レンズ千夜一夜

72 石球 (キャノン50mmF1.8は二流かも知れないけど、一流)



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奢る平家は久しからず。

平氏一門の没落は驕りのせいであると、歴史は教えてきました。
確かに平氏一門の公達たちには驕りがあったでしょう。
でも、生まれてこの方、
平氏にあらずば人にあらずという風潮の中に育ったのです。
非情報社会の中で、豪奢な生活をエンジョイする公達たちです、
反省材料となるような情報をどうやって手に入れたらよかったのでしょうか?

これと似たような、一種の非常識の常識化はいつでもどこでも起こります。

私たち一人一人の常識のなかには、平氏の公達たちと同様に、
実は非常識なものが沢山混じっていると認識するのは、
なかなか難しいことです。

私がもっていた、そんな非常識の一つ、それが、

    日本製レンジファインダー用レンズは、ドイツ製に劣る。

この数年、ニコン、キャノン、トプコール、コニカなどのレンズを使うにつけ、
わかってきました、

    これらの日本製レンズたちと、
    ライツ、ツァイス、フォクトレンダーなどのドイツ製レンズとの差は、
    優劣の差ではなくて、個性の差であること。

ライカLマウントのキャノン50mmF1.8Ⅱ、開放でも、
とてもコントラストがよくて、シャープネスも極上です。
F1.4も優秀レンズの誉れ高いレンズで、
先頃、yoshiさんが新境地を開くかのような見事な写真群をアップされました。
おそらく私のF1.8レンズは、その廉価版なのでしょうね。

でも、これはこれで大変に気持ちの良い描写で、
私はますます気に入っています。
# by Sha-sindbad | 2011-08-24 20:59 | Canon50/1.8Ⅱ | Comments(2)

71 仕事 (SomBerthiotのシノール25mmF1.4はきらめく大口径レンズだった)



    メイド・イン・フランス

この字があるだけで、高級感を感じますね。
どこの国の人もそうなのでしょうか?
たとえば、

    メイド・イン・ウズベキスタン

こう書いてあったら?
なにも浮かんできませんね。
    (ウズベキスタンのあなた、お断りしておきますよ。
     ウズベキスタンになんの他意もありません。
     たまたま頭に浮かんだだけなので、こらえて......)

メイド・イン・フランス
この言葉が引き出す豊かな連想の中に、
尽きせぬ肯定的イメージがわき上がってきます。

一旦作り出した評判が最終要因となることだってあります。
ソンベルチオのレンズもそんなオーラに助けられてか、
Cマウントレンズとしては、かなり好評のようです。

とても廉価なのを見つけました。

    シノール25mmF1.4

平均価格の半分以下。

    Clean lens, smooth rotation.

よし!

届いたレンズは輝くばかりに美しい鏡胴。
レンズもたしかにクリーンで、キズは見あたりません。

よし!

オリンパスE-PL1にセットして、フォーカスしようとしました。
動きません!
どんなにしても、
動きません!
どこがsmooth rotation?

がっくり!

輝く美女と見えて、実は性格が悪く、頑固でわがまま、
そんな方とちょっと似ているようですね。

もっとも、バカと鋏と美女は使いよう。
わがままでもいいでしょ、
このまま使かってあげましょ、
と、居直れるのが、スクリューマウントの強みです。

底部のスクリューマウントを回せば、ちゃんと合焦します。

もちろん問題がないわけではありません。

    1 マウント部を外す方向で作業するので、
     いつなんどき、落っこちるか、油断できません。
    2 マウントをずらすのですから、
     レンズがほんの少しスィングします。
     f1.4ほどの開放になると、偏芯が起こる危険があります。

結局、マツモトカメラにオーバーホールをお願いすることになりそうです。
その経費を考えますと、

    なんだ、
    平均価格と丁度同じじゃないの?

でも、あぶなっかしい撮り方ですが、なんとか撮れます。
その結果はご覧のとおりです。

    とても素直で、素性のよい描写ではありませんか?
    のびのびとしていて、変な歪みがありません。

もっとも、開放の被写界深度が大変に狭いので、
2枚目など、一見しただけでは、全部ぼけているように見えかねません。

パンフォーカス派の私に大口径レンズは無縁でした。
近ごろ、Cマウントレンズは軒並み大口径。
これから少しずつ撮り方を学んでゆく必要がありそうです。



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# by Sha-sindbad | 2011-08-23 14:19 | Cinor25/1.4 | Comments(0)

70 仕事 (エクター47mmf2もまた幻の名レンズだった)



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ミリタリー・カードンに付いているエクター47mmf2、
これは、私にとっては、一頃、憧れのレンズ、
長い間、一度も見かけたことがない、幻のレンズでした。

レチナの同名レンズを友人が改造したものを借りました。
京都の黄檗山万福寺に行き、数本撮りました。

開放のキリッとしたシャープネスと、
なんとも言えないほど、
たおやかなフレアーは絶品と言いたくなるほどでした。
今回の写真はその一枚。

ますます、カードンのエクターに憧れました。
きっと、もっと良いに違いない。
ということで、このレチナ・エクターと、
カードン・エクター47mmf2との差をますます知りたくなりました。

機会があって、両レンズを同時に試写することができました。
2本撮りましたが、結果には拍子抜けしてしまいました。

レンズの筐体はまったく違い、
カードンのエクターは高級感、機能感溢れる高級レンズでしたが、
レンズ本体の外観も、写真も、ぜんぜん区別がつきませんでした。

同じレンズなんだという噂はどうやら本当のようなのです。

この2、3年でしょうか?
クラシックレンズの相場はにわかに低落してしまいました。
日本でデジカメが興隆して、銀塩カメラを圧倒してしまい、
しかも、また中国バブルは上昇を開始したばかりという時期でした。

ある日、インターネットで、エクター47mmf2付きレチナを見つけました。
それまでは、ほとんど見かけたことがない、レアもののはずだったのに、
わずか2万円低度でした。

レンズ改造名人宮崎さんにお願いして、
見事、Mマウントのニューレンズに改造していただきました。
今では、見事な世界で唯一の(かどうかは知りませんが)、Mマウント・エクター。

これからどんどん撮らなくては.............
# by Sha-sindbad | 2011-08-22 21:36 | Ektar47/2 | Comments(0)

69 仕事 (エルマリート28mmf2.8はまだまだ追い込まないと)



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エルマリート28mmf2.8というレンズ、
ライカのMマウントレンズの中でも一二を争う仕事レンズ。

とくに第一世代は、稀少性のせいでしょうか?
かなり人気の高いレンズで、
なかなか手に入らない、いわば伝説の銘玉の一つ。

数年前なぜか、その銘玉が私の手に入りました。
使ってみて、これが大変な難玉であることを知りました。
かなりのじゃじゃ馬なのです。
ニュートラルな色を出すだけでも、なかなか難しい。

前後対称形のレンズ設計といい、
中絞りのくびれのある鏡胴の形、雰囲気といい、
豪快でコクのある写りといい、
むしろシュナイダーのスーパーアンギュロン21mmf3.4と瓜二つ。

なんだかシュナイダーから提供を受けたレンズに、
ライカの名を冠して製産したのではないかと思う位です。
でも、そんな情報はどこにも存在しません。
私の勝手な印象だけ。

描写性は、親友のDAさんが愛用する第2世代の方が自然。

でも、第1世代を無理して手に入れたことを後悔したことは一度もありません。
挑戦しがいのあるレンズなのですから。

前回の№68に説明のとおり、
エルマリート28mmF2.8についても、
ライカM9の設定をほぼ標準に戻して撮ってみました。

でも、明暗の差が激しい場所では、どうやらAEに頼れないようで、
かなり露出補正をしないと、シャドウがつぶれ、ハイライトが飛びます。

まだまだ使いこなしに苦労しそうです。
そう来なくちゃ、ね.......


