネレンズクラスはごくごく廉価版です。
その中でも、飛び抜けて廉価に手に入れたのが、これ、

キノプラズマート15mmf1.5

オリンパスE-PL1につけて、銀塩換算30㎜で撮っています。
マイクロフォーサーズでさえも、周辺がこれほどにけられます。
普通なら、使い物にならない。
オリンパスの場合、スクエアサイズに設定できますから、
たいていの方は6×6判風四角写真を作っておいでになります。

でも、私の場合、事情ががらりと違います。

15年間、同様に周辺が激しく暗くなるホロゴンを使ってきた私です。
この周辺画像の劣化は、むしろ望むところです。

今日、中華料理店に入ると、壁に「初恋のきた道」を撮った、
チャン・イーモウ監督の新作のポスターがありました。
「サンザシの樹の下で」
ヒロインの、悲しげに振り返る姿。
なんてまあ、はかなく、可憐な女性でしょうか!

こんな美少女を撮るときは、もちろん、
周辺なんか、写ろうが写らなかろうが、まったく関係なしですね。
# by Sha-sindbad | 2011-07-03 22:16 | KinoPlasmat15mmf1.5 | Comments(0)

19 氷 (エルマー65mmF3.5はピカ一の質感描写)



今では持っていないレンズなのですが、

エルマー65mmF3.5

このレンズこそ、マクロレンズの王様ですね。

でも、驚くことは、このレンズがどんな距離でも最高だということ。
理由は分かりません。
でも、画像をご覧になったら、わかります。
どんな距離でも、このレンズの写真は生命力がガンガンと感じられます。

不思議なレンズ。

Mライカでは、ビゾを使わないと、使えないので、手放しました。
でも、ひょっとしたら、宮崎さん、改造してくれるんじゃないかな?
一度、相談してみましょう。



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# by Sha-sindbad | 2011-07-03 10:14 | Elmar65/3.5 | Comments(2)

18  花の飛鳥  (パンタッカー50mmF2.3も夢レンズだった)



一時期、アストロ・ベルリンのレンズをいくつか使ったことがあります。
50㎜、75㎜、125㎜、
すべてパンタッカーf2.3の焦点距離でした。

当時はまだ開放を楽しむ気持ちがなく、
5.6あたりに絞って撮っていました。

一眼レフを使うのを止めたころ、
すべて一眼レフ用に改造されたアストロ・ベルリンも、
手元から去って行きました。

その後、畏友のRAさんが50mmを手に入れ、
独特の空気感に満ち、絶妙のレトロ調で作品を作るようになり、
そして、私も映画用レンズの開放描写に目覚めるにつれて、
アストロ・ベルリンに心が傾きました。

ところが、時すでに遅し、
もうアストロ・ベルリンは高嶺の花に舞い上ってしまい、
そのうえ、さらにレアになってしまいました。

やむなく、RAさんからお借りして撮りました。
やっぱり、いい!



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# by Sha-sindbad | 2011-07-02 21:46 | PanTachar50/2.3 | Comments(0)

17  路傍の仏 (クセノン50mmf2.8はぼくのレンズ史を回転させた)



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写真歴の長い方であれば、経験があると思います。

あるレンズに出会うことで、カメラ、レンズへの姿勢ががらりと一変する。
まったく新しい写真の撮り方への入口が開く。

私にとって、それがクセノン50mmf2.8でした。

昔、日沖宗弘というクラシックレンズの使徒のような方が居ました。
彼の本を貪り読んだ人は、私だけではないのでは?
とても切れ味のよい、とても主観的で刺激的な文章。
レンズに対する本物の愛情が感じられました。

クラシックレンズの解説者はプロの写真家にもいましたが、
数知れないレンズ、カメラを紹介する本を何冊も書いているのに、
読後感は、彼の自慢と余談だけで、
レンズのことなど、付け足しだったなあというものでした。

その点、日沖さんは純粋にレンズと向き合って、
素敵な文章で、レンズたちの個性を描き出してくれました。
その日沖さんが繰り返し称揚したレンズの1つがこれでした。

切れ味がよく、抜けがよく、どこか生きがいい。
クセノンは、レンズが違うと、写真も違ってくることを、
それも、ぐっとよくなることを教えてくれた最初のレンズだったのです。

