レンズ千夜一夜

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317 陶人形 (ウルトロン50㎜F2はかなり線の太いレンズらしい)



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フォクトレンダーのプロミネントⅡ

金属の固まりのような、重いカメラです。
巻き上げは重いうえに、2回巻き上げ。
たいていのカメラは右手で右肩を持ち、
右人差し指をシャッターに置き、
左手はレンズ鏡胴を巻いて、
カメラを支えながら、ヘリコイドを回します。

ところが、プロミネントは、
レンズ鏡胴にフォーカシングリングを探しても無駄。
なんと左肩ノブがそれなのです。

おかげで、両手の平でカメラを支えつつ、
両手人差し指、親指をカメラの両肩にかけて、
操作しなければなりません。
このあたりの操作に慣れれば問題はないのですが、
その姿はややダサイ感じがしてなりません。

メカニズム、構造上の必要からそうなったのかも知れませんが、
そのファサードのデザインはベッサにそっくり。
つまり、シンプルに左右対称形を狙っている感じ。
もしかすると、デザイン先行型かも知れません。

でも、使いやすいのは大窓のファインダー。
等倍です。
基線長は大変に短いのですが、
明るいので、ピント合わせがかなりしやすい。

でも、まだこれで撮ったことがありません。
久しぶりにノクトンを付けてみました。
これはこれで見事なカメラ!

巻き上げレバーがワンタッチで立ち上がったり、
ワンタッチで裏蓋が開いたり、
カラー、モノクロ、フィルムの違いを表示したり、と
いろいろ面白い工夫もあります。
重いけど、使ってみたくなりました。

今回は、ライカM9にアダプタでセットした、

    ウルトロン50㎜F2。

以前、ビテッサ付きウルトロンを使っていましたが、
あたたかく、ほんわかとして、線が太い、
だけど、ピントはきちんと合っているあたり、
開放描写はかなり似ています。

これもまた、独特の個性に満ちた標準レンズなのです。
by Sha-sindbad | 2012-04-30 22:43 | Ultron50/2 | Comments(3)

316 白自転車 (ズミルックス35mmF1.4はライカファン垂涎の1本にふさわしかった)



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今回の一枚、天王寺駅北側の古い商店街で撮りました。

    ズミルックス35mmF1.4の開放

白ペンキの自転車にアーケードのガラス天上から淡い光が降り注いでいます。

ズミルックスの開放は、こんな場合、制御不能なほど暴れる、
そう聞いてきました。
どこが暴れてる?
ハンドルの先にほんのりフレア。
とてもおしとやか。

Cマウントレンズのじゃじゃ馬ならしに明け暮れるこの頃です。
ライカお屋敷町の富豪宅の不良少女なんて、
Cマウント横丁に行けば、まるで深窓の乙女ではありませんか?

さて、私の人生、自慢できることなどあまりないので、
自慢できることがあると、かかさずブログに記録しています。
いつか読み返すことがあれば、ニタリとできるように。

fwkp6043さんの「龍人日記(2)」
(http://fwkp6043.exblog.jp/)

とてもマイルドな文章、
そんな人にふさわしい穏やかでキラリと光る写真、
そうです、
私とは対蹠的な御仁であり、写真であります。
私にはとても真似のできない境地だからでしょうか、
とても惹かれます。

4月23日投稿の「大沢池に散歩」はとくに素敵でした。
3枚の内、2枚は見た瞬間に「キノプラズマート!」
もちろんタグに使用レンズ名として挙がっているので、
そう分かったからと言って、自慢話にはなりません。

そうではなくて、1枚目の写真が問題。
どう見ても、キノプラズマートではない感じなのです。
中央の合焦部分の味わいも違うし、
周辺のぼけ具合もなんだか違う。

だから、こうコメントさせていただきました、

    「2, 3 枚目を見たら、あ、これはキノプラズマートだな、
     そんな風に思うほど、私もキノプラズマートにのめりこんでいます。
     早朝のすがすがしい空気がそのまま写っている感じ。
     さすがに、素敵な描写ですね。」

fwkp6043さんのお答え、

    「ああ、そうなんです。1枚目は、テーラーホブソンでした。
     この後、キノさんに、変えたのでした。」

とても嬉しい言葉でした。
でも、本当は喜んでばかりはおられないのです。
fwkp6043さんのキノプラズマート2枚、
朝の清々しい空気感が一杯に漲る傑作。
私は、キノプラズマートでこんな美しい写真を撮ったことがない!

