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レンズ千夜一夜

1060 素肌美人 (2023年10月15日ペンタック38㎜F2.9の奈良町はどこか)至高の名品かも?


2023年10月15日(日)、曇りときどき晴れ
蒸し暑い。
本日は恒例の奈良町ロボグラフィ散歩。

持参したセットは、

ソニーα7s
ペンタック38mmF2.9

おそらく1920年代から30年代の古いレンズです。
オリジナルマウントは何だったか、忘れました。
宮崎貞安さんにソニーαマウントに改造していただきました。
まるでそのために作られたかのように、
見事、ニューレンズに生まれ変わりました。

でも、マツモトカメラ店主の松本さん、曰く、

  「マウントがメタルではなく、強化プラスチックです。
   いつか壊れます。
   そんな改造なので、付加価値はありません。
   元レンズの値打ちだけで取引することになります」

松本さんがおっしゃる説明が正確であれば、
まことにおっしゃるとおりです。
でも、宮崎さんのマウントがいかに脆弱であれ、
私自身よりの長生きしてくれることは間違いがありません。
壊れるまでは、その効用を楽しむことができ、
壊れても、外せば、オリジナルです。
だから、改造レンズはすべて私の生涯の友となっているわけです。
私が天国に旅立った後は、後継者が、
レンズ本体の値打ちで売ればよいだけ。

本日は、ちょっとした野暮用があって外出しました。
コンビニ経由の宅急便を発送する必要があったのです。
ひとまず、近鉄奈良駅で下車して、
コンビニでさっさと用を済ませてから、
近くの古くからある喫茶店でホットケーキランチ。
980円。
(いつも値段込みで書いているのは、
数十年後まで長生きして、こうした記事を再読しながら、
こんな感慨に耽ることでしょうから、

  「ああ、昔は安かったんだなあ....
  なにしろ今はコーヒー一杯250万円なんだからなあ...
  ああ、あのころは良かったなあ........
  なにしろサイドディッシュで一杯100円、
  ティーガーデンで、
  ドリップコーヒーが300円程度だったんだからなあ......」

そんな風に述懐しつつ、ゆったりと食事を楽しみつつ、
ポメラ作文することでしょう。
(残念ながら、半世紀後に携帯ワープロがどんな風に進化しているか、
ぜんぜん想像できませんので)

約40分後、ソニーα7sを取り出して、
奈良町に出撃。
往還して、いつも通り、JR駅構内の喫茶店で休憩しました。
私は創造性豊かな人間じゃなく、
黙々と自分の過重な仕事をこなして生きてきたので、
ルーチンワークに耐えられます。
創造性一杯と言わんばかりに、傑作写真を並べる方も
いますが、見るに堪えません。
最近は、申し訳ないけど、ブログ界からも
すっかり足を洗ってしまいました。

多くのブログを遍歴するブロガーがおられるようでした。
ご苦労様なことです。
でも、しばらくして、
これ、自分のブログアクセス数を稼ぐための作戦だ。
こうして、多くのお気に入りを自分のブログに登録してもらい、
宣伝することによって、
そのブログの読者の全部もしくは一部を自分のブログの読者層に導入すること、
つまり、己れのブログを人気ブログに押し上げるための作戦の一環だった!
そこで、意地悪く言えば、
自分を殺して、褒めまくるわけです。

私は、はじめっから、自分のブログが人気ブログになるなんて、
想像もせず、希望もしませんでした。
ただ一人、楽しみたいからです。
しかも、私のロボグラフィの写真美術的な価値はゼロ。
そんなこと、わかりきっています。
だから、本当に優れていると感じたブログだけを登録しました。
新潟のyoshiさんとか、東京のPretty バッカスさん、等々。

数年前、私のマックが不調になり、写真仲間も含めて、
ブログの登録が全部きれいさっぱりと消えてしまいました。
マックのMailも接続が切れてしまい、今に至っています。
なぜか、わかりません。
ヘルプデスクに問い合わせれば、治せるのでしょう。
でも、今ではそんな七面倒くさいことで頭を煩わせ、
時間を食うことに心が進まない状態に。
要するに、私の頭脳もしくは精神がどこかゆるんでいるのでしょう。
以来、誰もアクセスしてこないブログを2つ、
営々と記事を積み重ねて、
一人遊びを楽しんでいるわけです。
こんな孤独に耐えられない人の方が正常なのでしょう。
私は、若い頃から3年もしくは4年ごとに、任地が変わる職種でした。
地方と関西を行ったり来たりというサイクル。

