レンズ千夜一夜

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588 鶴橋市場 (バルター50mmf2.3で一度映画を撮ってみたいな)



レンズにくわしい親友からメールを頂きました。

    「ブログで、写真レンズと映画用レンズの違いを検討されていましたが、
    昔は球面収差を少しいじって、深度を拡張したのが映画用です。
    映画の場合、客の目線は主役、どちらかといえば中央に集中しますから、
    周辺の収差はあきらめ、
    明るさ(F値)にこだわったそうです。
    その典型がキノプラズマートです。
    でも現在は違います。
    レンズ周辺まで解像度を高め、そのため究極の精度を要求します。
    作るほうは大変ですよ。
    レンズ表面の滑らかさも格段に高い要求です」

なんで、キノプラズマートやスピード・アナスティグマートが、
ほんの一部の中心だけが異常にシャープで、
中心からかなり近接した距離から早くも周辺に向けて、
猛烈に像が崩れていくのか、
はじめて納得の行く説明をしてもらった感じがします。

映画用レンズを使うようになったのは、たった2、3年前。
それより前から、私は韓流ドラマしか観ない人間になっていますので、
戦前の名画たちをそのつもりでチェックしたことがありません。
その内、韓流ドラマで観るものがなくなったら(ありえないかな?)、
チェックしてみましょう。

ボシュロムの映画用レンズで定評のあるのが、

    バルター50mmf2.3

ライカM9で撮りましたが、周辺部まで像の崩れはありません。

アリマウントの宮崎改造版ですが、
周辺減光もあまりないうえ、歪曲収差もゼロに近い。
これはこれでスーパーレンズ。
まるで、映画版ズマロン35mmF3.5、フレクトゴン35mmF2.4。
いつどこで使っても、過不足のない中庸の描写。
いつか映画を撮ってみたいレンズですね。

近ごろはレンズ周辺まで解像度を高めているのだそうですが、
つまり、デジタルカメラ用のニューレンズたちと同じトレンド。
画面全体の均質性を高めるという方向なのでしょう。
商業的にはそれが正しいでしょう。
    ヒロインが画面周辺に来たら、ドラキュラに変わるなんて、
    ぞっとしませんから。

でも、私のように、常に中心にポイントを置いて撮る人間には、
周辺部は、この中心を支える脇役に徹して欲しいものです。
    目立つんじゃないよ、周ちゃん、
    そう言いたいですね。

解像度、像の均質性をソフト的に補完できる現代では、
ライカレンズをその方向に推し進めていっても、
他の現代レンズから飛び抜けて個性的な描写など、
可能なのでしょうか?
私には、疑問ですね。

だから、私の目からは、

    ほとんどすべての現代レンズは落第。
    トリプレットやゾナータイプの古代レンズを現代に復活させる、
    宮崎貞安さんのレンズだけが合格。




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by Sha-sindbad | 2013-01-31 15:49 | Baltar50/2.3 | Comments(4)

587 寒い日 (イヴォタール25mmf1.4は冬でもあたたかい写りで)



今日は、テーラー=ホブソンの映画用レンズを持ち出しました。

    イヴォタール25mmf1.4

いつの時代のレンズでしょうか?
オリンパスE-PL1に付けて、50㎜標準レンズとして使うのですが、
かなりコントラストのよい絵作りで、
古めかしさはちらっとも感じられません。

でも、現代風の切れ込みとは一味違います。
テーラー=ホブソンらしく、上品なのです。

冬の日を今回の4枚で表現しようとしますと、
雪国のみなさん、お怒りになるでしょうね、

    何が冬だ!
    とってもあたたかそうじゃないか!

