レンズ千夜一夜

<   2013年 03月 ( 31 )   > この月の画像一覧

641  天神橋商店街 (スーパーアンギュロン21mmf3.4はやっぱりライカだった)



スーパーアンギュロン21mmF3.4
もう一夜続けましょう。

大阪天神橋商店街で600枚ばかり撮ってみて、
少し戸惑っています。

銀塩フィルムで使っているときは、このレンズ、シュナイダーらしく、
切れ味よく、ざっくりとした感触で、男性的だと思っていたのです。
ところが、ライカM9で撮ってみると、かなりウェットなのです。

    女性的(昔風の女性の意味)なのです。
    ライカM9のせいかもしれません。
    ちょっと頭をひねっています。
    おそらくデジタルのせいだと思うのですが、
    白がとても美しく、清潔感さえあります。
    これもシュナイダーらしくない。
    むしろこう言いたいですね、
    スーパーアンギュロン21mmf3.4はやっぱりライカレンズだった!

でも、あくまで豪快なホロゴンのサブとしてなら、
むしろそんな描写がコントラストがあっていいですね。

ただし、たった一日試しただけで、
スーパーアンギュロンのようなカリスマレンズの性格を見通すことなんて無理。
そう言うのが、穏当なところなのでしょうけど、
でも、たとえば、こう考えてみたいのです。

    あなたが男性として、不慮の事故でかなりの重傷を負って、
    救急病棟の一室に運び込まれ、
    顔中包帯でぐるぐる巻きの状態でベッドに横たわっていると想像してください。

担当医が入ってきて、その第一声が暗黒の中に響きます。

    一人は、疲れたような声のうらぶれた男性の声、ちょっと離れたところから、

        「やれやれ、これはやっかいだなあ。
        どこから手をつけていいのか?
        ふーむ....................」

    もう一人は、銀の鈴を振るような澄んだ明るい声の若い女性の声、
    さらさらと近寄る衣擦れに続いて、あなたの手をやさしく握って、

        「災難でしたねえ。
        でも、心配ありませんよ。
        大丈夫、赤ん坊みたいにツルツルピカピカになって退院できますからね。
        一緒にがんばりましょうね」

さあ、あなたに質問。

    どちらの先生に治してもらいたいですか?

もしかすると、男性の方が経験豊かな名医かもしれない。
でも、やっぱり女医さんをとるのではありませんか?

スーパーアンギュロンは、この女医さんどころではありませんね。
名声サクサクたる天下のカリスマレンズなのです。
それが私の心にもかなう写真を撮ってくれる、
そうわかっただけで、もう十分じゃないですか?

    「愛しているよ」そう言ってあげましょう。




b0226423_22125830.jpg
b0226423_22125115.jpg
b0226423_22124668.jpg
b0226423_22123913.jpg
b0226423_22123212.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-31 22:17 | SuperAngulon21/3.4 | Comments(6)

640 お花見の少女 (スーパーアンギュロン21mmf3.4がライカM9で使えた!)



昨夜、突然閃いたのです。

    スーパーアンギュロン21mmf3.4だって、
    ライカM9で使えるはず。

新潟の傑出した写真家yoshiさんは現にこのレンズで、
モノクロームの名作を続々と生み出しておられます。

前後対称型のレンズの後玉がぐっと突き出ているため、
周辺の画質がかなり劣化するせいでしょうか?
ライカ社は使用不能と表示しています。
でも、マニュアル露出が適切に決まると、ちゃんと撮れるのです。

今日、大阪天神橋にこのレンズをライカM9に付けて持ち出しました。
646枚撮りましたが、周辺の色が崩れる確率はかなり低いようです。
要するに、ちゃんと撮れます。

まず、色の崩れたサンプルをごらん頂きましょう。
ほとんど全面にわたって、色がおかしい。
でも、なんだかとってもいいのです。
私にとって、この程度はまるで気になりません。

中心部がこんなに活き活きとして美しいのですから、
すべてを許してしまいます。

    このレンズ、やっぱりスーパー!




b0226423_2224445.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-30 22:03 | SuperAngulon21/3.4 | Comments(1)

639 シルエット  (ヘクトール28㎜6.3がひっそりとステップを踏んでくれた)