    でも、これは実力の差なんだから、あきらめましょ。
by Sha-sindbad | 2012-04-29 17:26 | Summilux35/1.4 | Comments(3)

315 古い家 (ホロゴン15mmF8はいつでもぼくの究極レンズ)



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今まだ昨年十月のフィルムをスキャンしています。

鶴橋で撮った一枚にぐっと来ました。
ほかのどんなレンズでも、こんなシーンは撮れません。
少なくとも私には。

ホロゴンを縦にして、ひょいと撮っただけで、
こんな写真をプレゼントしてくれるのです。

もちろんノートリミングの大原則は厳守しています。
白枠分だけトリミングする結果になります。
でも、それでぴたりとバケツが収まってくれるのですから、
ホロゴン様々。

ホロゴンを正確にフレーミングするなんて、論外。
ファインダーはただの目安。
だから、こんな風にギリギリに撮れるのは、
本当に、ただの偶然なのですが、
この古色と立体感は偶然ではありません。
ホロゴンという稀代のレンズの持ち味。
by Sha-sindbad | 2012-04-28 22:09 | Hologon15/8 | Comments(2)

314  剣の葉  (トリプルアナスティグマート25mmf2.9は英国紳士らしく)



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ダルメイヤーはスピード・アナスティグマート族も凄いのですが、
トリプルアナスティグマート族も魅力的ですね。

私はまだ、15㎜と25㎜の2本しかもっていませんが、
どちらも極上。

火曜日はスピード・アナスティグマートに魅せられたので、
今日の出勤にはトリプルアナスティグマート25mmf2.9を持ち出しました。

前にも書きましたが、絞りバネがきれいさっぱりと消えて、
開放専科のレンズ。
フォーカシングリングはもともとないので、
Cマウントアダプタのスクリューに粘りけの強いグリス、
これで堂々フォーカシングリングの代用ができます。
シンプルにして十分な機能のシックなレンズ。

ソニーNEX-5Aの感度を最低の200にしていますが、
今日は初夏のようなきつい日差しの1日、
とても間に合いません。

それでも、開放のF値が2.9と暗い上、
ソニーNEX-5Aの最高速4000分の1なので、
かなり撮れます。

そんな一枚。

午後5時過ぎの暮れ方の斜光線を受けて、
浮かび上がりました。
きっと3枚玉なのでしょうね。
実に廉直率直剛直に撮ってくれます。
by Sha-sindbad | 2012-04-27 21:39 | Tri.Anasti25/2.9 | Comments(0)

313 華 (スピードアナスティグマート20mmF1.5はベストかも知れない)

もう打ち止めにしたはずなのに、
一本、我慢ができずに落札してしまいました。
やっぱりダルメイヤー。

    スピードアナスチグマート20mmF1.5

15mmと25mmのちょうど真ん中。
すてきなスピードアナスチグマートが2本もあるのだから、
もう良いというべきでした。

でも、次の3点を考えて、決断しました。

    1 レンズ正面に美しい飾り文字でDALLMEYER LONDONという白抜きの印字。
     こんな古風でシックなデザインはとても見逃せません。
    2 とても安い。
    3 すでに所有している2本はまるで別の描写をします。
     とすると、20mmも独自の描写をするかもしれない。

昨日、初撮り。
たった72枚撮って、結論するのは乱暴ですが、

    15mmと25mm、この2本とはまるで違う!

    中央部分は、15㎜に似て、とてもシャープ。
    周辺部分は、25㎜よりもはるかにしっかり。
    そして、その描写がとても美しい!

もしかすると、この2本よりも優れている?
少なくとも、私の心にはぴたりとかなうようです。

絞りリングは軽からず重からず、見事な動き。
でも、フォーカシングリングが重すぎます。
マツモトカメラにオーバーホールをお願いすることになりそうです。

25㎜の周辺ボケは四方に流れる感じで、
かなり始末に負えないところがありますが、

20㎜は、ぼけの流れ方、出方がキノプラズマート風。つまり、
回ることもあれば、回らないこともある。

20mmF1.5はスピードアナスティグマートのベストかも知れない、
そんな気がしてきました。
最短がとても短く、こんな写真が撮れます。



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by Sha-sindbad | 2012-04-26 11:03 | Sp.Anastigmat20/1.5 | Comments(2)

312  ショッピング (オリオン15-28mmF6はたそがれ時が似合うかも知れない)



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冬空を彩る星座の中で、オリオンは異彩を放っています。

なにしろベテルギウス、リゲル、2つの一等星を上下に頂いて、
その形は、天空指して駆け上るようで、どんな星座よりも雄渾。

これに対して、オリオン15-28mmF6はとても軽いレンズです。

    レンズ外枠がフォーカシングリングなので、
    レンズを握れば、ただちに臨戦態勢。
    絞りはレンズ枠の内側に埋まっているので、
    やたら勝手に動かない。

開放値がF6と暗いので、最初からパンフォーカス一点張り。

    迷いがありません。

私のレンズには、3mに赤丸を貼っています。
F8にして、赤丸に合わせると、約1.7mから無限大まで合います。
2mあたりがねらい目になります。
この写真もそんな風にして、ノーファインダーで撮りました。

トポゴンのコピーだそうですが、
レンズの形は似ていても、かなり分厚いレンズのセット。
そのせいではないでしょうけど、
描写もトポゴンよりやや地味で、ややぼってりしています。
でも、文句なし。
そして、使い疲れがないのが何より。
by Sha-sindbad | 2012-04-25 01:02 | Orion28/6 | Comments(0)

311  石仏 (キノプラズマート25mmf1.5bは光りの効果を増幅するらしい)



