レンズ千夜一夜

カテゴリ:Planar85/1.4( 7 )

8.7プラナー85mmF1.4 「7 プラナー85mmF1.4に、少年が近づいてきた」-完-


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パキスタンでは、毎日、早起きをして撮影しました。

どこの村だったか、忘れましたが、
道に立っていると、少年が一人、静かに歩いてきました。

これは一種の対決。
私は、少年がこの位置に近づく直前に、
ヘリコイドリングをほぼこの位置に合わせ、
少年がこの位置に来た瞬間、カメラを持ち上げ、
素早くフォーカスして、シャッターを切りました。

一枚だけ。

今の人だったら、連写するでしょうね。
コンタックスRTSⅡにはもちろんモータードライブなど入っていません。
私は、この位置と決めたら、ここで撮る、そう決めています。
当時は、そうしないと写真の感覚が身につかない、と考えていたのです。

人に見せますと、こう言われました、
「もう2、3歩前に来てから撮った方がよかったですよ」
左の木とのバランスから、黄金分割の位置にもってくるべきだった、
そうおっしゃりたかったのでしょうか?

私は、今も当時も、ずっと「日の丸構図」一辺倒。
撮りたいものをまん中に、これをモットーにやってきました。

ですから、そう言われても、
「そうですねえ」とは言いかねたのでした。

やっぱり、自分の撮りたいように、撮りたいですね。



 
by Sha-sindbad | 2011-06-19 00:11 | Planar85/1.4 | Comments(0)

8.6プラナー85mmF1.4 「6 プラナー85mmF1.4は山を近づける魔法のレンズ」


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1989年は、モノクロームを撮っていた最後の頃です。

当時、かなりの割合で、85㎜と180㎜、
この2本の長焦点レンズを多用していました。

今では、ほとんど使いません。
長い玉もほとんど持っていません。
例外がタンバール90mmF2.2とバルター75mmf2.3でしょうか?

どうしてこんな風に変わってしまったのか?

被写体との距離が変わってしまったのです。
離れれば離れるほど、よそよそしい。
私の当時の写真を見ても、それが分かります。
他人行儀。

もっと生の記憶が欲しい。
被写体の方から近づいてくることなど期待できないのですから、
こちらから近づくより仕方がありません。

なんだか、マホメットのような気分。
山がこちらにこないなら、こちらから山に行こう、
というわけです。
by Sha-sindbad | 2011-06-17 19:39 | Planar85/1.4 | Comments(0)

8.5プラナー85mmF1.4 「5 プラナー85mmF1.4は使いやすいレンズ」

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近ごろは、ズームレンズが主体となっていて、
撮影者は、自在にズーミングすることでしょうから、
焦点距離はあまり意味がなくなっているかも知れません。

私のように、ズームレンズを一切使わない人間には、
焦点距離は、大げさに言えば、死活の問題。

長焦点で面白い現象があります。
ライカ系は90㎜なのに、ツァイス系は85㎜なのです。

どうして、こんな風に特化されたのか、不思議ですが、
私にとって、この差はとても重要です。
というのは、たった5㎜の違いなのに、使い勝手がまるで違います。

85㎜の方がずっとずっと使いやすい。
切り取りが得意な方なら、別の意見になるでしょう。
私の場合は、囲い込みが好きなので、
たった5㎜の差でも、ぐっと広く撮れる感じがしてしまいます。

ちなみに、二眼レフのローライでも事情は一緒です。

圧倒的に人気が高いのは、プラナー85mmF2.8。
でも、私は圧倒的にプラナー75mmF3.5を支持します。
猛烈に撮りやすいうえ、
開放の味わいがまるっきり違います。
75mmの方の写りの方が、きりりと締まり、きらりと輝くのですから。

でも、私が80㎜を使ったのは、随分昔。
当時は、常に絞って撮っていました。
ひょっとすると、85㎜の方をf3.5に絞ったら、同じ写りかも?
by Sha-sindbad | 2011-06-16 19:27 | Planar85/1.4 | Comments(4)

8.4プラナー85mmF1.4 「4 プラナー85mmF1.4はpeacefulなレンズなのです」



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昔、日本カメラだったでしょうか?
画質チャートでレンズの特性を表現する方法をとっていました。