大阪から東京へというサイクルもあります。
私は任官前からある種の改革派に所属していたため、
昔風に言えば、「出世コース」である東京赴任の可能性は
早くからシャットアウトでした。
そんなコースを自ら選んだことに、
いかなる不満も後悔もありません。
私は仕事も楽しむけど、人生も楽しみたい人間。
誰に対してでも、節義を枉げる気持ちは皆無。

どこでもそうでしょう、出世コースを選択すると、
残された可能性は「宮仕え一筋」「マイボス派閥一辺倒」に。
休みの日にも、ゴルフバック担いで、営々とゴルフ場に駆けつける。
テニスグッズをバッグに詰めて、市営のテニスコートに。
あほらしい。
そんな連中は、退職すると、
自分がアホになっていることに気づかないほどに、
アホになっています。
新しい人生に全身全霊で飛び込む勇気も素養も下地もない。
早々にボケて、早々に健康を失います。
ご愁傷様です。

  人生を本当に楽しみたければ、すべての日に楽しむべきです。
  仕事をするときは仕事を楽しみ、
  余暇になれば、自分の人生をひたすら楽しむ!

さて、懐古のひとときから飛び立って、
我が生活の地、すなわち、桃源郷に戻りましょう。
古都奈良はすでに秋たけなわ。
でも、海外旅行客の脚はとぎれません。
むしろ増えているくらい。

今回は、近鉄奈良駅を起点にして、
奈良町から三条通りを南下して、
JR奈良駅に至るコース。
もちろん中国人、韓国人もぞろぞろ歩いていますが、
欧米からの白人旅客も多数往来しています。
まさしく行楽、旅行のシーズン到来、ということなのでしょう。

さて、レンズ。

ソニーα7s
ペンタック38mmF2.9

おそらく1930年代のドイツ製です。
なんとも言えない程に、穏やかな肌触りのレンズです。
オリジナルが何のためのものであったか、わかりません。
宮崎貞安さんにスクリューマウントに改造していただきました。
私が保有しているクラシックレンズ中、
番ふるいクラスに分類できます。
もちろんコーティングなどありません。
人間と一緒。
人間の女性だって、「素肌美人」が本物の美人ですね。
ネットで、「化粧でどれだけ化けられるか?」を
テーマにする記事がいくつもあるようです。
よくまあ、この程度のおばちゃんが、
自分が化ける姿をさらけ出せるものだと驚くほどに、
完璧に変身できるようです。

ここだけの話。
私の妻は本物、正真正銘の美人です。
化粧がなくても美人です。
ハイヒールを履かなくても、完璧な美の化身のようなスタイルです。
高齢になっても...

なぜ、こんな美人と結ばれたか?
理由は一つしかありませんね。
前世で、私はよほど神様に愛される仕事をしたのです!
今生はまさにそのご褒美であることは明らかです。

ここで、外野席から一声!
「でも、あんたの奥さんにとって、
あんたと結ばれてしまった今生は、
地獄からのご褒美じゃないか?」
「うるさい!!!」
こんなアホに関わっている暇はありません。
さっさとレンズ談義に。

肝心要なことは、ペンタックの描写。
これが素晴らしい。
ナチュラルで、飾らないレンズ描写について、
よく言われる表現があります。
「このレンズの表現にはケレン味がない」
まさに、この一言に尽きます。
ということは、私に言わせれば、最高の褒め言葉です。

ここで、誰か現代レンズの愛好者が来たら、
頭に来るようなことを書いておきましょう。
現代レンズの味はまさにケレン味だらけです。
完璧な現実再現を標榜しつつ、
各社その総力を結集して、他社の描写よりも、
一層に輝かしく、一層にリアルに、そして、
現実感豊かに見えるように工夫を凝らしている!