今回の写真は、その使い初めの一枚。
法隆寺の近くの村落での光景でした。

実は、このレンズによって、
クラシックレンズに開眼したのは私だけではありませんでした。
親友のDAさん、ときどき述懐しましす。
法隆寺の一枚(今回のこの写真)を見て、
世の中には凄いレンズがあるものだと、はじめて実感しましたよ。
# by Sha-sindbad | 2011-07-01 23:49 | Xenon50/2.8 | Comments(0)

16 雨の少女  (パンカラー55mmF1.4は東独の名レンズだった)



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パンカラー55mmF1.4

かなり前に使ったレンズです。
ペンタコン・スーパーだったと記憶しています。
見事な作りの堂々たるフラッグシップモデルの一眼レフでした。
このレンズを使いたいので、このカメラを手に入れました。

この一枚は、私の大好きな写真。

京都駅ビルができた当時でした。
撮影していますと、雨が降り出しました。
私の目の前に、小さな女の子が飛び出してきて、
雨を両手で受け止めて、
キャッキャッと、嬉しそうに笑いました。

もしかすると、初体験だったかも知れません。
初々しい喜びを全身で表しています。
生涯に幾度とない、チャンスでした。

モノクローム時代のレンズだけに、
色再現は不十分ですが、
私としては、この一枚になんの不満もありません。
# by Sha-sindbad | 2011-06-30 21:52 | PanColor55/1.4 | Comments(4)

15  水郷  (ヘリゴン35㎜f2.8はまさしくヘリゴンなのだった)



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レチナについているヘリゴン50mmf2というレンズは、
ある種の伝説的な名声を誇っています。

私も持っていますが、
とても抜けの良いレンズで、
どこか名剣の切れ味を感じさせてくれます。

一方、ヘリゴン35㎜f2.8は、
ローデンシュトックが供給した、唯一のL39スクリューマウント。
それなのに、なぜか50mmほど有名ではありません。
使う人が少なかったために、評判にならずじまいだった、
そういうことでしょうか?

偶然、外国のお店で見つけました。
50㎜ヘリゴン以上に、強烈なる切れ味のレンズです。
でも、現代レンズのように、超精密描写ではなく、
大づかみにして、ガッと差し出してくる、
そんな力強い味わいに特色があります。

立体感を再現するのも、お安いご用、という感じですね。
# by Sha-sindbad | 2011-06-29 21:05 | Heligon35/2.8 | Comments(0)

14 バイク  (タンバール90mmF2.2は夢幻境への入口)



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昔、タンバールは、貧乏人には手の出せない高嶺の花でした。

クラシックカメラ市場の凋落によって、
タンバール姫もはるか下界にご降臨下さいました。

使ってみて、分かりました。
これほどに使いにくいレンズはあまりありませんね。

私は、「夢タンバール」と名づけました。

手のとどかない夢のレンズだった思い出と、
そして、まだ手の届かないタンバール写真への思いをこめて。
# by Sha-sindbad | 2011-06-28 13:49 | Thambar90/2.2 | Comments(2)

13 バイク  (ラプター17mmf2.7は小さな巨人かな?)



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ウォーレンザックのラプター一族、
使えば使うほど、敬意を感じさせられます。

我が家のラプターのうち、一番可愛いのが17mm。

マイクロフォーサーズでも、周辺が大きくけられます。
だから、スクエアサイズが最適。

その四角い劇場で、最大限歌を歌ってくれます。
# by Sha-sindbad | 2011-06-27 21:50 | Raptar17/2.7 | Comments(0)

12 ブーケ  (レチナⅡCクセノン50mmf2.8は鮮鋭鮮烈なレンズ)


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シュナイダーのクセノンというレンズ・ブランド、
これが一流かどうかは知りませんが、私は大好き。

レチナについているクセノン2本を比較したことがあります。
クセノン50mmf2は立派な描写なのですが、ややくすみがちで、
ちょっと古めかしい印象だったのに対して、
クセノン50mmf2.8は鮮鋭かつ立体感溢れる描写でした。
私が使った2本のレンズでは、f2.8 の方が文句なしに優秀だったわけです。

どんなレンズでも、おなじ設計のレンズなら、
原則として、暗い方がいい感じです。
クセノンもそうだったわけです。

ただ、レチナⅡCというカメラ、弱点を抱えていました。
一本のフィルムを取り終えてもなお巻き上げしようとすると、
ガリガリというとてもいやな破壊音とともに、
巻き上げの歯車が割れてしまう危険を抱えているのです。