[後書き]
このような素敵な方が前方から歩いてきますと、
けっして気づいた素振りを見せてはいけませんね。
まして、視線を交わしたりはしないこと。
そうでなくても、カメラを持つ人間を見かけますと、
撮るだろうなと、予測されてしまいます。
ですから、見て見ぬ振り、よそ見をしながら、泰然と歩きます。
眼の片隅ですれちがった瞬間、さっと振り向き、
腰だめにライカを構えて、ノーファインダーで撮ります。
アイレベルに持っていって、ピントを合わせる行動は禁物。
被写界深度で撮ります。
理由はシンプル。
1 広角をアイレベルで撮ると、人物が少し不自然になります。
2 カメラを眼に持って行き、ピントを合わせる時間だけ、遅れます。
3 ウェストレベルだと、人物が自然に見えます。
# by Sha-sindbad | 2011-08-21 20:54 | Elmarit28/2.8 | Comments(6)

68 椅子 (ボシュロムのバルター35mmf2.3は活性化レンズ)



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バルター35mmf2.3をライカM9で撮ってみました。

ライカM9をこれまで次のように設定していました。

    シャープネス     オフ
    彩度          低
    コントラスト      低

これでは、ほとんどモノクロームに近い仕上がりになる!
そんなことに気づいたのが、昨日。

本日の設定はこうです。

    シャープネス     オフ
    彩度          標準
    コントラスト      標準

その結果が、今回の写真です。
シャープネスをオフにする限り、銀塩とあまり変わりませんね。
まるで生きているようですね。
かなり改善された感じがします。
当分これで撮ってみます。
# by Sha-sindbad | 2011-08-20 21:44 | Bartar35/2.3 | Comments(0)

67 椅子 (ボシュロムのバルター35mmf2.3は雨で本領発揮)



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映画用レンズの本質的条件って、なんでしょうね?

私はまだ映画用レンズを沢山使っていませんので、
正確な答えを出せるとは思いませんが、
こんなとき、イングリット・バーグマンや原節子を思い出します。

すると、やっぱりこれだなと思う点が一つ。

    ボケ味が前後ともやさしいこと

これではないでしょうか?

ボシュロムのバルター35mmf2.3
このレンズは35㎜映画用だそうです。

作例をご覧下さい。
開放での近接撮影です。
後ボケはそれほどでもないですが、
前ボケ、とってもきれいにぼけてはいないでしょうか?
ヒロインを一人写し出すときは、
黒バックが適切な場合が多いでしょうから、
それほど問題はないレンズと言えそうです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-19 21:56 | Bartar35/2.3 | Comments(2)

66 椅子 (クックのキニック25mmf1.5はおだやかキノプラズマート?)



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3か月ばかり、Cマウントレンズを中心に、
レンズ漁りを楽しみました。

銘玉を破格の廉価版で手に入れる。
これが絶対的な方針でした。

    待てば海路の日和あり。

この言葉ほど、含蓄に富んで有益なアドバイスはありませんね。

これに超えるアドバイスと言えば、

    慣れてしまえば、皆、同じ。

この素敵なアドバイスを守って、
最初に手に入れたレンズで生涯撮り続けられる人、
この人は達人ですね。
たとえば、

    ジャコメッリ

私は達人ではないので、
海路の日和待ちの方がお好みです。
そうして手に入れたのが、

    TAYLOR HOBSON COOKE Kinic25mmf1.5

キニック?
カイニック?
どう読むのでしょうね?

Kingあり、kindあり、英語の読み方って難しいですね。
私はキニックと呼びたいですね。
キラーニー、キルケニー等々、アイルランドの地名の美しさ、
これにあやかりたいし、
こちらのサウンドの方が、キレイなので。

そして、このキニック25mmfですが、
すでにf3.5の方を持っていて、重厚真摯な描写に感嘆。

このf1.5レンズはどうなのでしょう?

たった1万円、
かなり禿げていますが、レンズをのぞいて、びっくり!
ノンコーティングのレンズの美しさはどうでしょう?
キノプラズマート25mmf1.5よりほんの少し大きく、
ほんの少し穏やかな雰囲気で、
見るからに、美しい写真をプレゼントしてくれそうなレンズ。

長いフードがレンズと一体化されて取り付けられていますが、
それにもかかわらず、マイクロフォーサーズでけられません。
うれしくなるような高級クラシックレンズ。

昨日届き、夜、一枚撮ってみました。

超リアリズムの画家諏訪敦の最新作品集の表紙。

聖ヒエロニムスが静かにシャレコウベと対決する絵は、
ダ・ヴィンチ、ラ・トゥールを含めて、沢山ありますが、
女性となると、怖いですね。

写真は、傾けて撮っているので、デフォルメしています。
本物よりももっと怖くなりました。

この1点だけにフォーカスするあたりの精密度、
周辺のやさしくさりげない、ぐるぐるボケ、
あたたかさ、
気に入りました。
# by Sha-sindbad | 2011-08-18 12:07 | Kinic25/1.5 | Comments(0)

65 椅子 (スピードアナスチグマート15mmf1.5はファンタジック過ぎるかな?)



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今日は、おかしな体験をしました。

出勤のバス内。
座席に座って、ふとバッグを見ると、
小さな尺取り虫がむっくり背中を持ち上げています。

バスの窓から放り出しても、コンクリート車道の上に落ちるだけ。
バス内でも不毛の場所。
しょうがないけど、いつまでもバッグに付いておられてもと、
指で弾き飛ばしたのです。
バッグから弾き飛んだことは、はっきり覚えています。

2、3分後、バッグにふと目にやりました。
あれっ?
また今さっき居たのとほとんど同じ場所に、
尺取り虫が付いています。
一点接地方式で頭をもたげて、周りをみたりしています。

弾き飛ばしたはずの尺取り虫Aと、
このバッグで涼しい顔のBとは、
同一虫なのでしょうか?
まったく同じ大きさで、顔も同じ顔、スタイルもそっくり。
区別がつきません。
座席の下あたりを見回してみたのですが、Aの姿はなし。

まさか座席の下にいったん落ちて、そこから尺取りしながら、
えっちらおっちら上ってきたわけではないでしょう。

弾き飛ばされたA君、バッグのどこかにさっとしがみついて、
「I shall return!」なんてつぶやきながら、元の位置まで戻ってきた。
そうでも考えないと、
あっという間に原状復帰した、この離れ業を説明できません。

それとも、座席の下に弾き飛ばされたのですが、
とっさにテレポーテーションで戻ってきた?
まさかね。

なんにせよ、とにかく尺取り虫B君は毅然として、
身体全体で宣言しています、

    「ぼくはここにいる!」

     降参、降参!