私は使ったことがありませんが、
第二次世界大戦後、かなりの期間、
ジャーナリズムを彩った画像リポートを支配したのは、
ニコンレンズでした。
でも、何事も行き過ぎはどこかで飽きられるようです。
リアル一辺倒は無味乾燥に通じます。
写真ジャーナリズムとは別領域で、
芸術写真家たちが世界に満ち満ちました。
彼らは、もっとあたたかな、もっと華やかな画像を求めて、
キヤノンレンズにその可能性を見いだしたようです。
私はそのどちらも使いませんでした。
最初から徹頭徹尾、ヨーロッパ風味の豊かな、
ヨーロッパ各国のオールドレンズを使い続けてきました。

このペンタックもそんな古式レンズの典型。
でも、けっして古めかしい、旧時代レンズとは感じません。
プロ、アマを問わず、いわゆる「写真家」は、
第三者、他者に感銘を呼び起こす描写を求めます。
その合言葉は「リアリティ」。
これはまさしく基本条件でしょうね。
傑作レンズは現実感に溢れていなければならない。
でも、それは基本条件であって、完全条件ではありません。
どこかスーパーリアリティの趣きが漂うのでなければ、
傑作オリンポスの峻厳高貴な頂点を極めるものとは言えない。

ペンタック38mmF2.9はそれほどまでの高さを誇る、
他の追随を許さぬ超傑作とは言えないかも知れません。
そこで、ペンタックはどうか?
レンズ愛好家でも、ペンタックなんて知らない、
そういう方の方が断然多いでしょう。

でも、時々思うのですが、
誰もが知って、傑作と認めるレンズには、
ある種の平明性、わかりやすさが備わっている、
そんな基礎条件が必須かも知れません。
でも、世には知られていないけど、
そんな超人気傑作を凌ぐ、
正真正銘の至高の名品がときに存在するものです。
ペンタックはそんなレンズなのかもしれない!
私はそう確信したい気持ちでいっぱいです。



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# by Sha-Sindbad | 2024-01-03 22:21 | Pentac38/2.9 | Comments(0)

1059 少年時代 (2023年10月5日ジュピター35㎜F2.8が奈良町の秋を楽しんだ)南十字星


2023年10月5日、晴れ
ふっと自分の少年時代を思い出しました。
高校生の頃です。
大学受験校でしたが、私は、塾等の受験用の勉強など皆無。
ふつうに学科を勉強するだけ。

私は試験ごとの成績表、学期ごとの通信簿など、
両親に一切見せませんでした。
父は自分の職業を長男である私にも選択して欲しい、
という気持ちをはっきり持っていました。
でも、その父も母も、私の勉強態度に一切注文なし。
成績表等を見たがったこともありません。

なぜ、そうだったのか?
私は聞いていないので、知りません。
でも、かなり長男の私を信頼していたことは事実でした。

医師の多い一族で、
家族に3人、近い親戚にもやっぱり3人いました。
医師への道もないわけではありませんでしたが、
私は殺生が嫌いな人間です。
蚊のような、私を直接攻撃する虫は退治しますが、
そうでない限り、退治しません。
殺生は嫌い。
それもあったかもしれません。
加えて、2つの出来事が私の未来を決定しました。
すでに医大に通っていた姉の部屋が隣でした。
留守中に、卓上に並ぶ解剖全書をちらっと覗いて、
「ゲッ!」
人間の体が解剖されて、物体となっていました。

いつしか私は父の後を追うか、
それとも、医師になるか?
このどちらかしかない、と、二者択一の未来が待っていました。
でも、父はかなりの戦術家でした。
二人でよく散歩をしました。
散歩しながら、あれこれと語り合ったものでした。
そんなとき、よく言った言葉が、
「将来は、★か、それとも医師がいいぞ」
これがあって、自然、私の将来は決まってしまいました。

私自身、子供ながら、宮仕えなど嫌だ、
会社員にはならないぞ、
誰かに命令されるなんて真っ平御免、
そう心を決めていました。

そんなある日、父が作戦を決行したようです。
「長男を跡取りにする決戦」
長姉の夫に頼んで、映写機を持参させ、
8mm映画で解剖シーンを見せてくれたのです。
こんな親、居ますかねえ?
昔のフィルムが巻き上げられる装置でした。
私もずいぶん原始時代に生きていたようです。
映画が始まり、モノクロームの画面に、
シーツが四角く切り開かれ、
その開口部に真っ白なお腹が映し出されました。
そこにメスがすっと降りてきました。
お腹の皮膚に
メスがすっと入りました。
一滴の血液が丸く盛り上がりました。
その瞬間、血液だけが真紅に着色されていました。
その後は、ぐいぐい切り開いて、
胃潰瘍手術を施す手順の一切が映されていたのでしょう。
私も母も、当時中学生の弟も「やめて、やめて!」
ストップ!!!
当たり前ですね。
これで、私の医師への道は完全にシャットアウト。
父の作戦は完全に成功!
私は当時高等学校2年生でしたが、
志望がはっきり決定されたわけです。
医学部にではなく、別の専門学部に進みました。