調子よく撮影していると、何枚撮ったかなんてどうでもよくなり、
ばりばり撮っては、ガンガン巻き上げてしまいます。
私のレチナも、先輩からの注意虚しく、壊れてしまいました。
当時は、改造名人宮﨑さんはまだ活動を開始していなかった。
だから、ジャンクものとして売ってしまいました。

また、手に入れました。
資金的に余裕ができたら、宮崎さんにお願いするつもり。
# by Sha-sindbad | 2011-06-26 22:28 | Xenon50/2.8 | Comments(2)

11 思い出  (キノプラズマート25mmf1.5aはどこでも撮れる)



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撮りたてのほやほやです。

JR元町駅から西へ、JR線高架下に続く商店街。
みんな小さなお店です。
その一軒で撮りました。

中古と言うより、コンピュータ前史の遺物のようなセット、
その他、なにがなんだか分からないものたちが、
壁一杯に積み重ねられています。

老齢のご主人は、通路に椅子を置いて座り、
この堆積の一部と化したような、古代CRTに、
なにやら映して作業しています。

時間が止まったような一角でした。
こんな光景に、キノプラズマートはお似合い。
# by Sha-sindbad | 2011-06-25 21:35 | Kinoplasmat25/1.5a | Comments(4)

10  沈思の人々 (ローライのプラナー75mmF3.5は開放が華)



突然ですが、このブログの構成を変更することにしました。

なぜか?

どうも、今のやり方ですと、気分が乗らないのです。

結局、私は、レンズよりも、写真の方を愛しています。
レンズ主体にするよりは、写真主体の方が楽しい。

そこで、2点、変更しました。

1 レンズは、副主題に回しました。
これまでは、製作会社をカテゴリーとしていましたが、
レンズをカテゴリーとすることで、
レンズの描写特性を知りたければ、
カテゴリーで検索できるようにしました。

2 写真を主題とするために、題名を付けることにしました。
そして、私の写真ストックからアトランダムに選び、
一枚または数枚の写真を掲載することにします。
レンズが分からない写真だって、出します。

この2点の変更で、
もっと遊びの要素の強いブログになればよいのですが.....


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その第一弾は、ローライ二眼レフの写真です。

私は、プラナー75mmF3.5付きのローライを選びました。
80㎜よりも、像が締まり、切れ味が鋭く、
そして、なによりも、開放が絶妙の味わいなのですから。
# by Sha-sindbad | 2011-06-24 21:25 | Planar75/3.5 | Comments(1)

9.5 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「4 ヴェロスティグマート25mmf1.5は風格も出してくれる」


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全部開放で撮っています。

いろいろな絞りを試すと、
違った顔を見せてくれるでしょう。
でも、絞って、しっかりとした描写をするのであれば、
35㎜カメラ用レンズで十分。

とにかく柔和に、
しのびやかに、
そして、デモーニッシュに、
出会った光景を映画のシーンに変容してくれる、
そんな撮り方をしたいですね。

そこで、選んだ方法。
ひとまずは、開放一点張りで撮っています。

金網越しの枯れ木を撮りましたが、
金網が消え、
幹は賢者の風格を漂わせてくれました。

これでいいのです。

ヴェロスティグマート25mmf1.5って、
かなりの優れものではありませんか?
# by Sha-sindbad | 2011-06-23 17:49 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.4 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「4 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしのびやかに」


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シネレンズを使っていますと、
「風姿花伝」の世阿弥の言葉を感じます。
秘すれば花なり
秘せずば花なるべからず
近ごろのレンズには、これがありません。
とにかくよく写る、みんな写る、どこまで写る。
写れば写るほど、私の心からは遠ざかります。
ヴェロスティグマート25mmf1.5って、とにかく写りません。
霞をかぶったようです。
でも、その茫洋たる画面の中から、
ふんわりと浮かび上がってくるものがあります。
私にはそれが「花」に見えます。
# by Sha-sindbad | 2011-06-22 21:57 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.3 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「3 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしっとり系」


