レンズ千夜一夜

カテゴリ:CineVelostigmat25/1.( 5 )

9.5 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「4 ヴェロスティグマート25mmf1.5は風格も出してくれる」


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全部開放で撮っています。

いろいろな絞りを試すと、
違った顔を見せてくれるでしょう。
でも、絞って、しっかりとした描写をするのであれば、
35㎜カメラ用レンズで十分。

とにかく柔和に、
しのびやかに、
そして、デモーニッシュに、
出会った光景を映画のシーンに変容してくれる、
そんな撮り方をしたいですね。

そこで、選んだ方法。
ひとまずは、開放一点張りで撮っています。

金網越しの枯れ木を撮りましたが、
金網が消え、
幹は賢者の風格を漂わせてくれました。

これでいいのです。

ヴェロスティグマート25mmf1.5って、
かなりの優れものではありませんか?
by Sha-sindbad | 2011-06-23 17:49 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.4 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「4 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしのびやかに」


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シネレンズを使っていますと、
「風姿花伝」の世阿弥の言葉を感じます。
秘すれば花なり
秘せずば花なるべからず
近ごろのレンズには、これがありません。
とにかくよく写る、みんな写る、どこまで写る。
写れば写るほど、私の心からは遠ざかります。
ヴェロスティグマート25mmf1.5って、とにかく写りません。
霞をかぶったようです。
でも、その茫洋たる画面の中から、
ふんわりと浮かび上がってくるものがあります。
私にはそれが「花」に見えます。
by Sha-sindbad | 2011-06-22 21:57 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.3 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「3 ヴェロスティグマート25mmf1.5はしっとり系」


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このレンズ、オークションで1万円ちょっとでした。

ことさら入手価格のことを申し上げるのは、
クラシックレンズの場合、価格と値打ちとは必ずしも比例しない、
そう言いたいからです。

もちろん、とくにレンズの場合、
価格が高いものは、名レンズ故の人気のせいでしょう。

でも、クラシックカメラの市場価格というのは、
写真を撮りたいユーザーが作るのではないようです。
ディーラーとコレクターが決める。
その場合、稀少性、話題性、ネームバリューがキーポイントでしょう。

美しい写真が撮れるということは完全ならち外。
これには当然の理由があります。

「美しい写真」とは何か?
人によって、ぜんぜん違うのですから。

とりわけ、私のように、
きたない、きれいの基準が人とずれている人間にはとても好都合。
人が、ちゃんと撮れない駄目レンズと烙印を押しても、
私の写真にはぴったり適合しているかも知れないのですから。

このヴェロスティグマート25mmf1.5というレンズ、
でも、オーソドックスな美の観点から観ても、
かなり美しい開放描写をするレンズなのじゃないでしょうか?

もちろん周囲は暴れていますが、
暴れ方もかなりおとなしく、中央の描写を邪魔していませんね。
今回の写真、私が感じたそのままを描写してくれました。

しっとりとした気持ちで撮りたいときには、
このレンズがよいかも知れませんね。
by Sha-sindbad | 2011-06-21 20:21 | CineVelostigmat25/1. | Comments(2)

9.2 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「2 ヴェロスティグマート25mmf1.5は空気が撮れる」

シネレンズを使えば、使うほど、分からなくなってきます。

一体、レンズの性能って、なんなのだろう?

友人が1993年12月アサヒカメラ増刊号の対談記事を送ってくれました。

東大の小穴教授、
「私どもの言う理想のレンズとは、
ひとつの平面上の図形が、ひとつの平面に忠実に結ばれるものですね」
つまり、テストチャートを写して、前面が非常によいピントであることが理想。

これに対して、木村伊兵衛が反論します。
「ライカのレンズはチャートになると駄目なんですよ」

小穴教授、
「ですから、いいレンズと言っても、私たちが言う、いいレンズと、
木村さんが女の人を写す場合の、いいレンズとは、違うんです」

でも、そうだとすれば、いいレンズというのは、
撮りたいものをちゃんと撮ってくれるレンズなのですから、
テストチャートとは無関係ではないか、そう思えてきます。

小穴教授は、レンズ作りの立場から反論します、

「あらゆる場合にいい結果を得ようとしたらば、
やはり平面にピントの合うやつでないと、融通が利きません」

でも、木村伊兵衛は、まったく動じないで、有名な言葉を吐きます、

「ライツのレンズは、チャートを移動すれば、今まで崩れていたものが
合ってしまったり、いろんなことをするんです。
立体を撮るには、完全なレンズで撮るよりも、
デッコマ、ヒッコマのあるレンズで撮る方がいいんですよ」

編集員が、例のとおり、取り持ちを買って出て、口をはさみます、
「いい場合もある、って言う訳でしょう?」
木村伊兵衛は、さすが大写真家、ちらっとも揺らぎません、

「そうじゃないんだ。
その方がいいんです。
風景だって、そうです」

なぜか?
小穴教授は、「あらゆる場合にいい結果を得よう」という前提を置きますが、
一本のレンズであらゆる場合にいい結果を得ようなんて考える必要がありますか?
万能のレンズなど、幸せの青い鳥みたいなものです。
無理に探したいと思う人は、探せばよろしい。

でも、特殊な写真を撮る人間にとっては、
ある特殊な状況、特殊な被写体を、他のどのレンズよりも凄く撮ってくれる、
そんなレンズがあれば、それが一番。

自分の撮りたい状況、撮りたい写真をしっかりと見極めて、
それに最高のレンズを探すのが、最善なのです。

シネレンズはまさにそれ。
このヴェロスティグマート25mmf1.5なんて、
テストチャートにかけたら、破壊的な結果でしょう。
でも、それがどうした、そう言いたいですね。
こんな風に撮ってくれるのであれば?


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by Sha-sindbad | 2011-06-20 14:47 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)

9.1 シネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5 「1 ヴェロスティグマート25mmf1.5は柔和」


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ウォーレンザックのシネ・ヴェロスティグマート25mmf1.5。

メイヤーのプリモプラン、キノプラズマートにかなり似たデザインの、
いかにもよく撮れそうなシネレンズです。

1930年代に作られたBolex 16mm用のレンズだったそうです。
とても廉価なレンズでしたが、
触ってみて、驚きました。
とてもしっかりと作られ、持ち重りのするレンズです。

撮ってみて、驚きました。
大口径だけに、レンズも、キノプラズマート風に大きく、クリアー。
そして、開放でも、像が緩むということはありません。

映画用レンズの能力にますます驚いています。



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by Sha-sindbad | 2011-06-19 20:07 | CineVelostigmat25/1. | Comments(0)