それから何十年も経ちますが、
私は今でも父の計らいに感謝しています。
外科医、整形外科医、二人の義兄は、
そろって70代前半で昇天して仕舞いました。
二人とも元気に生きていたこともあって、
短命だった、そう感じます。
外科医は、種々の手術の機会に、かなり深刻な病気をもらう危険があり、
生死を賭ける仕事だけに、精神的にもかなり消耗が激しい。
だから、外科医は概して短命なのだ、
そう言う人もいます。
人間の肉体にメスを入れる行為そのものが、
どんなに老練の医師にさえ、
その精神にある種のダメージを与え続けるのでしょうか?

なにはともあれ、
私は高校2年で将来の進路、職業を決定しました。
父の職業を選んだのです。
こんな風に早期に自分の将来を決定する人間は
あまりいないかも知れませんね。
私はこの選択を一度も後悔したことがありません。
国家試験は日本でも外交官試験に次ぐ狭き門、
そんな風に言われていましたが、
未来に対する不安を感じることは一切ありませんでした。
私には、心配すべきことも心配しないで済ませる、
ある種の図太さがあるようです。

もちろん勉強もちゃんとしました。
狭き門なので、勉強しないわけには参りません。
でも、性来、私は真面目な学習が好きではなさそうです。
十数冊の専門書を繰り返し復習するという作業でした。
退屈そのものでした。
だから、その合間に、
三国志の模倣作をどっさり作っていました。
中国名の英雄たちの仮想の栄枯盛衰記をいろいろと想像したのです。
中国史の諸王朝を彩っている創業伝説に想を得て、
偉そうに言えば、「ノベライズ」することを楽しんだ訳です。
要するに、私もまた二律背反を起こしているわけです
現代中国の無法ぶりは許せない。
でも、過去の中国史は、豊かな智恵の宝庫として、
興味は尽きない!
一生、そんな風に生きるでしょうね。

今、たった4畳の小さな書斎で、
ほとんど部屋の半分を占める巨大なビューローの前に座って、
MacBook Airにせっせと文章を入力しています。
すでに退職して8年も経ってしまいました。
今でも、仕事をせよと委嘱されたら、
現役当時にあまり引けをとらない仕事ができる自信はあります。
でも、私たちは時代とともに生きるものです。
私の時代はすでに去って久しい。
もしかすると、現代に適応できず、
とんちんかんな仕事をしてしまうかも知れません。
自分では気づかないけど、頭脳もかなり錆び付いているかも?

私が住む、やや高台の住宅地では、
新旧交代の波が起こって久しい。
商務省だったか、自治省だったかのOBたちが、
退職前に企画して、共同で宅地造成して、
自分たちの終の住処を作り出し、
余った区画は販売に出して、利益を得たようです。
官僚たちのずいぶんチャッカリした企画です。
私は官僚たちなど大嫌いですが、
住宅地としては満足しています。
やや高台なので、涼しい。
外部の車が入って来ないので、静寂そのもの。
そして、日が落ちて空を見上げると、
澄み切った空に星がくっきりと浮かび上がります。
一番近くのバス停から我が家まで下り坂。
どんな時間帯も、人っ子一人歩いていません。