バッグのB君がなにかに触れて、落ちたり、つぶされたりしないように、
気をつけながら、
バスを降車し、まず、銀行ATMでちょっと送金し、
職場に向かう道中の途中にある小さな神社まで一緒に行き、
片隅の湿り気のある草むらにお移りいただきました。

なにしろ言葉が通じないので、
世間話をするわけにもいかず、
ちょっと座を保つのに苦労しましたね。

というわけで、話が長くなりましたが、
本日は、ダルメイヤーのWide Angle Speed Anastigmatを携行していたのですが、
出勤途上ではほとんど撮影できないままに終わりました。

15mmf1.5のレンズです。
開放描写はかなり眠いのですが、
これもレンズクリーニングで改善されるはずです。

周囲がかなりけられますが、それでも、
とても空気感、臨場感のある写真が撮れます。

私のお気に入りレンズなのです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-17 18:40 | Sp.Anastigmat15/1.5 | Comments(0)

64 椅子 (スーパーワイドヘリアー15mmf4.5はヘリアチビワイドに変身!)



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今回は、スーパーワイドヘリアー15mmf4.5。

と言っても、銀塩カメラにつけての紹介ではありません。
それはそれで、そのうち掲載させていただきます。

今回は、ソニーNex-5aにつけて、22mmレンズとして使用した結果。

ヘリアーをライカにつけて撮りますと、
どうしても本家本元の15ミリにはかないっこありません。
薄っぺらいのです。

でも、22mmにしますと、御本家と比較対照される筋合いはなくなります。
独自の超広角レンズとして、堂々と一人歩きできます。

レトロフォーカスなので、そんなに周辺光量も落ちず、
ふつうのレンズとして、気兼ねなく実力を発揮することができます。
ヘリアーの活かしどころかもしれません。

現代レンズではありますが、ライカファンをターゲットに、
レンズ単体として設計されたレンズだけに、
デジタルカメラ用に設計されたものとはひと味違います。
一歩、クラシックレンズの世界に足を踏み入れている感じ。
だから、それなりにコクがあります。

ホロゴンはライカM9にもエプソンR-D1にも、
もちろんソニーNex-5aにも使えないのですから、
デジタルカメラの単体レンズとしては、
目下、一番の広角なのではないでしょうか?
# by Sha-sindbad | 2011-08-16 18:53 | S.W.Heliar15/4.5 | Comments(0)

63 椅子 (ビオゴン35mmF2.8は王道のレンズ)



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私は、あるときまで、ライカを盛んに使いながら、
心ではツァイス党であったことがあります。

ツァイスの雄渾な味わいに魅せられていたのです。
そんな中で憧れたのが、ビオゴン族。

    ビオゴン21mmF4.5
    ビオゴン35mmF2.8(戦前と戦後)

重い!
金属の塊なのですから、当然。
いかにも精密メカニズムの極致のような作りです。
本当かどうか知りませんが、ビオゴンの鏡胴は、
むくからダイヤカットによってくり出されたものだそうです。

ビオゴン35mmF2.8のMマウント加工バージョンを見つけました。
もう矢も楯もたまらず、必死で購入しました。

確かに次元の違う、精密かつ毅然たる描写でした。
でも、残念ながら、ちょっと絞ると、もうカチンカチン。
おなじツァイスでもM42まうんとのフレクトゴン35mmF2.4の方が
はるかにナチュラルで、生き生きとした描写。
パンフォーカス派である私にはとても使い道のないレンズでした。

でも、いつかなんとかして使いたい、
そう考えて大切に保管してきました。
辛抱強く待つものですね。

ライカM9を手に入れて、にわかに活かし所を得た感じがあります。
なぜか、カチンカチンの印象が拭い去られた感じなのです。

今回は、開放です。
私には、文句なしの開放表現、
そう見えるのですが.......
# by Sha-sindbad | 2011-08-15 20:18 | Comments(0)

62 植物 (スピード・アナスティグマート25mmF1.5で見る夢も又いい)



レンズは夢の道具ですね。

写真にも、いろいろ楽しい夢があります。

    ある方は、写真家になることを夢見ます。
    ある方は、写真コンテストに入賞することを夢見ます。
    ある方は、写真クラブでトップまで登り詰めることを夢見ます。
    ある方は、「私は写真家の※※です」と自己紹介することを夢見ます。

私は、ちょっと変な夢を見ます。

    そのカメラ、そのレンズで撮れると思えないような写真を、
    そのカメラ、そのレンズが撮ってくれることを夢見ます。

その前提として、そのカメラ、そのレンズが性能を発揮するように、
一定の修練、慣れは必要でしょう。
でも、けっして、思うがままに使いこなそうとは夢見ません。

できたら、自分が撮れるとはとても思っていなかったような写真を、
思いがけないところで、思いがけない瞬間にプレゼントしてくれる、
そんな願いをカメラ、レンズに込めて、
うやうやしく撮らせていただいています。

    あっと驚きたいのです。

    よくぞこんな写真を撮ってくれましたと、
    カメラ、レンズにお辞儀をしたい、そんなことを夢見ています。

ですから、私は、私の撮った写真を、
私の作品でございます、なんて胸を張るつもりはありません。

映画のカメラマンがこんな風に自慢するでしょうか?

