レンズ千夜一夜

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255 疾走 (ズマロン28mmF5.6はライツの赤備えだった)



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ライカの戦前から戦後にかけての広角シフトは、
ちょっと貧弱で、次のようなものでした。

    1930年 エルマー35mmf3.5(16年)
    1935年 ヘクトール28mmf6.3(20年)
    1946年 ズマロン35mmf3.5(12年)
    1955年 ズマロン28mmf5.6(10年)
    1958年 スーパーアンギュロン21mmf4(5年)、ズミクロン35mmf2(11年)
    1965年 エルマリート28mmf2.8第一世代(7年)

括弧内は、一応、その後継と思われるレンズ登場までの期間。
だんだんと短くなっていますが、それでも、
世代交代は、今と比べると、悠久のときを経て行われていたのです。あ
しかも、当初は、実に長い間、エルマーとヘクトールだけで、
ライカの広角を支えていたのです。
それだけ、設計、制作が難しかったのでしょうか?
それとも、ニーズがなかったのでしょうか?

20年間、バルナックライカの超広角の一枚岩だったのが、

    ヘクトール28mmf6.3。

そのF値が暗いというので、作られたのが、

    ズマロン28mmF5.6。

とても小さなレンズなのに、高級感溢れるたたずまい。
赤ズマロンとあだ名された、愛すべきレンズ。
でも、たった半段明るくなっただけ。
牛歩もいいところです。

「もっと光りを」なんて、ゲーテ流に、
明るさを切望していたユーザーたちには不満だったかも知れませんね。

数年前、満を持して、ズマロン28mmF5.6を手に入れました。
まるで新品同様にピカピカでした。
f値が暗いだけで、その描写は、エルマリートに負けていません。
でも、とても瀟洒で柔和な描写。

ライカ社のその後のレンズポリシーが柔和な質感重視を捨てて、
いつしか、切れ味第1にシフトしていったように感じます。
おそらくツァイスとの、そして日本メーカーとの対抗上ではないでしょうか?

レンズメーカーの戦争がなければ、もっと長い間、
素敵な写真をユーザーに与え続けたのではないでしょうか?
近ごろのレンズ、日本製とほとんど区別がつかない感じがしますが、
気のせいでしょうか?
by Sha-sindbad | 2012-02-29 17:55 | Summaron28/5.6 | Comments(2)

254 疾走 (スーパーアンギュロン21mmf4なら、たやすく辻斬りに変身)



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また辻斬りをやっちゃいました。

    スーパーアンギュロン21mmf4

前方から美しい女性が自転車でやってきたのです。
新潟のスナップ名人たち、yoshiさんやa1photoさんなら、
真っ正面から、一閃、袈裟懸けのシーン。

yoshiさんが最近もやってましたね。
「新潟は雪国 01」
(http://yoshipass.exblog.jp/)

8枚組の3枚目。

    信じがたいほどスマートな長身野郎。
    (自分の足と比べて、はげしく妬いていますね)
    怖れることを知らないyoshiさんは、ためらいを見せず、
    一刀両断!

私は、ちらりと発見したら、素知らぬ振りで前進。
すれ違った瞬間にくるりと反転して、一枚。

リコーGXR/A12に付けて、実効31.5㎜ですが、
f8に絞っているので、0.7mから無限遠までオーケー。

同じスーパーアンギュロンでも、
1世代前の平凡なf4をもつと、これが精一杯。

カリスマ的超名レンズのf3.4をもつと、
yoshiさんご自身、カリスマになって、
怖いものなし!
by Sha-sindbad | 2012-02-28 15:48 | SuperAngulon21/4 | Comments(4)

253 ショーウィンドウ (アンジェニュー25mmF0.95は夢幻への扉)



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ピエール・アンジェニューは、映画用レンズの貢献を讃えられて、
1989年、アカデミー特別賞を受賞しました。
私も偶然、その受賞シーンを見ることができました。
堂々たる風格の人物でした。

その貢献のメインは、どうやら各種のズームレンズにあったようです。
このアンジェニュー25mmF0.95がどのように使われたのか、
まるで情報がありませんが、
その開放での確かな描写力、シャープネス、
絞り込んだときの見事な映像を見る限り、
このレンズもかなり多目的に活用されたに違いありません。

キノプラズマート系とはまったくコンセプトが違います。
開放でも、周辺までけっして崩れません。
f0.95なのに、しっかりと合焦し、ボケ味は絶妙。

   真摯、真面目、正確、
   それなのに、夢幻を表現できる、
   稀有のレンズ!
by Sha-sindbad | 2012-02-27 22:42 | Anjenieux25/0.95 | Comments(4)