今日持ち出したカメラはリコーGXR/A12。
レンズは、ライカで決めたいと一念発起して、

    ヘクトール28㎜6.3

実効42㎜で撮ることになります。
暗い日でした。
もともと彩度、コントラストを最低に設定しているので、
ここはシルエットで決めたいと一年発起して、
わざと明るい背景で撮ってみました。

ロボグラフィの嬉しいことは、
どんなものもロボグラフィに変身できるということ。

    あなたも私も天才にはなれず、スーパーマンにもなれませんが、
    路傍の平凡なものたちはそんな限界などさらりと無視して、
    なぜか突然パフォーマンスを始めるのです。

    日頃絶対に踊れるなんて思えないしなびた婆様が、
    祭囃子に合わせて突然華麗な足裁きで踊ったりしたら、
    村中大騒ぎで歓び、笑いさざめくでしょう。
    ロボグラフィって、そんなものです。

    ただし、笑いさざめくのは私一人ですが。




b0226423_22251997.jpg
b0226423_2225999.jpg
b0226423_2225985.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-29 22:26 | Hektor28/6.3 | Comments(8)

638 雨の日 (パンタッカー35mmf1.8は心やさしい昼行灯レンズ)



今日は、持ち出したのは、アストロ・ベルリンの映画用レンズ、

    パンタッカー35mmF1.8

戦前のノンコーティングレンズです。
とてもコントラストが低く、シャープネスもそこそこ。
これなら、ソニーNEX-5Aのデジタル臭さもかなり軽減されるのでは?

私のようなレンズグルメではない、ただの写真好きにとって、
古代レンズの効用は次の一言に尽きます。

    私の撮りたい写真を撮らせてくれる。

では、私の撮りたい写真ってなんだ?

    あらかじめ、こんな写真を撮りたいと想像できるほど、
    私の想像力は豊かにできていません。
    ただ撮れた写真をあとで見て、
    ああ、こんな写真が撮れてよかった、と喜ぶ、これだけ。

そんな人間には、むしろ意外性のあるレンズが楽しい。

現代レンズは確かに猛烈に見事に撮れます。
でも、その見事さは私にはついて行けない域に達しています。
私がかつて夢に見た見事さとはなにかが、いや、すべてが違います。

古代レンズは、現代レンズに劣らず、意外性一杯。
しかも、その意外性は私の心を喜ばせる質の意外性なのです。

パンタッカー35mmと現代レンズとの間には、
揚子江クラスの、対岸が見えないほどの大河が横たわっています。

茫洋、茫漠とした川面にはうっすらと霞がかかっています。
誰もこんなレンズ使いたいと思わないだろうな、そう思わせる、
このレンズの昼行灯ぶりが私の心をくすぐります。

まあ、ごらんいただきましょう。




b0226423_22421789.jpg
b0226423_2242495.jpg
b0226423_22415930.jpg
b0226423_22415992.jpg
b0226423_22415131.jpg
b0226423_22414592.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-28 22:45 | PanTachar35/1.8 | Comments(4)

637 ある日に出会ったものたち (キノプラズマート15mmf1.5もときには茫洋と)



私が持っている一番広角のキノプラズマートが、

    キノプラズマート15mmf1.5

中央部のきりりとしたシャープネスは出色、
そう思っていたのですが、今日はなぜか違いました。

オリンパスE-PL1の感度を最低の200に落として、
F5.6からF8あたりで、ノーファインダー撮影をしたせいかもしれません。
終始、薄ぼんやりと曇った一日だったせいかもしれません。

終始、茫洋とした風合いを見せて、
レンズも日によって違う顔を見せてくれることが分かります。
つまり、レンズも気分屋さんなのでしょう。



b0226423_21371774.jpg
b0226423_21371276.jpg
b0226423_2137746.jpg
b0226423_2137135.jpg
b0226423_21364332.jpg
b0226423_21364668.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-27 21:41 | KinoPlasmat15mmf1.5 | Comments(0)

636 晩秋 (ビオゴン35mmF2.8にも登場していただきましょう)



№633、634でビオゴン35mmF3.5Prewarが登場しました。
こうなると、その弟分のビオゴン35mmF2.8も黙ってはいません。
急きょ立候補して、別ブログでもシリーズを組むことになり、
その内4枚をついでに本ブログにも登場してもらうことにしました。

