レンズ千夜一夜

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162  観音 (エクター35mmf3.3はエクトラのやんごとなき末裔なのだ)


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№117でも、このレンズを採り上げ、こう書きました、

    「開放から雄渾」

コダックは、エクターというレンズ名を自由に使ったようです。
コダックの主力レンズなのだよという記号なのかも知れません。

私がこれまでに使ったエクターは数種類ありますが、
共通して言えることがあります。

    明るく元気よく、画面から飛び出してくる!

製造国のお国柄がはっきりとレンズに出るなんて、
そんなバカな、と言いたいところですが、
ドイツ、イギリス、フランス、アメリカ、日本、
各国のレンズを使ってみると、なぜかそう感じますね。

このエクター35mmf3.3は、こうして見ると、
ヤンキー丸出しと言いたくなるほど、アメリカ的。

その上に、このレンズは特別の存在なのです。

    レンジファインダーカメラの極点、
    幻のエクトラの交換レンズとして、
    まさに家門の誉れを背負って生きる、
    御曹司の風格。

開放描写の確かさには、ある種の誇りが感じられるのですが.......
by Sha-sindbad | 2011-11-29 21:44 | Ektar35/3.3 | Comments(5)

161  活け花 (オリオン15-28mmF6はなんだか分からないけど名玉)



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35㎜判の28㎜レンズには名レンズが揃っています。

    各世代のエルマリート28mmF2.8
    ズマロン28mmF5.6
    アンジェニュー28㎜f2.5
    WニッコールC28㎜F3.5
    ミノルタの各種ロッコール28㎜
    コンタックスの各種ディスタゴン28㎜
    もちろんGR28㎜も。
    まだ見ぬ名レンズとしては、Som BerthiotのAngulor。
    
でも、オリオン15-28mmF6を上記の名玉たちと同格と見る人、
いるでしょうか?

でも、使ってみると、そして今回の写真を見ていますと、
なんだか分からないけど、
そうなんじゃないかな、という気がしてきます。
by Sha-sindbad | 2011-11-28 23:02 | Orion28/6 | Comments(0)

160  ブランコ (ビオゴン35mmF2.8はいかにもツァイスの名玉)



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ビオゴンという名前は、一種のカリスマ性を帯びている、
そんな風に感じるのは、私だけでしょうか?

そんなメッセージの発信源は、もちろん、
ハッセルブラッドSWCに付いた38㎜と、
レンジファインダー・コンタックスの名玉21㎜のおかげでしょう。

でも、このオールドコンタックスには、35㎜が、
戦前、戦後に2バージョンも供給されました。
1機種のカメラに同一レンズを独立に2度出した例を、
あなたはご存知ですか?
あまりないことですね。
それだけツァイスが力を入れたレンズ、ということでしょうか?

このレンズだって、カリスマ性に欠けるものではありません。
戦前の35㎜の方が優れているという意見が優勢のようです。
残念ながら、戦前ビオゴンはレアで高価なので、
これにお目にかかることはなさそう。

開放以外は、カミソリのような鋭利な写りです。
今日はお天気がよくて、開放はほんの数回。
あとは、f4からf8の間で撮っていました。
ご覧の作例はf8。
やっぱりカミソリ描写。

これがビオゴン35mmF2.8の特質なのだ、
そう納得することにしました。
使わないでおくには、あまりにも惜しいレンズなのですから。
by Sha-sindbad | 2011-11-27 23:49 | Biogon35/2.8 | Comments(2)

159  ハノイの少女 (ホロゴン15ミリF8は夜店の光でも撮れるのだ)



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ハノイついでに、
ホロゴンついでに、
もう一枚、写真を続けさせていただきます。

ハノイの旧市街の路傍のおもちゃ屋。
まだ小学校高学年らしい少女が店番。

通りかかり、少女の伸ばした足先をほとんどまたぎながら、
少女の長く伸びた身体に平行にホロゴンウルトラワイドを傾け、
一枚頂きました。

少女は作業に夢中で、私には気づかず。
こんなとき、カメラをアイレベルに持ち上げる動作をすると、
気づかれるかも知れません。
ただ、カメラを手に立ち止まったという、
さりげない風情が大切のようです。

すでに日はとっぷり暮れて、夜店の照明だけが頼り。
ホロゴンウルトラワイドには露出計がないので、
こんな暗いときは、露出を考えたりしません。
自分の使える手持ちシャッター速度の下限で撮ります。
私の下限は8分の1。
このときは、そこまで暗くはないので、15分の1秒。
一応止まってくれた感じがします。

そして、2枚は撮らない、これも肝心ですね。
もう1枚撮ろうとすると、気づかれてしまい、
自然な動作は瞬時に壊れてしまいます。
そうなれば、撮っても仕方がないですね。

それにしても、少女の伸びやかなこと!
by Sha-sindbad | 2011-11-26 18:16 | Hologon15/8 | Comments(7)

158  朝市 (ホロゴン15ミリF8は死ぬまでレンズなのだ!)



