レンズ千夜一夜

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55 森 (テッサー105mmF3.5は時を超えて思い出を運ぶ)



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白状しますと、私は写真を始めたのと同時に、
クラシックカメラ愛好者になったのです。

学生の頃から写真は好きだったですが、
ある日突然、写真をやろうと決意しました。
そして、大阪阪神百貨店の中古カメラ市に出かけて物色したのです。

購入したのは、クセノタール75mmF3.5付きローライ二眼レフ。
予約をした帰り道、ちょっと心配になって、
老舗のツカモトカメラに立ち寄り、相談してみました。

ベテランの店員さんの忠告はこうでした、

    「クセノタールもええレンズです。
     そやけど、その内、どうしてもプラナーが使ってみたくなります」

結局、ローライはあきらめ、スーパーイコンタをいう6×9判を手に入れました。
そのカメラについていたのが、このテッサー105mmF3.5。

手品の箱のように、面白いがっしりとした作りのカメラでした。
レンズ底蓋のボタンをずらすと、ニューッとレンズ本体が飛び出てくるのです。
このレンズ本体部が完全に出きったときに、かちりと決まる剛性感にしびれました。
まるでドイツ!

テッサー105mmF3.5も気に入りました。
しっかりとした、まさに質実剛健を画に描いたような写真が撮れました。

でも、3年後、あるプロの写真家に見せたところ、こう言われたのです、

    「ハッセルのプラナーなら、もっと柔らかく、
     もっとグラデーションよく撮れます」

どこまでもつきまとうプラナーの影!

こんな風に「上には上がある」のが、レンズ世界ですね。
結局、ハッセルに憧れて、500CMに移行してしまいました。
でも、私は結局、ハッセルのプラナーの冷たさに飽き足りなくなって、
あたたかい発色のプラナー75mmf3.5付きローライにたどり着きます。

クセノタールもプラナーと区別がつかないほどの名レンズ。
なんのことはない、ぐるっと輪を描いて、振り出しに戻ったわけです。

しかし、だから、バカなことをしてきたと言うべきでしょうか?
    そうは思いませんね。

それぞれのフェイズで、しっかりと納得し、自分で使い込んでみて、
移行してゆくのであれば、それは時間の無駄ではなかった、
    私はそう信じたいのです。
by Sha-sindbad | 2011-08-07 14:02 | Tessar105/3.5 | Comments(0)