おっしゃるとおりです。
でも、気温があたたかいのではなくて、
レンズがあたたかいのです。




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by Sha-sindbad | 2013-01-30 22:38 | Ivotal25/1.4 | Comments(2)

586 たそがれどき (キノプラズマート19mmf1.5もかなりぼけぼけで)



ゾンネタール50mmF1.1の後で、
キノプラズマート族の写真を見ると、
そのあまりの違いに、ちょっとあきれてしまいます。

    なんという抜けの悪さ。
    なんという混濁。
    なんという周辺の暴れかた。

ところが、なんということでしょう!
このキノプラズマートの写りに強烈な魅力を感じてしまうのです。

映画で言えば、

    ポール・ニューマン、
    ハンフリー・ボガード、
    マーロン・ブランド、

こんな人たちの持つ、
ちょっと崩れた雰囲気、
砕けた姿勢、無頓着な生き方、
要するに、ちょっとばかりアウトロー、
悪そのものではなくて、ちょっと悪風の自由でアナーキーな姿勢が、
どうしようもなく人間をおもしろく感じさせます。

ブロガーで言えば、一も二もなく、

    A1photoさん。

    実人生では、品行方正な謹厳実直居士なのかも知れません。
    それに、おそらく恐妻家(と、私は踏んでいます)。
    でも、いざカメラを持ったら、
    自由自在、無制限、境界突破、なんでもござれの写真家に変身します。

私は、残念ながら、そんな自在の境地になれないままに終わりそうです。

    品行方正が服を着て歩いているような人間。
    ありとあらゆる、いわゆる悪い遊びに無縁、
    一生、本の虫、美の虜、愛の奴隷、
    これじゃ、ろくな写真が撮れませんね。

そんな私が、人生のたそがれどきに出会った、
ちょっとした悪がキノプラズマート。
なかでも、私のかなりのお気に入り、

    キノプラズマート19mmf1.5

このレンズもまた、たそがれ時が似合います。

三枚とも開放です。

    かなりぼけぼけ。
    それがどうした?
    そう言いたいところですね。

    でも、たいていの方の反応は逆でしょうね?
    これがどうした?

「そ」と「こ」が違うだけで、
こんなにもニュアンスが違ってしまいますね。




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by Sha-sindbad | 2013-01-29 16:53 | KinoPlasmat3/4inchf1 | Comments(0)

586 熊さん (キノプラズマート25mmf1.5はときには面妖な絵も作ってくれる)



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キノプラズマート25mmf1.5におかしな写真を見つけました。

    熊の人形の鼻先にピントを合わせたようです。
    抱きついている柱は、早くもぼけています。
    背景となると、もう完全に幽玄世界。
    しかも、下部のフェンスのようなものと、
    遙か後方の奈良屋根の古民家らしきものとは、
    ボケ方がそっくりで、遠近感があるのかないのやら。

なんだかまともに撮れているように見えて、
なんだかまともじゃない。
とにかく楽しいレンズです。
by Sha-sindbad | 2013-01-28 22:47 | Heligon35/2.8 | Comments(0)

585 自販機 (ヘキサー75mmF3.5はどんなときでもいつもニコニコ)



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コニカのパールⅡについていたレンズが、

    ヘキサー75mmF3.5

誰もが同じ印象を抱く珍しいレンズの一つがこれですね。

    要するに、文句なしにいい。

日沖宗弘さんは、F4.5の方がもっといいと書いておられます。
私の経験では、
レンズは開放値が暗い方が常に優れた画像を提供してくれます。
しかも、日沖さんがレンズについてお書きになった言葉は、
いつもそのとおりでした。
だから、きっとF4.5の方がもっといいのでしょう。

    不幸にして、出会ったことがないので、
    私にとっては、幻のレンズ。

でも、F3.5でなんの文句もありません。
宮崎さんにライカMマウントに改造していただいて、
昨日は筆下ろしでした。
Mマウントに改造しても、やっぱり、ヘキサーでした。

    全部開放で撮りました。
    全部暗いところで撮りました。
    でも、活き活きしているじゃありませんか?

私が好きなのは1枚目。

    プッシュボタンが大口開けて笑ってるじゃありませんか?
by Sha-sindbad | 2013-01-27 15:44 | Hexar75/3.5 | Comments(6)

584 乱舞 (ゾンネタール50mmf1.1Originalが負けるものかと開き直り)

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本日、京都に持ち出したのは、

ゾンネタール50mmf1.1

つまり、オリジナルの方です。

    ソフトバージョンの衝撃的登場で、
    オリンピック100メートル競走で、
    1位をゴール1m手前で抜いたと思って、
    ゴールに飛び込んだら、3位の選手の鼻が先だった、
    なんていう気分を味わっていたに違いありません。

そこで、今日は、私も心を入れ替えて、
性根を入れて撮ってみました。

    京都の街も寒風が吹きすさんでいました。
    小枝なので、激しくばたつきましたが、
    その太い幹あたりにピントを合わせ、
    祈る気持で撮りました。

不思議なことに、
合焦してほしい個所にしっかり合焦していました。
ボケ味も問題がありません。
ソフトバージョンで、主として露出設定についてかなり勉強して、
撮り方が改善したのでしょうか?