    「ああ、小津安二郎の東京物語ね、
     あれは全部私が撮ったんだよ」

ナンセンスですね。
私も同じことを感じます。

私は、こんな考え方を人に押しつけるつもりはありません。
私の撮り方がそうだから、私はそう考えるのです。

    実にイージーに撮ることにしています。
    いい、そう思ったら、次の瞬間にはシャッターを押しています。
    なにも考えない。
    写真を作ろうとしない。
    すべてをレンズに任せます。

そんな私の撮り方に一番似合うレンズ、それが、

    スピード・アナスティグマート25mmF1.5

    とにかく開放で、そっち向けて、さっと撮ります。
    もちろん拡大したライブビューでピントは合わせます。
    でも、白昼、実画面に直すと、液晶画面を見ても、
    ちょっと遠視が始まっている私の目にはよく分からないので、
    画像効果はチェックしません。

ちゃんと撮れてるじゃないの?
そうおっしゃる方もおいででしょう。
私は、可能な限り、最接近するのです。
そうすれば、余分なものは写りません。
だから、そう見えるだけ。
私は回りなど見ていませんから、
私が構図を決めたわけではない。

そんな撮り方でも、ピントだけ合わせておけば、
スピード・アナスティグマートはこんな写真をくれます。

一生、お付き合いさせていただくつもりです。
私の夢の1つ、それが、

    スピード・アナスティグマートに写真をプレゼントしてもらうこと。



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# by Sha-sindbad | 2011-08-14 17:01 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

61 お迎え (キャノン85mmf1.9はノスタルジックレンズ)



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私の写真の先生は江戸っ子です。

    田島謹之助

立川談志に自分の撮った落語家のポートレートを全部プレゼント。
談志はこれに感激して、一冊の本を出版しました。

    「談志絶倒昭和落語家伝」(大和書房)

ポートレートとはなにか?
これを知りたかったら、この本以上に素敵な写真集は余りありません。
アマゾンでも手に入ります。

田島さんのメインカメラはライカM5。
弁当箱のように大きなライカです。
田島さん、にこにこと笑いながら、

    「でも、これ以上にホールディングがよく、
     ファインダーがピント合わせしやすいライカはないんだよ」

そして、落語家たちのポートレートの長玉で撮ったもの、
そのレンズはなくを隠そう(と、もったいぶる必要なんかないんだけど)、

    キャノン85mmf1.9

田島さん、またにこにこと、

    「ライカのズミクロンよりもいいんだよ。
     開放からびしっときて、コントラストがとてもいい」

後年、ライカシステムを売却してしまわれました。
そのとき、このキャノンだけは私にプレゼントしていただきました。

本当に開放からびしっと来るレンズでした。

夕方、飛鳥駅の柵の外で、お父さんの帰りを待つ坊や、
すでに日没後、少し露出は失敗していますが、
私のお気に入りの写真。
父の帰りを待つ少年の初々しい期待の表情が、
そっくり写し込まれているからです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-13 21:12 | Canon85mmf1.9 | Comments(2)

60 ネコジャラシ(キノプラズマート25mmf1.5はいたずらレンズなのかな?)



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Dallmeyerに勝るとも劣らない幽玄レンズの製造元、それが、

    Hugo Meyer

今日の写真は、この会社のレンズの撮れたてのホヤホヤ、
キノプラズマート25mmf1.5の開放写真です。

キノプラズマートと言いますと、もう言うまでもなく、
    ボケレンズの極致。
開放でのぐるぐる巻きがとても有名ですが、
はて、どうしたものでしょうか?
ほんの少し旋回している程度ですね。

あるときはグルグル、
あるときはサラサラなのです。
まるで、スーパーマンと新聞記者ケントみたいですね。
なぜ、そうなのか?
皆目見当がつきません。

私に思いつけることはこうです、
なんの根拠もない、かってな想像です。
読み捨ててくださいね。

    このレンズを設計したパウル・ルドルフ博士って、
    ほんとはいたずら好きだったのです。
    そんないたずら好きがツァイスで命じられたのは、

        世界最高の完全無欠なレンズを作ること!

    天才的なレンズ設計者であるルドルフ博士は、
    この過酷な挑戦に応戦して、成功しました。

        プロター
        プラナー
        テッサー

    レンズ史を彩る華麗なる名玉を次々と生み出しました。
    凄いレンズたち!
    後年、各社が競った名レンズの多くは、
    この3つの設計を基礎として、
    この3つのレンズを目標として生み出れたのですから。
    
    ルドルフ博士がツァイスを退職したのは、52歳なのですから、
    いわば中途退職なのでしょう。
    その後、Hugo Meyerに再就職したとき、
    固く決意していたに違いありません。

        ツァイスレンズとはまるっきり違う性質のレンズを作るぞ!
        優等生レンズなんか作るの、もう、やめた!
        魔法のレンズを作るぞ!

    そうして、各種のプラズマートレンズを陸続と生み出しました。
    その基本精神は、こうだったのではないでしょうか?
    ある種のレンズの配列、配合を工夫して、作るぞ!

        撮影者がどんなに使い込んでも使いこなせない、
        じゃじゃ馬のようなレンズ!
        被写体によって、光によって、時間によって、絞りによって、
        変幻自在に表情を変えるレンズ!

    一言で言えば、

        ピーターパンとティンカーベルのコンビ!

ティンカーベルはピーターパンの回りにフレアとボケを作り出すのですが
あるときは喜々として飛び回り、フレアとボケを空中にキラキラ散らし、
あるときはムスッと不機嫌になって、姿を消してしまうのです。
しかも、ピーターパン自身、もう気まぐれそのもの。

ピーターパンの向こうに、
ルドルフ博士にぶすっと不機嫌な顔が浮かんできます。
でも、その眼だけはキラキラ笑っていますね。
# by Sha-sindbad | 2011-08-12 21:08 | Kinoplasmat25/1.5b | Comments(9)

59 車上から (ダルメイヤー25mmF1.9は妖精界への入口なのかな)



私は、もう昔の私ではありません。

ひたすら堂々たる写りを求めてきた私なのに、
人間って、変わるものですね。
今では、そんな写りも、一方では憧れつつ、
片方では、幽玄の境地も激しく求めてしまいます。

そのような境地に一番近いレンズを作ってくれた会社、それが、

    Dallmeyer

なんと発音するのでしょうね?
正しくは、ドルメイヤーでしょうか?
でも、いいでしょう、会社自体が言っています、

    どうでもいいやー!

私も、廉価版ばかり、15㎜、25㎜2本手に入れました。
中でも、25mmF1.9はレンズ名さえない、いわば無名のレンズ。

戦前、きっと1930年代の映画用レンズなのでしょうね。
8000円ほどで手に入れました。
塗り鏡胴がすりきれた、かなりのご老体。
でも、フォーカシングリングはメタルのままで、キラリと光り、
レンズは、傷、カビが少し見えますが、
アメのように甘くトロンとした風情がたまらなく魅力的です。

撮ってみると、なにを撮っても、
妖精界に変身!

レンズの魅力はなんでしょうか?
私はこう考えています。

    「異化」(メタモルフォーゼ)、これに尽きる。

そんな異化を果たしてくれるレンズをメタモルレンズと呼んでいます。
そんなレンズほしさに、私の懐はベタモル財布。

25mmF1.9を手に入れた翌日、娘夫婦と出かけました。
その車の中から頂いた2枚。
オリンパスE-PL1の2000分の1秒では、快晴に開放は無理だったようです。
露出は外れていますが、
心にはぴたりと決まりました。

レンズで異界に遊べる、
贅沢な遊びじゃないですか?



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# by Sha-sindbad | 2011-08-11 10:52 | Dallmeyer25/1.9 | Comments(4)

58 横丁のバイク (ローライ・プラナー75mmF3.5の開放にはいつもしびれる)



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クラシックレンズをあれこれ物色しているとき、
いつも心に置いている原則があります。

    超一流のものだけにしよう!