夜は空を見上げたまま歩きます。
星たちがくっきりと浮かび上がります。
でも、大都会の近郊なので、星の数は少ない。
たとえば、学生時代よく言った弘前の国民宿舎の夜空は、
満天に数知れない星たちがぎっしりと浮かんでいました。
まだ現役時代、
ナミブ砂漠近くで何泊かキャンプ旅行をしました。
ランドローバーで動物たちを観察しながら、
草原をドライブしたのです。
3泊か4泊、夜は自分でテントを張って、寝袋で眠りました。
ドライバー兼ガイド兼コックの南ア人が、
毎夜、大焚き火の火で、野生的な調理をしてくれました。
あるとき、チキンでしたが、まったく歯が立ちませんでした。
結局、ガイドが一人で平らげました。
バリバリと嚙み砕く音。
ご存知でしょう。
日本人の歯は半円形を描いて配置されています。
白人の歯は前歯がほとんど一直線に並びます。
その歯が大きく、
どんなに硬い肉でも骨でもバリバリ噛み砕けます。
それでも、なんとか食事を済ませ、
お風呂なんてないので、
夜は、ひたすら一人または二人用テントで就寝。
私は、大学教授の親友IUと、ウイスキーをいただきながら、
長い間話し込んだものですが、
それが済んで、「さあ、寝ようか」というあたりで、
私はテントから這い出して、砂漠で用を足すのですが、
その機会に十数分は砂漠に横たわります。
誰も居ません。
砂漠の平原に全天が180度広がっています。
その星空のゴージャスだったこと。
天の川にひしめく星々は大小さまざまですが、
すべてがビンビンと輝いています。
その天の川の主人公は、
北半球はオリオン座だと思いますが、
南半球では、南十字星であることは異論がないでしょう。
とにかく、この十字星ほど印象的に浮かび上がる星座はない、
そう言いたいですね。
星々の数の多さ、そして、南十字星の燦然と輝くきらめき!
生涯で忘れることができない光景の一つでした。

幾度か一緒に旅をしたIUさんは、
著書もある、かなり優れた心理学者でした。
でも、才能ある人間にときに見られる、
ある種の心理的トラウマに苦しんでいました。
おそらく自分でも気づいていた致命的な疾病で、
60にならずして、世を去ってしまいました。
学者仲間が彼を回想する一冊を作って、
彼に捧げました。
幾度も蔵書を売払いましたが、
この本は書棚のどこかに今でも残しています。
私は、彼を失って、
ある種の大切な生きる糧を一部奪い取られた、
そんな気持ちで生きてきました。
学者仲間たちが回想書を作ったのは、
この本だけは...せめて、「思い出のヨスガ」
という気持ちからでしょうか?
心理学研究者たちの記念論文集なので、
私の関心外ですが、今でも書棚に大切に残しています。
でも、そんな本よりも、本人が生きていて欲しかった、
そう考える人はかなり居るのではないでしょうか?

希望に満ちた少年時代とは違って、
懐旧、後悔の気持ちがともすると心を占める、
それが老年期の一種の副作用なのでしょうね。
たしかに可能性の幅は大きく削られてしまいました。
でも、まだまだ図太く生きるぞ!
そんな気持ちがせせり上がってきますね。
がんばりましょう。



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# by Sha-Sindbad | 2023-12-28 01:32 | Jupiter35/2.8 | Comments(0)

1058 奥が深い(2023年10月25日バルター50㎜F2.3が奈良町で静かに歩みを進め)それがどうした?


さて、今回の写真。

ソニーα7s
バルター50mmF2.3

レンズの世界も奥が深いですね!
時折出番が回ってくるだけですが、
今回のボシュロムレンズも、
一種独特に深遠な雰囲気を醸し出すレンズです。

パンタッカーのような、
思わず、「至高!」と口走りたくなるような、
独特の深みをたたえた描写性とは違います。
でも、そこにあるものや人の姿に、
静かに対面できる、そんな感じがいつも浮かび上がってくるのです。
大げさではない。
ただ自然!
そんな雰囲気に好感を抱くことができます。

映画レンズのようです。
私が思うに、映画用レンズには一つの使命をあります。
制作者たちがレンズに期待することは、
おそらく2つではないでしょうか?
① スクリーンに投影された画面に、
すっと自然に精神を没入させてくれること。
② その映画が醸し出そうとしている雰囲気を
いかにもそれらしく演出してくれること。

気楽に楽しめば良い映画に、
少々、言い方が大げさですね。
もっとシンプルにいえば、
映画を見る人が、ドラマにすっと没入できる画面を創ること。
つまり、
鑑賞者が、ドラマの作り方、俳優の演技などに、
全然心が揺れず遊ばず、
映画の作り方、画面の見え方などにも、
気を取られないで、
ドラマをひたすら心から楽しめること!