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このレンズ、オークションで1万円ちょっとでした。

ことさら入手価格のことを申し上げるのは、
クラシックレンズの場合、価格と値打ちとは必ずしも比例しない、
そう言いたいからです。

もちろん、とくにレンズの場合、
価格が高いものは、名レンズ故の人気のせいでしょう。

でも、クラシックカメラの市場価格というのは、
写真を撮りたいユーザーが作るのではないようです。
ディーラーとコレクターが決める。
その場合、稀少性、話題性、ネームバリューがキーポイントでしょう。

美しい写真が撮れるということは完全ならち外。
これには当然の理由があります。

「美しい写真」とは何か?
人によって、ぜんぜん違うのですから。

とりわけ、私のように、
きたない、きれいの基準が人とずれている人間にはとても好都合。
人が、ちゃんと撮れない駄目レンズと烙印を押しても、
私の写真にはぴったり適合しているかも知れないのですから。

このヴェロスティグマート25mmf1.5というレンズ、
でも、オーソドックスな美の観点から観ても、
かなり美しい開放描写をするレンズなのじゃないでしょうか?

もちろん周囲は暴れていますが、
暴れ方もかなりおとなしく、中央の描写を邪魔していませんね。
今回の写真、私が感じたそのままを描写してくれました。

しっとりとした気持ちで撮りたいときには、
このレンズがよいかも知れませんね。
# by Sha-sindbad | 2011-06-21 20:21 | CineVelostigmat25/1. | Comments(2)

9.2 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「2 ヴェロスティグマート25mmf1.5は空気が撮れる」

シネレンズを使えば、使うほど、分からなくなってきます。

一体、レンズの性能って、なんなのだろう?

友人が1993年12月アサヒカメラ増刊号の対談記事を送ってくれました。

東大の小穴教授、
「私どもの言う理想のレンズとは、
ひとつの平面上の図形が、ひとつの平面に忠実に結ばれるものですね」
つまり、テストチャートを写して、前面が非常によいピントであることが理想。

これに対して、木村伊兵衛が反論します。
「ライカのレンズはチャートになると駄目なんですよ」

小穴教授、
「ですから、いいレンズと言っても、私たちが言う、いいレンズと、
木村さんが女の人を写す場合の、いいレンズとは、違うんです」

でも、そうだとすれば、いいレンズというのは、
撮りたいものをちゃんと撮ってくれるレンズなのですから、
テストチャートとは無関係ではないか、そう思えてきます。

小穴教授は、レンズ作りの立場から反論します、

「あらゆる場合にいい結果を得ようとしたらば、
やはり平面にピントの合うやつでないと、融通が利きません」

でも、木村伊兵衛は、まったく動じないで、有名な言葉を吐きます、

「ライツのレンズは、チャートを移動すれば、今まで崩れていたものが
合ってしまったり、いろんなことをするんです。
立体を撮るには、完全なレンズで撮るよりも、
デッコマ、ヒッコマのあるレンズで撮る方がいいんですよ」

編集員が、例のとおり、取り持ちを買って出て、口をはさみます、
「いい場合もある、って言う訳でしょう?」
木村伊兵衛は、さすが大写真家、ちらっとも揺らぎません、

「そうじゃないんだ。
その方がいいんです。
風景だって、そうです」

なぜか?
小穴教授は、「あらゆる場合にいい結果を得よう」という前提を置きますが、
一本のレンズであらゆる場合にいい結果を得ようなんて考える必要がありますか?
万能のレンズなど、幸せの青い鳥みたいなものです。
無理に探したいと思う人は、探せばよろしい。

でも、特殊な写真を撮る人間にとっては、
ある特殊な状況、特殊な被写体を、他のどのレンズよりも凄く撮ってくれる、
そんなレンズがあれば、それが一番。

自分の撮りたい状況、撮りたい写真をしっかりと見極めて、
それに最高のレンズを探すのが、最善なのです。

シネレンズはまさにそれ。
このヴェロスティグマート25mmf1.5なんて、
テストチャートにかけたら、破壊的な結果でしょう。
でも、それがどうした、そう言いたいですね。
こんな風に撮ってくれるのであれば?