キノプラズマート25mmf1.5b付きリコーGXR/A12

とても可愛いセットです。

宮崎さんは、円錐を中間でカットした、
いわば火山のような形のヘリコイドリングに、
絞りリング付きのキノプラズマートレンズを埋め込みました。
新旧のドッキングですが、マッチングは悪くありません。
黒づくめの円錐ピラミッドという風情。

西大寺の裏門近くの石仏群を撮りました。
午後3時に、近くの場所に行かなければなりません。
すでに残り時間は10分少々、5分の道のり。
十数体の居並ぶ石仏群の前をすっと通って、
十枚ほど撮りました。

その一枚をごらん頂きましょう。
人間でも石仏でも同じですが、
横顔がよいと、正面もよい。
あたりまえですね。
とりわけ真摯な祈りの表情が美しい。



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by Sha-sindbad | 2012-04-24 00:36 | Kinoplasmat25/1.5b | Comments(0)

310  へんげ (スピード・アナスティグマート25mmF1.5はコントロール不能のじゃじゃ馬で)



ダルメイヤーのスピード・アナスティグマート25mmF1.5

キノプラズマート25mmf1.5とはレンズ設計が同じなのだそうです。
レンズって、設計が同じでも、描写が同じにはならない。
その証明がこの2本ですね。

    まるで違います。

と言っても、私はレンズのことなど、まるで無知なので、
ただの印象。

    キノプラズマートはきりりと引き締まり、清澄、鋭利の名刀。
    空気感で言えば、澄み切った冬の朝。

    スピード・アナスティグマートはぼってりとふくらみ、
    暖色系で鷹揚、悠然たる物腰。
    鈍刀に見えますが、実はしっかりと切れます。
    空気感で言えば、春のあけぼの。

どちらが好きか?
こう尋ねられると、即座にしっぺ返し、

    「答えられない質問をするんじゃないですよ」

キノプラズマートはコントロール不能のお嬢さま。
スピード・アナスティグマートはコントロール不能のじゃじゃ馬。
いずれにせよ、好きなようにさせるほかはありません。

ここで、声あり、

    「コントロール可能な女性って、どうですか?」

おっしゃる意味、よくわかります。
私の知る限り、コントロール可能な女性って、見あたりませんね。

    それに、コントロール不能だから、尽きない魅力に溢れる、
    それが女性であり、
    それがレンズ。



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by Sha-sindbad | 2012-04-23 01:02 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(2)

309  花生け (パンタッカー50mmF2.3はどんなものも幽玄に)



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人間がすることって、およそどんなことにも、
遺伝子のあるなしにかかわらず、
必ず才能のある人、ない人がいるものです。
なぜか生まれつきで決まっているらしい。
不思議です。

努力である程度カバーできますが、
カバーできるところは知れたところまで。

写真にもこれが100%あてはまります。
30数年写真を懸命にやってきて、
いやというほど、思い知りました。
目も醒めるような見事な写真を撮る人がおいでになります。
私にはそんな才能はまるでありません。

ところが、捨てる神あれば拾う神あり、ですね。
私は、すぐれた写真を撮る才能は授かりませんでしたが、
かなり昔に、気がつきました、
どうやら私には別の才能ならあるようだ。
それは、

    レンズを使う才能。

自分の感性、センスで写真を撮るのではなく、
レンズにそれらしい写真を撮ってもらう才能。

写真的見地に立てば、これは、

    イミテーション。
    代用。
    肩代わり。

でも、それらしい写真が撮れます。
パンタッカー50mmF2.3は凄いレンズです。

    周辺がけられるので、視線はぐっと中央に集まります。
    「これを見ろ!」と言わんばかり。
    -2に露出を補正しているので、画面はぐっと暗くなし、
    中央部分が堂々たる彫琢感をもってせり出してきます、
    「私が主人公だ!」

この程度の写真を撮るのに、
写真の才能などいらないことは明らかですね。
20年ばかり前から一度も、
自分の撮った写真を「作品」と言ったことがありません。
全部レンズに撮ってもらって、
「私が撮りました」とは、人のなんとかで相撲、の類。
by Sha-sindbad | 2012-04-22 15:22 | Pan.Tachar50/2.3 | Comments(0)

308 春雨3 (Som BerthiotのTele.Objectif75mmF2.3だって春雨を撮れる)



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一昨日、春の嵐に持ち出したレンズがもう一本あります。

    Som BerthiotのTele.Objectif75mmF2.3

ソニーNEX-5Aに付けて、
112.5㎜として、4枚撮りました。

その開放の一枚を掲載しておきましょう。

アンジェニュー、ダルメイヤーとはまた一味違うと思いませんか?
主人公を際立たせるという点では一歩抜きんでています。
そして、雰囲気描写の点でも、一歩もひけをとりませんね。

これほどにすり切れるほどに使われたのも、
それなのに、レンズだけはキラキラと輝いているのも、
このレンズが大切に使い込まれたことを物語っているようです。

私も使い込んであげなくちゃ。
by Sha-Sindbad | 2012-04-21 22:20 | Tele.Objectif75/2.3 | Comments(0)