昔風の言葉遣いで付け加えますと、
「さはさりながら」
制作者、監督の映画の作り方、俳優たちの演技等々に気を取られず、
ひたすらストーリーに没入できるような、
画面、編集、作り方ができることが、
映画制作者の眼目でしょう。

バルターはそんな映画作りに大きな武器となったようです。
映画の前後どこかに、製作チーム、スタッフが紹介されます。
この紹介の仕方も映画作りの一つの形になります。
最初に、映画の舞台の遠景をバックに、
この紹介が続くと、ときには退屈してしまい、
さっさと物語に入ったらどうだ?
という気分になってしまいます。
でも、映画会社としては、
名画の製作チームをしっかりと紹介したい。
映画の本編終了後に主題歌とともにスタッフ紹介が続くと、
ほとんどの映画鑑賞者は、映画館であれば、席を立って、
ぞろぞろ退出するでしょうし、
テレビで見るときは、さっさと切ってしまいます。
前後どちらに置くとして、無駄となるリスクがかなり大きい。

私の気持ち、意見としては、
最初に字幕でのスタッフ紹介をするんだけど、
その紹介のスタイルがすでに本編への雰囲気作りをしている、
そんな映画が名画となる、という感じがします。
今、ふっと思い出したのは、フランス映画の「デリカテッセン」。
スタッフ紹介なのに、なぜかワクワクしてしまいます。
実に見事でした。
それから、西部劇には、映画冒頭の字幕のバックグラウンドで、
すでに物語が始まっているという形のものが多かったようです。
「駅馬車」にしても、「シェーン」にしてもそうでした。

ブログもそんなスタイリッシュなものを観たいですね。
私のブログは、鑑賞者が見ることを予定していない、
ただの日記ブログですから、上記のような配慮は完全無縁。
ただただ文章がダラダラと続き、
そのあとに、文章とはほとんど無関係に、写真がダラダラ。
それでも、本人である私には楽しくて堪らない。
自分の文章が、写真が、
ネットに堂々と掲載されている!
これは、醍醐味ですね。
プライベートブログの99パーセントは私と同様でしょう。
訪問者が居なくても、それがどうした?
というところです。



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# by Sha-Sindbad | 2023-12-23 22:32 | Baltar50/2.3 | Comments(0)

1057 奥が深い(2023年9月24ホロゴン15㎜F8が奈良町で静かに歩みを進め)それがどうした?


さて、今回の写真。

ソニーα7s
ホロゴン15㎜F8

いつものロボグラフィ。
ただそれだけ。
別に取り立てて、書くこともない。
そんな感じ。
こんな日もあって、いいでしょう。



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# by Sha-Sindbad | 2023-12-21 00:45 | Baltar50/2.3 | Comments(0)

1056 常往必撮 (2023年9月14日オリオン28㎜F6が奈良町の海外旅行客をコレクトして)お世話になります


9月14日火曜日、雨
午前11時家を出ました。
装備は、雨天を考慮して、ホロゴンから取り換えました

ソニーα7s
オリオン28mmF5.6

私にとってはミニホロゴンです。
でも、横位置専用のホロゴンとは違い、縦位置専用。
雨の場合は、こうした縦位置専用レンズを使います。
左手は傘を差しているので、右手一本で撮れるように。

小雨ですが、傘を差さないで、
ちょっと暑苦しいながら、薄手の防水上着を着用し、
我が家を出発した瞬間から、撮影態勢。

常住坐臥、ならぬ、
常往必撮の境地

バス道伝いに高畑町まで撮影散歩し、
お弁当屋で電話予約しておいた海苔弁当を受け取り、
バス道から奈良の東山山麓の緩やかな上り道に折れ、
沿道を撮影しつつ、お弁当を頂く場所まで上っていきました。
いわば、私の専用休憩所となっている場所で、
お湯を沸かして、お茶を入れ、
海苔弁当で昼食を撮りました。