でも、これ位、守りにくい原則はありませんね。
超一流のレンズが超一流のものであるとは限りません。
いきおい、レンズとしては超一流じゃないけど、
ものとしては超一流、そんなものも欲しくなってしまいます。

レンズとしても、ものとしても、超一流じゃないけど、
ある一点において、抗いがたいほどの魅力があって、
ついふらふらと手に入れてしまうということだってあります。

でも、私はコレクターではないので、
これは1つ押さえておこう、というような考慮はけっして働きません。
私の撮りたい写真を撮らせてくれる、そんなレンズが欲しい。

私が手に入れたローライ二眼レフは、
珍しくレンズとしては超一流、そうはっきり言えるカメラ。
ローライ3.5Eですから、全盛期のFの手前です。
ものとしては二流かもしれません。

でも、私は、ものへのこだわりより、レンズへのこだわりの方が大きい。
ものへのこだわりより、安値の方へのこだわりの方が大きい。
なにしろ関西人ですからね。

ということで、昔から欲しかったローライを手に入れました。

プラナー75mmF3.5はどうか?
この開放の像の締まりの良さはいかがですか?
そして、ボケ味も見事ではありませんか?

開放のときの、魔術的なまでに颯爽たる切れ味、
それなのに、やわらかい。
本当の英雄って、こんな感じじゃないでしょうか?

あたたかく、分け隔てのない大きな心、
でも、正義の怒りに燃えるときは、誰よりも怖ろしい!
そんな感じをさせてくれる稀有のレンズなのです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-10 20:14 | Planar75/3.5 | Comments(0)

57 横丁のバイク (アポクロマート25mmF2はちょっと別次元?)



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ウィキペディアによりますと、
アッベは、3つの波長で色収差が補正され、
2つの波長で球面収差・コマ収差が補正されている等の条件を満たすものを、
アポクロマートと命名したのだそうです。

フランスのレンズ会社キノプティックは、
一連のアポクロマートとそのまま命名されているレンズを製作しました。

私の手に入れたレンズには、こんな記載があります。

    Apochromat Kinoptik Paris F:2 Focale 25mm No.13613

そうすると、Focaleが本来のレンズ名なのでしょうか?

数万ととても廉価に手に入れたのですが、
きずも目立たず、レンズはクリアーそのものの逸品。
造りが精密、持ち重りがして、いかにも高級レンズのたたずまい。
そして、撮ってみると、そのレンズのたたずまいとそっくりの描写。

記憶ではF4に絞っていたと思います。
そのせいもあってか、
あまりにも整然としすぎていると言えば、その通りなのですが、
フランス製のレンズらしく、曰く言い難い芳香をかぐことができるのです。

ソニーNEX-5AのAPSサイズでもほとんどけられません。
ですから、ここでは35㎜換算で37㎜という、適度な広角レンズ。
これは私秘蔵のレンズになりそうです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-09 18:58 | Apochromat25/2 | Comments(2)

56 森 (ゾナー85mmF2は女性ポートレート以外万能)



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いろいろと使ってみましたが、
いつ考えてみても、一眼レフの王者は動きません。

    コンタレックス

ツァイスが満を持して世に送り出した超弩級一眼レフ。

このカメラと戦艦大和の共通点はなにか?

2つあります。

    1 無敵
    2 時代遅れ

世に送り出したとき、世界はこれをすでに必要としなかったのです。
コンタレックスのボディは超高級、
交換レンズ群はそれぞれに並ぶ者なき傑物ばかり。

ところが、1つだけ足りないものがありました。

    フットワーク。

戦艦大和は飛行機によってあっという間に撃沈されてしまいました。
コンタレックスは、軽量級なのに丈夫なニコンFに撃沈されてしまいました。

時代は加速度的にスピードアップしつつありました。
本当に必要とされたのは、完璧性ではなく、スピードだったのです。

そんな時代遅れの完全カメラの交換レンズたち、
どれもこれも目をむくほどに見事に写ります。

ここでは、長焦点のゾナー85mmF2をごらん頂きましょう。

この実在感、立体感は比類がありません。
でも、あまりにも高精密なので、女性ポートレートは無理ですね。
毛穴まで見事に表現してしまいます。
女性が怒りますね。

ところで、京都の哲学の道のベンチに置き忘れられた金魚たち。
この写真を見るたびに、考えます。

    誰か、連れ帰ってくれただろうか?
    もっと広い水槽でのびのびと生きることができたろうか?

考えてみますと、私たち人間も、知らず知らずして、
この金魚たちと同じような境涯に放り出されているのかもしれません。

    誰かが、なにかが、幸いにも苦境から救い出してくれるから、
    まだこうして生きている、ということなのかもしれない。
# by Sha-sindbad | 2011-08-08 21:57 | Sonnar85/2 | Comments(6)

55 森 (テッサー105mmF3.5は時を超えて思い出を運ぶ)



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白状しますと、私は写真を始めたのと同時に、
クラシックカメラ愛好者になったのです。

学生の頃から写真は好きだったですが、
ある日突然、写真をやろうと決意しました。
そして、大阪阪神百貨店の中古カメラ市に出かけて物色したのです。

購入したのは、クセノタール75mmF3.5付きローライ二眼レフ。
予約をした帰り道、ちょっと心配になって、
老舗のツカモトカメラに立ち寄り、相談してみました。

ベテランの店員さんの忠告はこうでした、

    「クセノタールもええレンズです。
     そやけど、その内、どうしてもプラナーが使ってみたくなります」

結局、ローライはあきらめ、スーパーイコンタをいう6×9判を手に入れました。
そのカメラについていたのが、このテッサー105mmF3.5。

手品の箱のように、面白いがっしりとした作りのカメラでした。
レンズ底蓋のボタンをずらすと、ニューッとレンズ本体が飛び出てくるのです。
このレンズ本体部が完全に出きったときに、かちりと決まる剛性感にしびれました。
まるでドイツ!

テッサー105mmF3.5も気に入りました。
しっかりとした、まさに質実剛健を画に描いたような写真が撮れました。

でも、3年後、あるプロの写真家に見せたところ、こう言われたのです、

    「ハッセルのプラナーなら、もっと柔らかく、
     もっとグラデーションよく撮れます」

どこまでもつきまとうプラナーの影!