と言っても、兄貴にちょっと遠慮して、ソニーNEX-5Aで、
実効52.5㎜標準としての使用例。

かなり硬いレンズで、ツァイスの超高級レンズにありがちな、
いわばオーバースペック気味。
ソニーに付けると、少し尖ったところがとれましたが、
糸を切るのに、ナタを使う、そんな感じがまだ少し残り、
そこはかとなく漂うのは、
「俺様はツァイスなんだぞ」という風な気負い。

これが後年の東独ツァイスのフレクトゴン35mmF2.4になると、
さらに角がとれ、肩の力も抜けて、中庸の王道を往く感じになります。

でも、レンズの味わいなるものは、グルメと同じですね、

    十人十色ですね。
    なにを良しとし、なにを好むかはその人次第。

この文脈からお分かりのように、
私の究極の選択基準は、レンズグルメからやや逸れて、

    レンズのことを忘れ、写真のことに集中させてくれるレンズ、
    これが名玉のあるべき姿。

アマチュアの間では、傑作写真を見たときの典型的な質問が、

    A これ、なんで撮ったのですか? 
    B これ、どこで撮ったのですか?

Aの質問により、自分でもそのレンズを使ったら、この程度は軽く撮れる、
Bの質問により、自分でもそこに行けば、もっとよいものが撮れる、
という自負の鎧がちらちらとほの見えてきます。
どちらも幻想に過ぎないと分かったとき、
ど素人から、ほんの1段レベルアップできた程度ではないでしょうか?

私は今でもなお、レンズにこだわっています。
つまり、完全な素人レベル。
というわけで、こんなときにふさわしいセリフはこうですね。

    なんか文句あるの?
    そうしたいと思ってるんだから、ほっといて。

でも、こんなところにこだわっているようでは、
写真家への未来など開きませんね。




b0226423_14384313.jpg
b0226423_14382633.jpg
b0226423_14383710.jpg
b0226423_14383125.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-26 14:41 | Biogon35/2.8 | Comments(4)

635 西大寺駅南を一巡 (キノプラズマート16mmf1.5は小型レンズだけど絢爛たる絵巻を)



今日持ち出したレンズは、

    キノプラズマート16mmf1.5

キノプラズマートのこのあたりの布陣はひしめきあっています。

    15mm、16mm、約19mm、25mm 

こんなにもたくさん作らなくてもいいように思いますが、
パウル・ルドルフ博士(彼が全部設計したかどうか知りませんが)、
かなり乗りに乗って実験していた感じがします。
互いにまるで異質と言ってよい位に独自な画像をプレゼントしてくれるからです。

この16mm、オリンパスE-PL1に付けると、32mmの広角レンズなのですが、
19mmとともに、かなり正統派的な写真を作ってくれます。

    19mmはとても優雅なレディの味わいなのですが、
    こちらはキリリと引き締まり、青年の客気を感じさせます。

ついに生涯35mm以上のキノプラズマートとは無縁となりそうですが、
これらのレンズを使えば使うほど、
廉価版キノプラズマート4人組があれば十分すぎるほど十分、
そんな気分になります。

近鉄大和西大寺駅の南あたりをぐるりと一巡しました。
せいぜい20分程度ですが、かなり絢爛豪華なイメージ。
60枚から11枚選んでみました。
このブログの掲載写真としては最多かも知れません。




b0226423_221799.jpg
b0226423_221264.jpg
b0226423_2205734.jpg
b0226423_2205163.jpg
b0226423_2204653.jpg
b0226423_2204026.jpg
b0226423_2203453.jpg
b0226423_2202839.jpg
b0226423_2202293.jpg
b0226423_2202759.jpg
b0226423_2202025.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-25 22:07 | KinoPlasmat16/1.5 | Comments(0)

634  暮色 (ビオゴン35mmf2.8Prewarは暮れ方の情景だって)



夜のパリを撮って一世を風靡したのはブラッサイでした。
木製三脚に付けたカメラを使う姿が残されています。
うろ覚えですが、オーバーコートを着て、くわえ煙草が粋でした。