年1回、レンズ白書のようなものを発行してくれて、
繰り返し繰り返しチャートを比較吟味したものでした。

おかしなことに、
画質の数値は日本製がドイツ製をはるかに超えていました。
でも、コンタックスレンズはあまり大したことのない数値なのに、
実写は他社のレンズをはるかに凌駕していました。

85㎜にしても、プラナーは、
ニコン、キャノンの同種レンズよりも数値は低く、
シャープネスも劣っているのに、
写真ははるかに上質でした。

フレクトゴン35mmF2.4がそうだったように、
ぜんぜん尖ったところがなく、ナチュラルだったからです。
by Sha-sindbad | 2011-06-15 20:39 | Planar85/1.4 | Comments(0)

8.3プラナー85mmF1.4 「3 プラナー85mmF1.4は朝の清涼感も撮れるレンズ」

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今、私は一眼レフのファインダーをのぞくことがほとんどありません。

ファインダーをのぞいて、構図をチェックする、
この手順が私の気持ちを削いでしまう、そんな感じがするからです。

心の中に、写真はこんな風に撮られるべきだという規格をもっている限り、
実際には、ファインダーをのぞくか、のぞかないか、など、
問題ではないのに。

捨てるべきは、一眼レフではなく、
心の中にある、この頑固な規格だったのです。

しかし、実際には、なかなか捨てられるものではありませんね。
今でも、まだ陳腐な写真観が私を支配している感じがします。

1989年、パキスタンをキャンプツアーした当時、
私は、そんな規格が自分を縛り付けていることなど、気付かないまま、
幸せにも、プラナーの明るいファインダーイメージに酔いしれていました
by Sha-sindbad | 2011-06-14 20:14 | Planar85/1.4 | Comments(2)

8.2プラナー85mmF1.4 「2 プラナー85mmF1.4は極上のナンのようなレンズだった」


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20年ばかり前、パキスタンをジープ旅行しました。

バッグの中に、コンタックスレンズが4本。
35、50、85、180。
当時は実に定番のレンズばかり使っていたわけです。

一番沢山使ったのは、プラナー85mmF1.4。
たいてい2.8に絞りました。
開放からf2の描写を私は信用していなかったのです。
でも、f2.8に絞りますと、もう最高でした。

クラシックレンズの使い方として、よく言われることは、
開放から2段絞りなさい。
たいていのレンズ、2段絞ると、
シャープネス、コントラストいずれもベストになるようですね。

今回の写真は、アフガン難民のナン作りの男。

厳しく、悲しみ溢れる表情ですが、
焼きたての30㎝ほどもある円い分厚いナンのお味は最高でした。
カレーもいりません。
ただ、ナンだけで、心の中まであたたかくなるようでした。

思えば、このプラナーも、このナンのようなレンズでした。
by Sha-sindbad | 2011-06-13 22:33 | Planar85/1.4 | Comments(3)

8.1プラナー85mmF1.4 「1 プラナー85mmF1.4は全天候型なのだ」


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プラナー85mmF1.4。
私にとって、思い出のレンズです。

標準レンズ付きヤシカコンタックスで本格的に写真を始めて、
最初に手に入れた交換レンズ、それがこれだったのです。

直径65㎜もある前玉の美しさにまず魅せられました。
カメラに付けたときのバランスもとてもよく、
ファインダー画像のクリアーさも特筆ものでした。

私が写真を始めたときは、ズームレンズなどほとんどなく、
あっても、性能が格段に落ちる時代。
そんな時代の寵児が、このレンズでした。
林忠彦さんが愛用したことも手伝って、
ポートレートに風景に、これこそ万能と言われて、
かなり沢山の人が使ったようです。

まず、ごらん頂くのは、中国旅行でのスナップ。

杭州の動物園前。
突然襲来した夏の夕立。
私たち一行は土産物店に逃げこみました。
道を隔てた動物園入口付近の人々は、
チケットオフィスのわずかな庇の下にひしめきました。
ぼんやりとした見えないほどの激しい雨でした。
by Sha-sindbad | 2011-06-12 21:55 | Planar85/1.4 | Comments(2)