こんな風に「上には上がある」のが、レンズ世界ですね。
結局、ハッセルに憧れて、500CMに移行してしまいました。
でも、私は結局、ハッセルのプラナーの冷たさに飽き足りなくなって、
あたたかい発色のプラナー75mmf3.5付きローライにたどり着きます。

クセノタールもプラナーと区別がつかないほどの名レンズ。
なんのことはない、ぐるっと輪を描いて、振り出しに戻ったわけです。

しかし、だから、バカなことをしてきたと言うべきでしょうか?
    そうは思いませんね。

それぞれのフェイズで、しっかりと納得し、自分で使い込んでみて、
移行してゆくのであれば、それは時間の無駄ではなかった、
    私はそう信じたいのです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-07 14:02 | Tessar105/3.5 | Comments(0)

54  入口 (ヘキサー75mmF3.5ときたら、最高のレンズだった)



前回タクマーを出した勢いで、もう一本、オールドジャパンのレンズを。

まず、先入観なしに、写真だけごらんください。
ペンタックスMEスーパーに付けて撮りました。
このレンズ、なんだと思いますか?



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正解を申し上げましょう。

    ヘキサー75mmF3.5

本当は35㎜用レンズではありません。
コニカのパールという6×4.5判カメラのレンズです。
当初のパールⅠ型にはF4.5がついていました。
日沖宗広さんが、この暗い方のレンズを絶賛していました。
それで使う気になったのですが、
私のはⅡ型で、F3.5のヘキサーでした。

なんでもそうですが、開放値が明るいからと言って、
レンズ性能が高いとは限りませんね。
たいていのレンズで、開放値が明るいレンズは無理をしているようです。
ヤシカ・コンタックスの50㎜標準も、1.4は開放ではふわふわで、
f4に絞って、一応完璧な画像になりましたが、
1.7の方は開放からしゃきっと写りました。

パールⅠ型はレアなのでしょうか?
高価で、とても買う気になれません。

私は、このパールⅡ型を南西アフリカのキャンプツアーに持参したのです。
旅行の2,3日前に手に入れ、急きょ、夜間に試写しました。
素敵な描写でした。

ナミビアでの2週間、パールを喜々として使いました。
と言っても、サブですから、十数本程度。
ほとんど全部、光漏れがあって、アウトでした。

古い蛇腹カメラの経験のある方は途中からニヤニヤだったことでしょう。
蛇腹カメラを夜間試写するものじゃありませんね。
蛇腹にとても小さな穴がどっさり空いていたのです。

結局、35㎜用M42マウントに改造してもらいました。
その描写がこれです。

6×4.5判でも見事なレンズですが、
35㎜フィルムでは、
6×4.5判での重厚さを残したまま、
日本的優雅さがなぜか増幅され、
これ以上ないほどにふくよかで艶麗なる描写をプレゼントしてくれました。
# by Sha-sindbad | 2011-08-06 23:57 | Hexar75/3.5 | Comments(0)

53  入口 (タクマー58mmF2.4もまた日本的情緒溢れるレンズだった)



友人の懐を狙う!
    これは完全な泥棒です。
    許せませんね。

友人のレンズを狙う!
    これは銘玉への青春の憧れです。
    許せますね。

私に一時期そんな憧れを抱かせたレンズがあります。

    タクマー58mmF2.4

ペンタックスが作った最初の一眼レフ、アサヒフレックスの標準レンズ。

友人から借りて1、2本撮っただけ。
東寺弘法市(毎月21日開催の日本最大ののみの市)で撮りました。
その描写の淡く優美なこと!

確か39㎜のスクリューですが、フランジバックが違うので、
L型ライカには使えず、M42マウントに改造したものでした。
自分のペンタックスMEスーパーに付けて撮り、
履き物全体にピントを合わせたかったので、
F4に絞っていたという記憶があります。

ファインダーをのぞいたとき、
画像から、ふくよかな香りがくゆり立つような思いをしたことを、
はっきりと覚えています。
こんなのが日本的情緒なのだろう、
そんな風に感じたものでした。



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公平のために言いますが、
私は日本的情緒零の人間です。
骨格の関係なのでしょうか、あぐらが苦手。
ひたすら椅子生活だけ。
もちろん丹前も羽織も浴衣も無縁。
日本的な謙譲も恥じらいも遠慮も零の人間です。

それなのに、こんな履き物を見ると、
日本って美しい国なんだな、と、
妙に納得してしまうのです。
こんな描写を見ると、
日本的情緒を写し出すには、
やっぱり日本のレンズなんだな、と、
しっかり納得してしまうのです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-05 19:57 | Takumar58/2.4 | Comments(4)

52  入口 (ビオゴン21mmF4.5は悲運のレンズだった)



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歴史にifは禁物ですが、
それでも、止めようもなく考えてしまうifがいくつもあります。

    もし元寇が日本征服に成功していたら?
    もし明智光秀が信長を倒さなかったら?
    もし日本が第二次世界大戦後東西に二分されていたら?

レンズの歴史でいつも考えるのは2つのこと。

    もしビル・ブラントかジャンルー・シーフがホロゴン15mmF8を使っていたら?

    もしライカ社が21㎜超広角をM型ライカに使うために、
    シュナイダーではなく、ツァイスにビオゴン21mmF4.5を発注していたら?

残念ながら、この2つのifは起こらず、
ジャンルー・シーフはスーパーアンギュロン21mmf3.4を選びました。

考えてみると、ライカ社は、ツァイスと戦争していたのですから、
起こるはずのないことだったのかも知れません。
でも、ライカ社は、ホロゴン15mmF8は発注したのですから、
絶対起こらなかったとは言えないと、未練がましく考えてしまいます。

おかげで、ビオゴン21mmF4.5を使って名作をものした写真家って、
見あたらないこととなってしまいました。
一方、かなり沢山の写真家たちがスーパーアンギュロン21mmf3.4を常用して、
写真世界を展開しました。

もちろんスーパーアンギュロン21mmf3.4は凄いレンズです。
yoshiさんが日々それを実証しています。

でも、もし、ビオゴンがM型ライカに供給されていたら、
ジャンルー・シーフもyoshiさんもきっとビオゴンを使い、
もっと魔術的な雰囲気を醸しだしただろうに、
そう残念に思ってしまうのです。



    [後書き]
        でも、供給されなかったビオゴンを使って、
        私はライカM4-Pで撮っていますね。
        これは、Lマウント改造レンズなのです。
        私がかってに夢の組み合わせを選んだというわけです。
        でも、あんまり写真は残っていません。
        なぜか?
        重い!
# by Sha-sindbad | 2011-08-04 15:07 | Biogon21/4.5 | Comments(0)

51  入口 (ダルメーヤー25mmF1.9で薄暮は薄暮に撮れます)



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レンズ、カメラに対する思いは人様々です。

ある人は、四×五判でなければ、ほんとうの写真は撮れないと言います。

私の畏友RAさんなど、オリンパスペンFで目もさめるような写真を撮ります。
銀塩35㎜レンズで撮った写真の中にハーフサイズで撮った写真を挟んで、
ずっと一枚ずつ見てゆくと、ペンFで撮った写真にぶつかったとき、
必ず、ハッとのけぞるほどに驚かされてしまいます。

経験なさったことのない方に納得していただくのは難しい、
それは分かっています。
でも、私も6×9判から35㎜判まで名玉をかなり味わってきました。
ただのひいき目で、そう言っているのではありません。
私は自信があります。