持参のiPodを備え置きの小型スピーカーに繋いで、
かなり朗朗とグールドのバッハを再生しながら、
昼食に舌鼓を打ちながら、ポメラ作文を楽しみました。

私は、こうした場所や喫茶店、電車内でと、
至る所で絶えずポメラ作文を楽しみます。
もちろんiPodで音楽を楽しみつつ。

ヴェルディ、ワーグナーのオペラをガンガン鳴らしながら、
国家試験の勉強をした時代からの習慣で、
義務的なものには楽しみをダブらせて、
気分を晴朗にしながら、頭を使う仕事をするのが私の習慣。
それじゃ、学習に専心できないだろうとよく言われますが、
逆です。
やりたくないことをやっているときは、小さな雑音も障害となり、
学習から心が逸れてしまいます。
音楽は雑音を完全に消し去ってくれます。
凄い音楽、見事な見事な歌声なのですが、
なぜか私を励まして、学習に気持ちを集中させてくれます。
さらに、消化を妨げ、健康に悪いともよく言われてきましが、
当時はもとより、その後も今に至るまで何十年間、
体調を壊したことはほとんどありません。。

そのせいか、体重も軽めに不変で、睡眠も6時間完全熟睡型、
大きな病気など一切無縁。
私は、人類でもっとも恵まれた心身構造で生まれたようです。
だから、人類に貢献する仕事を成し遂げたか?
いえいえ、並み程度の仕事で済ませましたね。

人類の生存になにがしかの意味や価値を与える仕事をする人は、
たとえば、宮沢賢治のように、自分の魂と身体を削って、
まさに粉骨砕身の生き様を余儀なくされてきたようです。
彼に与えられた運命は、もって生まれた天才を、
世のため人のために使い尽くす使命を課してしまったからです。
やれやれご苦労様。
天才たちは、数少ない例外を除き、
自身はその仕事の成果を味わうこともできず、
現世、後世の人たちから限りない感謝の気持ちを
捧げられることも知らずに、この世を去るのですから。

というわけで、私は、自分の人生を自分自身で楽しませてもらい、
そのことで、別に神さまを含めて誰にも感謝することもなく、
「ながら族」しながら、やりたいことをやっているわけです。

でも、体に悪いことはしないのが一番。
やっぱり「ながら族」は身体に悪いのです!
健康を害すること必至ですね。
もしかすると、ですが...
だから、念のため、皆さん、「ながら族」よしましょう。

じゃ、私は?
死ぬまで続けるでしょうね。
そうしたら、誰かが私について、
「やっぱりながら族は身体に悪かったのだ!」
なんて言うでしょうか?
言いませんね。
誰にも気付かれずに世を去って行くでしょうから。
ということで、死後の誹りなんて虞もないわけで、
心安らかに昼食をとると、休憩場所を出発し、
高畑町を撮影しつつ、奈良市写真美術館に。

本日の催しは、

入江泰吉「聖徳太子ゆかりの地」
元田敬三「元田敬三 御意見無用」

入江先生の大和路は例外なく素晴らしい作品。
でも、いつもながら、パソコン処理による復元が見事に施されて、
フィルムのもつなんとも言えない自然な感触が消えて、
堂々たるデジタル作品と化していました。
立派ですが、銀塩プリントを観てきた人間には、
どうもツルツルピカピカ過ぎます。

元田敬三さんの都会のいわば、はぐれ者たちショットは、
ストリートカメラマンたちのまさしく定番のテーマ。
使用するレンズもスーパーアンギュロン21㎜F3.4!
ストリートフォトの定番レンズによる肉迫ポートレート集。
その意味で、切り口に新味はありませんが、
なにしろ愉快なはみ出し者たちです。
レンズを向けられても、臆せず、躍動しています。
大いに楽しみました。

でも、実のところ、銀塩時代が終わってからは、
近頃こうした写真家の労作についても、
あまり心が動かされないのです。
じゃあ、デジタルカメラで撮っている自分のロボグラフィは、
なんで飽きないんだ?
銀塩フィルムの時代の感触にできるだけ戻したいと、
カメラの設定を全部例外なく最低にして、いわゆるRAWにして、
若干粒子が出る位に荒い精度で撮って、
画像処理ソフトではその日の写真の濃度を揃える程度に止めている、
というせいもありますが、
ほぼ完全に伸ばした手の先のカメラで、画像を確認せずに、
いわば「当てずっぽう」ならぬ「向けずっぽう」で撮って、
まさに「カメラを持ったチンパンジー」式デタラメ写真を
目指しているからです。