    前後のとろけ方ではソフトバージョンが勝りますが、
    ピント精度となると、断然オリジナルが上。

その結果として、
ソフトバージョンに勝るとも劣らない、見事な画像。
そうではないでしょうか?
by Sha-sindbad | 2013-01-26 22:30 | Sonnetar50mmF1.1 | Comments(2)

583 たそがれ (ダルマック50mmF3.5でも黄昏れてみた)



25日金曜日出勤に携行したのはダルメーヤー。

    ダルマック2inchF3.5

なにやらわからないマウントのレンズをNexマウントに改造したものです。
制作年代も素性もわかりません。

ノンコーティングのペイントレンズで、
スピードアナスティグマートにとてもよく似たデザインなので、
戦前のレンズではないかと思うのですが、
定かではありません。

描写は、ご覧のとおり、開放からきわめて高精細、高コントラストで、
とても抜けがよく、生き生きとした画像が得られるレンズ。

ソニーNex5に付けると、75mm長焦点レンズとなります。
ゾンネタールソフトの開放画像が目になじんだせいでしょうか?
すべてにわたり、写りすぎる感じがしてしまいます。

    たとえば、とても利発な人物が東京弁で立て板に水と論じて、
    その場を取り仕切ったりしますと、
    なーるほどと感心することはあっても、
    なんだか辟易するところもあって、
    素直に「ほんとにそうですね」と言いがたい、
    そんなふうに、どうしようもなく感じてしまいます。

あまりにも理路整然、明晰というのは、人を説得するとき、
とくに日本の場合は、避けた方がよろしい。
つまり、理よりも情に訴えるのが得策というものですすね。
ダルマックにはそんな感触があって、ちょっと損をしている感じ。

その点、ゾンネタールは日本的なのでしょう。
そこで、そんなゾンネタールが見つけ出してくれた暮れ方の形を、
ダルマックで撮ってみました。

ゾンネタールが見せてくれるような、
心の揺らぎ、たゆたいは微塵もありませんが、感傷を排しながらも、
冬のたそがれの厳しい気配は捉えてくれた、
そんな感じがするのですが。




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by Sha-sindbad | 2013-01-25 20:59 | Dalmac50/3.5 | Comments(2)

582 たそがれの調べ (ゾンネタール50mmf1.1Softのボケは魔術的?)



親友の一人から嬉しいメール。
ゾンネタール50mmf1.1Softのことをとても高く評価してくれたのです。

    前作のオリジナルと比較して、
    今回のソフト、前後のボケが一層バランスがよくなった。

彼がそのサンプルとして挙げてくれた写真は、
№576の1枚目の物干しロープ。

    洗濯ばさみの前後のロープが均質かつなだらかにぼけている。

私は収差のことなどまるで分かりませんので
(レンズ蒐集家でも研究家でもない証拠)、
そう言われて見れば、ほんとにそうだなと感嘆。

今日帰宅途中、またそのサンプルが撮れた感じがします。
それが今回の一枚。

    まるでアンリ・ルソーの蛇使いの女の魔術的な雰囲気を
    そのまま借りてきたかのような玄妙、幻惑な気配を感じます。

私は、この写真の結果になにも寄与していません。
ただ、最短で撮っただけ。
穂の前にも後ろにもうるさいほ線が走っているので、
きっとややこしい絵柄になるだろうな、そう踏んでいたのです。
これ、F1.1の超開放描写にまだ馴染んでいない証拠。

ゾンネタール50mmf1.1Softなら、
前後の夾雑物をちゃんと処理してくれるばかりでなく、
邪魔なものをそっと真綿でくるんでくれます。

    この柔らかさ!
    この空気感!