私は、ある一本のレンズをひたすら理想としています。
そのレンズは、まだこのブログには出現していません。
妻の写真を人にみせびらかすような感じがするので、
まだとても出す気持ちになれないのです。

でも、前回のフレクトゴン35mmF2.4のような、
あまり有名でないけど、正真正銘、極上の銘玉の後には、
ご馳走にしびれた舌を休めるためのシャーベットのような、
名も知られていないけど、ほっとするような写りも見てみたいものです。

ダルメーヤー25mmF1.9。

前にも出しましたが、
名前もついていないCマウントレンズ。
そして、かなりボケレンズなのですが、
ちょっと名状しがたい香り、フレーバーを感じさせてくれます。

やっぱりこれも、隠れた名レンズ、
私はそう思うのですが........
# by Sha-sindbad | 2011-08-03 22:36 | Dallmeyer25/1.9 | Comments(0)

50  入口 (フレクトゴン35mmF2.4なら生活感が写せます)



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私が長年心を澄ませて撮ってきた写真の中で、
一番大好きな写真をあげろと言われますと、
まあ、30枚位はあげるでしょうね。

わたしゃ、一枚と言っただだよ、一枚、と迫られても、
にっこり笑って、言うでしょうね、

    だから、この30枚、これらが一番です。

そんな30枚の一部も、このブログに選んでいます。
もちろん、全部が全部そうではありません。
50回になるのですから、当然玉石混淆。

でも、今回の写真は、大の大の大好きな写真なのです。

ハノイ近郊の村で撮りました。
なんでもない、民家の入口。
私が自分で撮ったので、当然ですが、
私はこの写真をいくら見ても、見飽きません。

いろいろと考えてしまいます。
たとえば、スリッパ、つっかけを眺めるだけでも、
面白いことが沢山発見できます。
並び方だけ見ても、全部違う。
持ち主の性格が出ていますね。

1つだけ、発見を書いておきます。
1人として、外向けには置いていませんね。
外向けに脱ぐ、または置き直す民族って、
日本人以外にいるんでしょうか?
知りたいですね。

他にも、面白い推理ができそうなポイントが幾つもあります。
お時間があれば、ご自分で考えてみてください。

それにしても、このレンズ、
素晴らしいと思いません?

    この立体感、実在感、空気感、自然さ!
    この生き生きとした雰囲気!

フレクトゴン35/2.4の美質が全部出ています。
その美質を一言で言えば、なんだと思います?
私は、いつも、必ず、この言葉を思い出します、

    中庸

フレクトゴン35mmF2.4は、黄金の中庸のレンズなのです。
# by Sha-sindbad | 2011-08-02 22:04 | Frectgon35/2.4 | Comments(4)

49  店の壁 (キャノン50mmF1.8Ⅱは真面目に生き生き)



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キャノン50mmF1.8Ⅱは1956年製の標準レンズ。

「ライカレンズのすべて 不朽の名玉203」には、こう書かれています。

    VT型カメラ対応の交換レンズとしてラインアップされた一本。
    レンズ構成は4群6枚のガウスタイプで、絞り羽根は9枚。
    コントラストや解像力も申し分なく、
    美しいボケ味を楽しめる。

手に入れてみると、本当にこの説明のとおりでした。
しっかりとした画像ですが、どこか生き生きとしています。

この時代、各社が標準レンズを出していますが、
私が手に入れた限りでは、全部、とてもよく写ります。

どうやら、問題は、みんな、よい子だということ。
まるで、よいサラリーマンが作ったら、こうなった、
そういう感じさえしてしまいます。

もっと暴れても、もっと遊んでもよかったんじゃないかな?
でも、それができないのが日本人ですね。




                                 
# by Sha-sindbad | 2011-08-01 21:01 | Canon50/1.8Ⅱ | Comments(2)

48  曲がり角 (ジュピター12は気だての良い娘で)



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ロシア軍が第二次世界大戦に得た戦利品の中で、
ツァイスの技術者や光学機器が占めた大きさは、
かなりのものがあったのではないでしょうか?

軍事技術及び科学技術の発展において光学が果たす役割は、
無視できないほどに大きいものがあります。
あらゆる種類の精密機械に必要とされる精度を確保するためにも、
光学検査機が必要なのですから。

その反面、戦後ツァイスがあまり順調に発展できず、
カメラ、レンズ部門に限って言えば、
自力で成功することができなかったことには、
ロシア軍がツァイスの技術者や光学機器を
ごっそり持ち去ったせいもあるかも知れません。

でも、そのお陰で、私たちは、高価なツァイスレンズの代わりに、
とても廉価で、性能の劣らないレンズ群を利用できるようになりました。
ジュピター12はそんなレンズの代表格。

ツァイスがレンジファインダー型コンタックスのために作った、
ビオゴン35mmF2.8は銘玉の誉れの高いレンズですが、
どちらかというと、戦前の方が評判がよいようです。

ツァイスはLマウントでも供給したようですが、レア。
戦後ビオゴンは私も持っていますが、強烈にシャープ。
なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとし、です。

戦前のビオゴンはもっと柔らかという評判なので、
そのコピーであるジュピター12はまさにねらい目。
近ごろ、縁あって、我が家にやってきました。

使ってみると、軽く小さく、使い勝手がよく、よく写ります。
いつか別の縁で、戦前ビオゴンが我が家に来たら、
一度、撮り比べてみたいものですが、今から推測できます。

1 必ずビオゴンの方が素敵な描写力を発揮するでしょう。
2 でも、突き合わせなければ、ジュピター12で十分でしょう。
# by Sha-sindbad | 2011-07-31 20:56 | Jupiter35/2.8 | Comments(2)

47  靴店 (セプトン50mmf2ならそっくりそのまま撮れてしまう)



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そんなに沢山使っていないので、確かなことではありませんが、
これまで使った限りにおいては、
ドイツのレンズ各社には、
なにか連綿と続くレンズポリシーがあるようですね。

    ツァイスは、男性的で実在感溢れるレンズ。
    ライカは、女性的であたたかな情感を醸し出すレンズ。
    シュナイダーは、きりっとした切れ味のレンズ。
    そして、フォクトレンダーは、さらりと澄んだ味わいのレンズ。

セプトン50mmF2は、そんなフォクトレンダーの味わいを色濃く持っています。

このレンズが最高、そう信じている人もいるそうです。
そんな言葉を伝え聞いて、17、8年前、手に入れてみました。

デッケルマウント・アダプタを手に入れて、
キャノンイオス1Nに付けました。
すると、さらりとこんな写真が撮れてしまうのですから。
私も頭から否定する気持ちにはなれませんね。
# by Sha-sindbad | 2011-07-31 09:59 | Septon50/2 | Comments(2)

46  清楚 (ゾナー180mmf2.8は開放で勝負!)