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It's my Destiny.

人生には、そうつぶやきたくなる瞬間があるものです。
私の人生にも、これまで少なくとも2度ありました。

1度目はここでは書きませんが、
2度目は大阪のクラシックカメラ店の老舗、
カメラのマツバラ光機で起こりました。

ショーウィンドウに鎮座していたカメラを見た途端、
分かりました、

    「このカメラ、ぼくを待っていた!」

そのカメラこそ、

    ホロゴンウルトラワイド

何故、そう思ったのか?
韓流ドラマでよく出るセリフがあてはまります。

    「なぜ、彼を愛したの?」
    「理由なんて、ないわ」

それがfalling in loveであり、私に起こったのもそれでした。

あなたは、どんな人を、どんなものを愛しますか?

    いつまでも飽きないばかりでなく、
    いつまでも、思いもかけない新たな面を見せてくれて、
    いつまでも、わくわくとさせてくれる、そんな存在、
    そうではありませんか?

    それが、生涯の伴侶ですね。

私にとっては、このカメラも生涯の伴侶となりました。

    このカメラについているホロゴン15ミリF8こそ、

        「死ぬまでレンズ」!
by Sha-sindbad | 2011-11-25 20:17 | Hologon15/8 | Comments(6)

157 自転車 (スーパーワイドヘリアー15mmf4.5はソニーNEX-5A用超広角)



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コンタックスG用のホロゴン16ミリF8は、
超広角レンズ、ホロゴンに対する関心を一挙に高めた感じがします。

私も使ってみましたが
現代レンズらしく、鮮鋭で、強烈にシャープなレンズでした。
Gホロゴンは、カリスマレンズとして人気を高め、
ライカマウントへの改造が可能なおかげで、
今でも中古市場では高値を呼んでいるようです。

この流れを巧く利用したのがコシナ。

スーパーワイドヘリアー15mmf4.5を発売して、
一度超広角15㎜を使ってみたかったユーザーの心をつかみました。
こちらは廉価、中古になるとさらに廉価です。
私も一番安値のレンズを手に入れました。

使えます。

ソニーNEX-5Aに付けると、22.5㎜の超広角。
どんよりと雨雲が垂れ、小雨まじりの暗い1日でした。
そのまま撮ると、パキパキの鮮鋭極まりない現代描写。
Cマウントレンズたちとまるでかみ合いません。
トイカメラ(私が現代レンズ用に使う唯一のフィルター)に設定。
露出は-2に補正して、距離を1メートルに固定します。
ホロゴン風の周辺減光で、使い物になります。

いかがでしょうか?
by Sha-sindbad | 2011-11-24 15:06 | S.W.Heliar15/4.5 | Comments(6)

156 紅葉 (ワイドアングルスピード・アナスティグマート15mmF1.5はシックなレンズ)



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今日、天王寺から堺市まで通じる阪堺線にしばらく乗りました。
オリンパスE-PL1にスピード・アナスティグマート25mmF1.5を付けて、
首からぶら下げて、つり革につかまっていました。
完全に見せびらかしの構図ですが、
いつどんなものが撮りたくなるか、予測がつかないので、
臨戦態勢を布いていたのです。

前に座った年輩のカップルがぶつぶつつぶやいています。

「これ、銀塩かな、デジタルかな。
かっこいいじゃないか!」

思わず、私も応じてしまいました、
「デジタルカメラですよ。
オリンパスです」

「ああ、今問題になっている、あの......」
「そう、あのオリンパスです」

「でも、絞りが見えたんですが......」
よいところに気づいていただきました、
「レンズは16㎜映画用レンズなんですよ」
と、まあ、天王寺終点まで話が弾みました。

そこで、スピード・アナスティグマートの作例と来るのが自然ですが、
不自然なのがとっても好きな人間です、
ここは、その弟分のワイドアングル君に登場してもらいましょう。

目測式で撮っているので、大幅に後ピンとなりました。
でも、イギリスのレンズらしく、
とってもシックではありませんか?
by Sha-sindbad | 2011-11-23 18:44 | Sp.Anastigmat15/1.5 | Comments(2)

155 紅葉 (パンタッカー35mmf1.8持つと、別のものが見えてくる)



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どんなレンズを使っても、
見事にご自身の作品を創造する写真家がいます。
レンズは道具、筆であって、絵を描くのは、道具の使い手、
というわけです。