252 相思相愛 (キノプラズマート25mmf1.5bは愛情溢れるレンズ)


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多くの写真家にとって、レンズは、
自己の意図を正確に写真化してくれる道具なのでしょう。
それが本来のレンズの役割。

でも、私は写真家ではありません。
ものや場所との出会いを、正確な客観表現としてではなく、
出会いの喜びをレンズ独自の彩りで勝手に脚色してほしい。

そんな人間にとって、変化(ヘンゲ)を身上とするレンズが命。
キノプラズマートは、ホロゴンとは別の意味で、
メタモルフォーゼの権化のようなレンズ。

こんなレンズは、自分の思ったように撮らそうと思っても無駄。
まさにじゃじゃ馬の美女。
かってにやりたいようにさせるのが一番。
そうすると、こんな写真を撮ってくれます。
by Sha-sindbad | 2012-02-26 22:13 | Kinoplasmat25/1.5b | Comments(0)

251 飛びこみ乗車 (スピード・アナスティグマート25mmF1.5は失敗作でも絶品)



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バスに乗ると、いつも最前列左の席に座ります。
そして、ときどき写真を撮ります。

昨日も、スピード・アナスティグマート25mmF1.5で、
人影のないバス停のベンチを撮ろうとしました。

   ベンチに焦点を合わせて、シャッターを切ろうとした瞬間、
   若い女性が画面に飛び込んできました。
   このバスの前扉から乗ろうと突進してきたのです。
   そのまま、シャッターを押し込みました。
   それがこの写真。

ただの偶然だし、ピントもあっていないけれど、
あたたかい風合いと、スピード感があって、
真剣な表情、必死の右手も楽しい。
気に入りました。

現代のデジタルレンズだったら、
瞬時にフォーカスして、ビンビンにシャープに撮れるでしょう。
その点、クラシックレンズはまるで不器用ですね。
でも、私にはこちらの方がいい。
by Sha-sindbad | 2012-02-25 22:27 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(2)

250 冬枯れてなお (スピード・アナスティグマート25mmF1.5はやっぱり絶品)



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いつも気にかかっているのが、

    キノプラズマートとスピード・アナスティグマート。

なぜか?

    ダイナミックだから。

おそらく中央部分だけを使った16㎜映画では、
潤いに満ちた鮮麗な画像なのでしょう。
APS-Cサイズでイメージサークル一杯に撮りますと、
16㎜では計算に入れていなかった周辺部が乱入して、
中央の合焦部分と周辺の収差部分との落差が極限となり、
まさに天国と地獄が共存するかのようになります。

美女で言えば、カルメンのような存在。
紅蓮の炎を吹き上げて猛り狂ったかと思えば、
天女のようにしとやかにあでやかに振る舞える。

フォルテッシモあればこそ、ピアニッシモが輝き、
ピアニッシモあればこそ、フォルテッシモが破壊力を発揮する。
このダイナミックレンジにこそ魅力があります。

うちの末娘(猫ですが)の静がそうですね。

    抱っこすると、あどけなく、おさないぬいぐるみになり、
    魅力的な男性(人間)が来ると、突如、淑女に変身。
    かと思えば、お兄ちゃんのグリにパッカーンとアッパーカット。
    このレンジの広さが、お兄ちゃんのグリにはたまらない魅力。

キノプラズマートとスピード・アナスティグマート、
この2本がまさにそれなのです。

スピード・アナスティグマートで撮ったものを、
№243の宮崎さんのゾンネタール25mmf1.1と比べると、
唖然とするほど違います。

スピード・アナスティグマートは中央のほんの一部しか
合焦していません。

    この2本の銘玉をこんな風に対比できるなんて!
by Sha-sindbad | 2012-02-24 21:42 | Sp.Anastigmat25/1.5 | Comments(0)

249 美少女 (シネクセノン50mmf2はヒロイン向きだったのかな?)



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私のようにメロドラマが好きな人間にとって、
映画でもドラマでも、ヒロインが美しく写し出される瞬間、
これを楽しめることが、醍醐味。

ファウスト博士ではありませんが、
「美しい、あまりにも美しい!
時間よ、止まれ!」
そう言いたくなる瞬間です。

    「カサブランカ」では、イングリット・バーグマンが、
    「ローマの休日」では、オードリー・ヘプバーンが、
    「美しい日々」では、チェ・ジウが、
    それぞれに絶世の美貌をシネレンズが見事にとらえました。

シネクセノン50mmf2もそんな風に使われたのでしょうか?