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笑わないでくださいね。

私のようなストリート中心の人間に、
この写真!
似合いませんね。

十数年前、妻と一緒によく初心者写真教室に参加したことがあります。
すでに写真を始めてから20年ばかり経っていましたが、
心は、当時もいまも初心者。
学ぶ姿勢を失っていません。

でも、風景写真を学ぶ気持ちは別。
初めからないので、失ったのではありません。

でも、ストリートフォトの初心者写真教室なんてありませんね。
ですから、奈良の風景写真家の1日教室に参加。

私、当時はまだ一人前に三脚を持っていました。
ジッツォの大型三脚、全部伸ばせば2メートルを超します。
時は秋、場所は飛火野、
三脚にゾナー180mmf2.8を付けたコンタックスRTSⅡをセット。
1キロ近いゾナーを付けても、この三脚ならお辞儀しません。

ファインダーをのぞいて、この構図を決めました。
   「先生、お願いします」
先生、ファインダーをのぞいて、
   「ちょっとこのカメラ、のぞいてみて。
    いいよ」
30人ばかりの生徒さん、順繰りにのぞきました。
ふと見ると、妻ものぞいているではありませんか?

   私、「どうだった?」
   妻、「うん、いい」

この対話の記憶は、私は死ぬまでもってゆくでしょう。
なぜか?
妻に写真をほめられたのは、これが、たった一度だった!

写真としてどうか、私には分かりませんが、
オリンピアゾナーの開放は極上でした。

私は、ほとんどのレンズ、2、3段絞って使ってきましたが、
ゾナー180mmf2.8だけは例外。
開放をかなり常用した記憶があります。
いつもなにか喜びをくれるレンズでした。
# by Sha-sindbad | 2011-07-30 21:24 | Sonnar180/2.8 | Comments(2)

45  艶麗 (ロッコール28mmf3.5はけれんみの無さが身上)



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コンタックスT2のライバルは沢山ありました。
でも、私が使った高級コンパクトカメラの白眉は、なんと言っても、

    ミノルタTC-1

この古典的なまでに端然としたボディに埋め込まれたレンズが、
28㎜レンズの白眉とも言うべき、
    
    ロッコール28mmF3.5

時は真夏、場所は、上海の下町。
両側に質素な民家が並んでいました。
その一軒の玄関扉が開いていました。
中はいきなり台所です。
その向こうに、いかにも涼しげな中庭も見えました。
人は誰も居ません。
玄関からちょっと身を乗り入れるようにして、一枚頂きました。

当時、リコーGRも使いました。
こちらも28㎜の銘玉が付いています。
いかにも凄い、と仰天させられる写りでした。

アラーキーがTC-1を、森山大道がGRを愛用していることは有名でした。
ミノルタTC-1の方がずっと上品端然としたたたずまいで撮れます。
それなのに、どうしてアラーキーなの?
これが不思議でした。
なぜって、私もミノルタTC-1の方が好みだったのですから。
私には似合っているけど、
アラーキーにはなあ......
# by Sha-sindbad | 2011-07-29 21:24 | Rokkor28/3.5 | Comments(2)

44  驟雨(ゾナー38mmf2.8でブレッソンしてみた)

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№42で、noriさんのコメントにお答えして、こう書きました、

    HCBさんこそ、私の永遠の写真の神様。
    おかげで、雨が好きで、水が好きで、足が好きで.....
    そんな方、いっぱいおいでになりますね。
    noriさんだって、そうじゃないですか?
    結果は、写真の神様のプレゼントです。
    似たような写真をもう一枚持っています。
    近いうちにアップしますね。

HCBさんは、もちろんアンリ・カルティエ=ブレッソン!
こんな風に書きますと、もうこちらのうずうずして、待っていられない。
さっそくお送りします。

15年以上前のことです。
イギリス西部のチェスターの町に参りました。
ザ・クロスと呼ばれる変形交差点が町のお臍。
その周囲には、中世そのままの2階建て商店街。
2階は店の前にプロムナードが設置されていて、
階下の敷石が敷き詰められた美しい広場を見下ろすこともでき、
雨の日には濡れずにショッピングができる工夫。

到着したのは朝でしたが、
このザ・クロスに立って、
ちょっと暗い雲のかかる空を見ながら考えました。

    夕立が来たら、プロムナードに上って、交差点をスナップしよう。

生涯にただ1回だけ、私は、あらかじめロケハンをしたのです。

町をぶらぶらと撮影して、午後3時、ザ・クロスにかかったとき、
ざっと夕立が襲来したのです。
    なんたる幸運!
さっとプロムナードに駆け上り、
プラナー50/2付きコンタレックスをアイレベルに。
一枚シャッターを切りました。
    落ちない。
    一本撮り終わっていた!
    なんたる不運!
ベルトケースからサブのコンタックスT2を取り出しました。
ぬかりなく、フィルム残量をチェック!
    34!
    あと2枚か3枚しかない!
やむなく、これで勝負!

絞りをf5.6に絞り、シャッター速度が60分の1になるようにしました。
人と雨をすこし流したかったから。
当時は、こんな風に生意気に作画していたのですね。
    
その瞬間、左の建物からワイシャツ姿の金髪青年が飛び出しました。
咄嗟に一枚切りました。
後2枚切りましたが、最初の写真がベストでした。

夕立雲のおしりあたりの雨だったのです。
西の空は雲が切れ、煉瓦壁の建物、道をバックにして、
陽光が雨脚、路面そして人を浮き出してくれました。
雨脚を撮れる絶好のかつ稀なる条件だったのです。

T2はタイムラグがかなりあります。
私がシャッターを切ったとき、青年は中央でした。
うまく流れ、路側帯の上にかかり、
しかも、青年のかかとは路面から浮いた瞬間に撮れました。

     完全なる幸運!

この写真を全紙にのばしたとき、
コンタックスT2のゾナー38mmf2.8の実力を知りました。
細部まで克明に立体感、実在感よろしく写し止められ、
バックの唯一電灯のある店の室内まで鮮明に写っていました。

私の生涯ただ一枚の傑作スナップをものにしてくれたのは、
コンパクトカメラの小さな小さなレンズでした。

    「小さな巨人」という言葉はこのレンズのためにあります。
# by Sha-sindbad | 2011-07-28 13:59 | Sonnar38/2.8 | Comments(16)

43  赤2題 (エルマー50mmF3.5は古さを感じさせないね)


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エルマー50mmf3.5

とても気に入っているので、あと2枚、京都撮影分を出しておきます。

どちらを見ても、古さをぜんぜん感じさせませんね。
2枚目なんて、とてもクリアーで、素敵な色合いではありませんか?

ノンコーティングのレンズですが、
私は基本的に順光を撮りますので、
レンズが古くても、素性がよければ、問題はないのでしょうか?

それとも、ライカM9というカメラのおかげなのでしょうか?

とにかく、使えるレンズですね。
# by Sha-sindbad | 2011-07-27 18:56 | Elmar50/3.5 | Comments(0)