どうして?
まあ、簡単に言って、アマチュア写真家ごっこに飽きた!
ということでしょう。

デジタルカメラを最上の設定で撮り、
Photoshop等の現像、画像処理ソフトで
最高の作品に仕上げる作業をするのは、
大変な労働だろうと推測します。
でも、私は、そのような労作を見るにつけ、
そして、加えられた修正、仕上げが豪華絢爛であればあるほど、
現実世界からどんどん遠ざかっているとしか思えないのです。
現実からのメタモルフォーゼ、これがデジタル写真です。
写真家の皆さんは、昔風のフォトグラファーを卒業して、
今では、多かれ少なかれ、意識すると否にせよ、
アーチストと化しているわけです。

「現実をじかに体験し、素直に記録する」という
銀塩時代のあり方は完全に過去のものになってしまいました。
だから、私も「風とともに去りぬ」というわけです。
喜んで!

自分一人で楽しむだけですから、
どんなにしけた画像でもよいのです。
四隅まで抑えた見事な構図なんて、さようなら、です。
ひたすら、

「来た
 見た
 撮った」

これだけで楽しみ続けることにしましょう。

今回のレンズ、オリオン28mmF5.6は、
こんな気楽なロボグラフィ撮影には最適の一本。
ごくごく小さなレンズなので、
ソニーに付けても、まったく目立ちません。
ただブラブラとぶら下げたカメラが、
実はブラブラしつつも、撮影をしている、
ということに気づく人はかなり少ないでしょう。
私自身、撮影にほとんど意識しない。
そう言ったら、かなり大げさ、誇張ではありますが、
私の気持ちの上では、そうでありたい!
まあ、手だけで構図を調整することなど無理ですから、
撮影の瞬間、その方向は絶対に見ないで撮っても、
見ながら撮っても、実は変わりはありません。

どんなレンズを使っても、ある方向を撮ろうとしたら、
ファインダーも見ないで、
その方向のどんな部分が撮影できるか?
これがわかる人が居たら、お目にかかりたいですね。
私の場合。どんな部分が撮れるか分かるから、
その瞬間シャッターを落とすことなどありません。
私にはわかりっこないことが分かっているのですから。
そうではなくて、どう撮れようが、どうでも良い!
そう考えているから、そっぽ向いて平気で撮れるのです。

練達かつ経験豊富な写真家なら、
そんな芸当もできるのでしょう。
ここから、自分の愛用レンズである方向を撮ったら、
どんな写真が撮れるか、完全に分かる写真家が居ます。
カルティエ=ブレッソンがそうでしたが、
プロの写真家には「その程度は初歩の初歩だよ」
と豪語する方も多いかもしれません。

私なんか半世紀撮り続けて来てもなお、
そんな芸当はできません。
写真家なんか無理だと諦めたのは正解だったわけです。
おかげで、どんなにずっこけた写真だって、
ブログに平気で掲載できるわけです。
オリオン28mmF5.6というレンズは、
かなりそれらしい写真を撮影者にプレゼントしてくれます。
おかげで、完全にお世話になっているわけです。
そうすると、とんでもないずっこけ写真だって、
バンバン撮れます。
でも、さはさりながら、
写真家志望を完全に振りすてて、
完全素人写真で平気で自分の写真を楽しもう、
そう決断して以来、
そんなずっこけ写真だって、
私の大事な写真なのです。

でも、たまに私が文章で自白しているとしても、
私の雑文を真面目に読む人がいるはずもないのですから、
そんな私のずっこけ写真を、
もし「これは作家の労作なんだ!」と思い間違って、
私のブログにせっせと通う方がもし居たら、
これは私のある種の罪なのかも知れません。
「そんな野郎がブログをやるのは、犯罪みたいなものだ!
人の貴重な人生のひとときを盗み取るに等しいのだから!」
そんな風にお叱りを受けるかも知れませんね。
でも、私は平気です。
「我輩は稀代の大写真家、アーチストなのじゃ!」
そう豪語して、ろくでもない写真を発表する人の方が
はるかに罪深い!
私はそう言いたいですね。



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1056 常往必撮 (2023年9月14日オリオン28㎜F6が奈良町の海外旅行客をコレクトして)お世話になります_b0226423_00290513.jpg
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# by Sha-Sindbad | 2023-12-18 00:43 | Orion28/6 | Comments(0)