私の場合、レンズが主体、
私は使わせてもらっているという関係。
ですから、レンズごとにまるで違う写真になります。

パンタッカー35mmf1.8はおそらく戦前の映画用レンズ。

得体の知れない筐体に包まれて、我が家に到着しました。
まるで、風雨の夜、蓑に身を包み、深く傘をかぶって転がり込んだ、
股旅者という風情でした。
「ごめんなすって!」という渋い声が聞こえて、
傘を取り、蓑を脱ぐと、なんとも無骨なずんどう野郎。
でも、歌を歌うと、なんともニュアンス豊かな調べ。

今回は、路傍のタタキの割れ模様を撮ってみました。
最短撮影距離60㎝程度でしょうか?
私には、なんとも面妖なイメージが浮かび上がるのですが、
これは私の内面が生み出す、心の反応でしかありません。

これがどう見えるかは、あなたにお任せします。
by Sha-sindbad | 2011-11-21 11:13 | PanTachar35/1.8 | Comments(6)

154 紅葉 (ズミクロン50mmf2は第1バージョンで完成していた!)



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ズミクロン50mmf2の開放描写をご覧下さい。

奈良町の呉服屋さんのショーウィンドウ。
羽織でしょうか、美しい着物にピントを合わせました。
ライカM9のファインダー上では、
ショーウィンドウ内のすべてにピントがあった感じで、
ガラスの映りはもっとぼんやりしか見えません。
写真にすると、こんな風に茫漠たる空気感。

ライカM9は、シャープネスをオフにしてあるので、
きちんとピントは合っていますが、
銀塩とあまり変わらない柔和な表情を見せてくれます。

良いレンズですね。

1957年製、つまり、半世紀前のレンズですが、
この時代の描写で十分だったのではないでしょうか?

あらゆるメーカーが、征服者と同じ立場に置かれます。
あるとき、最高のカメラ、最高のレンズを作ってしまう。
これで完成、もうあとはこれを売って暮らせばよいのです。
でも、ユーザーがそれを許しません。
株主もそれを許しません。
屋上屋を重ねて、さらにこれを超えるものを生産し、
売らなければならないのです。
前の製品よりも優れている、そう宣伝しなければならないのです。

でも、美しい写真を撮りたければ、
昔のものの方がよいのです。
この写真を見ると、つくづくそう思うのですが..............
by Sha-sindbad | 2011-11-20 18:24 | Summicron50/2 | Comments(2)

153 紅葉 (アンジェニュー28㎜f2.5は雨の日でも極上の味わいで)



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昔から、正真正銘のぼけレンズとして名高かったのが、

    アンジェニュー28㎜f2.5

要するに、ほわほわぼけぼけで、幽明の境地、
そう言われてきました。

畏友がこのレンズを持っていて、やはり同じ印象をもっていました。
ある日、考えました、
もう手放そう。
そのとき、頭をかすめました、
だけど、手放す前に、ほんとにどうしようもないボケレンズか、
もう一度確かめてみよう。

宇治に行って、これが最後と心に言いきかせて、撮ったのです。
できあがってきたネガフィルムとそのLサイズプリントを見て、
腰を抜かすほど、驚きました。
なんだ、なんだ、どこがボケレンズなんだ?
見事なグラデーションで、上品上質な再現性に目を見張る思い。

使い続けてみないと、
気合いを入れて撮ってやらないと、
レンズの真価は分からないものですね。
それとも、熟成が起こったのでしょうか?

クラシックカメラ店に行くと、よく常連さんが屯しています。
みなさん、使ってみたことのないカメラ、レンズはないほど、
くわしいですね。
そして、あのレンズはこうだ、このレンズはこうだと、おっしゃいます。

私は、その言葉を頭から信じていません。
どれだけの技量、才能、感性のある方が、どれだけ使い込んだか、
その確かな情報がない方の言葉は信用しない方がいいようです。
よく聞きますと、1本撮っただけ、という方がかなりおいでになるのです。

おっと、私もまた、そんな状態でものを言っているようですね。
私の言葉は信じないようにしてくださいね。

さて、今回は、そのアンジェニュー28㎜の雨の写真。
今日は、本当は、コンサートに参加する予定だったのです。
でも、家族のスケジュールの都合で、当然ながら、私が留守番に。
今日は、朝からかなり強い雨。
私の一番大好きな、写真日和なので、
せめて写真でも撮ろうと、30分だけ散歩に出ました。
その一枚。

アンジェニュー35㎜f2.5という超名レンズがありますが、
とてもよく似た味わいを感じます。
コクがある、そんな感じ。
by Sha-sindbad | 2011-11-19 17:59 | Anjenieux28/3.5 | Comments(4)