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by Sha-Sindbad | 2013-01-24 21:33 | SonnetarS50mmF1.1 | Comments(4)

581 雨傘 (ゾンネタール50mmf1.1Softは柳生石舟齋なのか?)



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吉川英治の「宮本武蔵」は見事な語り口の講談小説ですね。
徳川夢声さんは、「宮本武蔵」のラジオ朗読で一世を風靡しました。
新潮社からその全巻がCD77枚となって発売されていますが、
なにしろお値段が22万8000円では手もお足も出ませんね。

この朗読が大成功を収めたのは、夢声さんの語り口もさることながら、
吉川英治の文章の躍動感あるリズムがこの語り口にぴったり合ったから、
そんな感じがします。

その圧巻のシーンが文字どおり幾つも続々登場します。
その一つが、柳生に居候した武蔵が壺にさした活け花を抜き出して、
その切り口を改めるシーン、これも圧巻ですね。

    石舟齋が活けたのですが、
    武蔵は、その切り口を見て、絶句してしまうのです。

        「自分はまだまだ及ばない」

    あっさりとした切り口がえも言われず見事だったからです。
    及びがたいほどに、自然な刀の冴え。
    名人、名人を知る、の一場。

ちょっと大げさでもうしわけありませんが、
ゾンネタール50mmf1.1Softで撮った、交差点の雨傘の写真に、
私はこのお話しを思い出してしまったのです。

なにも、撮影者が名人であるというのではありません。
そうではなくて、このレンズのほとんどヘアピンの合焦部とバックのボケ、
あっさりとして、構えたところがありません。
なんの変哲もない地味な交差点風景なのですが、
えもいわれぬ気品が感じられませんか?

このレンズ、ただ者ではない!
by Sha-sindbad | 2013-01-23 22:53 | SonnetarS50mmF1.1 | Comments(2)

580 葉先 (スイター25mmF1.4RXの開放も優艶、奔放で)


久しぶりに、ゾンネタール以外のレンズをご覧いただきましょう。

ケルンの映画用レンズです。

    スイター25mmF1.4RX

ミラー付きのボレックスの標準レンズとして、
ボレックスに特化して収差が補正されているそうで、
ミラーレスで使うと、過剰補正となるため、
ARレンズに比較すると、周辺がかなり流れるのだそうです。

すでにマクロスイター26mmF1.1というカリスマレンズを入手しているので、
手に入れるつもりはありませんでした。
昨年11月以来、購入レンズはゼロ。
このまま当分の間はレンズの調達は休止するつもりだったのです。

ところが、妻からヤフーオークションで手に入れてほしいものがある、
と頼まれたのは悪魔のささやきだったのでしょうか?

Cマウントレンズで検索をしてみて、
運良く、というか、運悪く、というか、
このレンズがひっかかった、というか、
このレンズにひっかかってしまったのです。

通常2万数千円から3万円を超える市場価格のこのレンズが、
現在、たったの10,200円。
終了時間もたったの数時間後。
もしかすると、かなりの低価格で落札できるかもしれない。

にわかに、据え膳食わぬは何とやら、メラメラと燃え上がり、
最後に、競って、めでたく落札できてしまいました。

    落札価格は15,000円。

私が保有しているCマウントアダプタでは、
完全にねじ込めないため、フランジバックが長くなってしまい、
2mあたりまでしか撮れません。
その代わり、最短撮影距離が短くなり、かなりマクロ的。
私の撮りたい写真の60パーセントは撮れますので、
当分はこれで使います。

今日は雨後曇り、かなり暗い一日でした。
おかげで、楽々と開放専科。

    なんと、ゾンネタール50mmF1.1よりもフレアが顕著。
    ぼけ具合もかなり激しい。
    色は、ケルンらしく、とても優艶。
    マクロスイター26mmよりもかなり濃厚で、奔放という感じが強まります。

つまり、このレンズもしっかりと個性、持ち味を出してくれます。


落札してよかった。




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[後書き]
            1枚目、右側の輝点はマクロスイター50mmF1.8とは、
            レンズの素性がまるで違うようです。
            とてもしっとり。
by Sha-sindbad | 2013-01-22 22:21 | Switar25/1.4RX | Comments(2)