三脚もストロボもなしに夜の世界を撮れる時代になって、
なお三脚を使う人たちも、それなりのポリシーが感じられて、
その操作の姿が粋な方もおいでになります。

でも、どんなに操作に熟練しても、やっぱり足かせ。
自由な視点でなんのわだかまりも差し支えもなく撮れるためには、
三脚を捨てるに限る、そう考えて、
私は十年以上前に、ジッツォもリンホフも全部人にあげてしまいました。
骨折治療中に使っていた松葉杖を快癒後早々に処分するようなものです。
せいせいしています。

ライカM9の感度を400に設定して撮ります。
それでも手ぶれするほどの暗さになったら?
撮るのを止めます。

ビオゴン35mmF3.5は暗いレンズですが、
ライカM9はかなり夜に強いカメラ。
ただし、シャッターはかなり深く押し込まなければならないので、
巨大なシャッターボタンを付けています。
これでまさに一触即発シャッターに変身してくれます。

大阪平野での撮影の後半20分は日没後。
ビオゴンはもちろん開放オンリーなので、しっかり止まってくれました。




b0226423_2121192.jpg
b0226423_21211073.jpg
b0226423_1851056.jpg
b0226423_18505549.jpg
b0226423_18503623.jpg
b0226423_18503188.jpg
b0226423_18502579.jpg
b0226423_18503199.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-24 21:57 | Biogon35/3.5PW | Comments(2)

633  陶犬 (ビオゴン35mmf2.8Prewarでツァイスレンズは完成していたのでは?)



今日、孫の面倒を見るために出かけたとき、
バックの底に忍ばせたのは、

    ライカM9
    ビオゴン35mmF3.5Prewar

ツァイスの戦前のオールドコンタックスのための広角レンズです。

今日は、疲れたママのために、家事がひととおり済むまで、孫の世話を引き受けました。
そのおかげで、出発したのは午後4時40分頃。
孫の家からJR加美駅まで歩いて約40分、合計209枚撮りました。
後半は完全に日が暮れていました。
それでも楽しい撮影でした。

ますますビオゴンが気に入りました。
戦後のビオゴン35mmF2.8はシャープネスを追求する方には垂涎の名玉。
でも、戦前のビオゴンはそれよりもよいという評判です。
なんでもそうですが、評判倒れが多いものです。
でも、クラシックレンズに限って言えば、
公刊の資料に記載するほどの人の言葉であれば、おおむね信用してよいようです。

ビオゴン35mmF2.8はあまりに凄すぎて、
これで何を撮ったらいいんだろうか、ととまどってしまいます。
剣歯虎の巨大な牙のような印象。

戦前のビオゴンは開放から見事ですが、絞っても硬くなりません。
トポゴン25mmF4ときわめてよく似た清冽清澄な気品のある描写。
立体感とコントラストは、ツァイスならではのものがあり、
ライカのズミクロン8枚玉さえも凌駕すると言ってもよさそうです。
常用レンズとなりそうです。




b0226423_2244413.jpg

by Sha-sindbad | 2013-03-23 22:49 | Biogon35/3.5PW | Comments(2)

632  卒業 (キノプラズマート25mmf1.5は晴れやかな日にも似合い)



b0226423_22553827.jpg
b0226423_22554366.jpg
b0226423_22553592.jpg
b0226423_22551785.jpg





今日は偶然近くの大学の卒業式でした。
昼食の往還に出会った卒業生たちの晴れ姿をごらん頂きましょう。

    カメラはソニーNEX-5A。
    レンズはキノプラズマート25mmf1.5b。

日差しが強いので、F8に絞り、
4枚ともノーファインダーで撮りました。
私のソニーNEX-5A、真っ昼間では液晶がまったく見えない。
しぼってもなお華麗にフレアが躍ります。
こうやって撮ってみて、このレンズ、
撮りやすく、結果も上々ではありませんか?

実は、私は儀式なるものが大嫌い。
高校も大学も卒業式には出ていません。
しかも、今の今まで、まるで後悔していない。
その理由の一つは、君が代と国旗掲揚が大嫌い。
    (さあ、このブログ、この一文でなけなしの読者、さらに半減!)

でも、キモノ姿の卒業生たちは美しい!
by Sha-sindbad | 2013-03-22 23:12 | Kinoplasmat25/1.5b | Comments(4)