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# by Sha-sindbad | 2011-06-20 14:47 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.1 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「1 ヴェロスティグマート25mmf1.5は柔和」


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ウォーレンザックのシネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5。

メイヤーのプリモプラン、キノプラズマートにかなり似たデザインの、
いかにもよく撮れそうなシネレンズです。

1930年代に作られたBolex 16mm用のレンズだったそうです。
とても廉価なレンズでしたが、
触ってみて、驚きました。
とてもしっかりと作られ、持ち重りのするレンズです。

撮ってみて、驚きました。
大口径だけに、レンズも、キノプラズマート風に大きく、クリアー。
そして、開放でも、像が緩むということはありません。

映画用レンズの能力にますます驚いています。



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# by Sha-sindbad | 2011-06-19 20:07 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

8.7プラナー85mmF1.4 「7 プラナー85mmF1.4に、少年が近づいてきた」-完-


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パキスタンでは、毎日、早起きをして撮影しました。

どこの村だったか、忘れましたが、
道に立っていると、少年が一人、静かに歩いてきました。

これは一種の対決。
私は、少年がこの位置に近づく直前に、
ヘリコイドリングをほぼこの位置に合わせ、
少年がこの位置に来た瞬間、カメラを持ち上げ、
素早くフォーカスして、シャッターを切りました。

一枚だけ。

今の人だったら、連写するでしょうね。
コンタックスRTSⅡにはもちろんモータードライブなど入っていません。
私は、この位置と決めたら、ここで撮る、そう決めています。
当時は、そうしないと写真の感覚が身につかない、と考えていたのです。

人に見せますと、こう言われました、
「もう2、3歩前に来てから撮った方がよかったですよ」
左の木とのバランスから、黄金分割の位置にもってくるべきだった、
そうおっしゃりたかったのでしょうか?

私は、今も当時も、ずっと「日の丸構図」一辺倒。
撮りたいものをまん中に、これをモットーにやってきました。

ですから、そう言われても、
「そうですねえ」とは言いかねたのでした。

やっぱり、自分の撮りたいように、撮りたいですね。



 
# by Sha-sindbad | 2011-06-19 00:11 | Planar85/1.4 | Comments(0)

8.6プラナー85mmF1.4 「6 プラナー85mmF1.4は山を近づける魔法のレンズ」


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1989年は、モノクロームを撮っていた最後の頃です。

当時、かなりの割合で、85㎜と180㎜、
この2本の長焦点レンズを多用していました。

今では、ほとんど使いません。
長い玉もほとんど持っていません。
例外がタンバール90mmF2.2とバルター75mmf2.3でしょうか?

どうしてこんな風に変わってしまったのか?

被写体との距離が変わってしまったのです。
離れれば離れるほど、よそよそしい。
私の当時の写真を見ても、それが分かります。
他人行儀。

もっと生の記憶が欲しい。
被写体の方から近づいてくることなど期待できないのですから、
こちらから近づくより仕方がありません。

なんだか、マホメットのような気分。
山がこちらにこないなら、こちらから山に行こう、
というわけです。
# by Sha-sindbad | 2011-06-17 19:39 | Planar85/1.4 | Comments(0)

8.5プラナー85mmF1.4 「5 プラナー85mmF1.4は使いやすいレンズ」

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近ごろは、ズームレンズが主体となっていて、
撮影者は、自在にズーミングすることでしょうから、
焦点距離はあまり意味がなくなっているかも知れません。

私のように、ズームレンズを一切使わない人間には、
焦点距離は、大げさに言えば、死活の問題。

長焦点で面白い現象があります。
ライカ系は90㎜なのに、ツァイス系は85㎜なのです。

どうして、こんな風に特化されたのか、不思議ですが、
私にとって、この差はとても重要です。
というのは、たった5㎜の違いなのに、使い勝手がまるで違います。

85㎜の方がずっとずっと使いやすい。
切り取りが得意な方なら、別の意見になるでしょう。
私の場合は、囲い込みが好きなので、
たった5㎜の差でも、ぐっと広く撮れる感じがしてしまいます。

ちなみに、二眼レフのローライでも事情は一緒です。

圧倒的に人気が高いのは、プラナー85mmF2.8。
でも、私は圧倒的にプラナー75mmF3.5を支持します。
猛烈に撮りやすいうえ、
開放の味わいがまるっきり違います。
75mmの方の写りの方が、きりりと締まり、きらりと輝くのですから。

でも、私が80㎜を使ったのは、随分昔。
当時は、常に絞って撮っていました。
ひょっとすると、85㎜の方をf3.5に絞ったら、同じ写りかも?
# by Sha-sindbad | 2011-06-16 19:27 | Planar85/1.4 | Comments(4)