    私の書斎にいつものように邪魔しにあらわれた美少女を、
    手近にあったライカM9に付けたシネクセノン50mmf2がキャッチ。

フィルムスキャン中のフィルムの上、
文章入力中のキーボードの上、
シネマディスプレイの前、これを真剣に眺める私の真っ正面、
このあたりが彼女の大好きな場所。
わざと邪魔をするのです。
これ小悪魔的美少女の典型的な振る舞い。

邪魔なので、抱き上げますと、
もうこの世にないほどにやわやわ。
かすかなかすかな「グルグルルルルルー」

人間の美少女も抱き上げると、こんな感じなのでしょうか?
経験者に聞いてみたいですね。

おっと、主題から外れました。

シネクセノン50mmf2のボケ味はどうなのでしょうね?
二線ボケでもなさそうですが、
さりとて、マクロスイターのような夢幻ボケでもない。

クセノンというレンズの毅然とした性格上、
むしろ男性主人公のクローズアップ向きかも知れませんね。


[後書き]
それにしても、雑然とした卓上ですね。
整理整頓の才能零の私にとって、ビューローは最適。
投影スクリーンに韓流ドラマを投射するために、
毎夜、卓板を跳ね上げます。
ですから、卓上だけはいつも自動的に整頓されるのですから。
幅160、高さ120の巨大ビューローを木工師に特注しました。
私の宝の1つ。
by Sha-sindbad | 2012-02-23 11:43 | CineXenon50/2 | Comments(2)

248 小パノラマ (キノプラズマート15mmf1.5は小宇宙なのか?)



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キノプラズマートというレンズ、
すでにカリスマ的なオーラに包まれてしまい、
銀塩フィルム用のキノプラズマートと来たら、
まるで見つからないし、見つかったとしても天文学的なお値段。
完全に雲の上の存在と化してしまいました。

同じキノプラズマートの名前を冠していても、
シネレンズたちは別格といいたい処ですが、

    完全に格下。

だから、まだまだ廉価で手に入ります。

銀塩用のキノプラズマートはきっと写りも別格なのでしょう。
もうこうなると、想像の世界。

シネレンズのキノプラズマートはそのミニチュアなのでしょう。
でも、これがそれぞれに個性一杯に暴れてくれます。

おそらくCマウントレンズとしては一番広角なのが、

    キノプラズマート15mmf1.5

その開放の描写です。
不思議に、まるで周辺が暴れません。
それも実は不思議ではないようで、
暴れ者たちは四隅の暗がりに深く沈んでいるのでしょう。
by Sha-sindbad | 2012-02-22 22:44 | KinoPlasmat15mmf1.5 | Comments(0)

246 網 (ペラール28mmf4はさらりと自然に撮ってくれる)



職場でちょっと時間が空きましたので、
ブログを数カ所巡回しました。

中将姫光学さんのブログを開いて、ちょっと心が躍りました。

    「新鏡頭上市了」
         (http://zunow.blog51.fc2.com/)

とてもとても自然な、柔和な、平安な開放描写。
これはかなりクラシックの銘玉だろう、そう踏んで、
本文を読んで、今度はびっくり。

    なんと宮崎さんのニューレンズ、
    ペラール28mmf4だった!

中将姫光学さんが、Sha-sindbadのライカM9写真を見たい、
そうお書きになっていましたので、先ほど帰宅して、
早速、先週土曜日、京都西陣界隈での写真を開きました。

2枚、これはと思う写真を選んでみました。

    ライカM9の設定は、
        シャープネス オフ
        彩度 標準
        コントラスト 標準

2枚とも、私特有の暗めの露出のせいか、
周辺減光が見られますが、
落ち着きのある、てらいのない描写ではないでしょうか?



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by Sha-sindbad | 2012-02-21 18:38 | Perar28/4 | Comments(0)

245 大樹 (ゾンネタール25mmf1.1はどっしりとした存在感だって表現できる)


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このレンズ、絞りはf8どまり。
宮崎さんのお話では、
製品化するときはf16まで絞るようにする、
最小絞りまできれいな円を描きます、とのこと。

実用的には、f8では足りないときがありますので、
それが望ましいのですが、
写真的には、画像が劣化しないf8にとどめたいところですね。

そのf8の絞りの描写をご覧ください。

まるで硬くありません。
余裕のある感じ。
これはかなり凄い描写ではありませんか?

    開いて、良し!
    絞って、良し!

このレンズ、ますます気に入りました。


     [後書き]
        これから、別ブログ「わが友ホロゴン」に、
        ゾンネタール25mmf1.1の作例30点を一挙掲載する作業にかかります。
        そちらの方もご覧ください。
        かなり驚かれるはず。
by Sha-sindbad | 2012-02-20 17:17 | Sonnetar25/1.1 | Comments(3)