レンズ千夜一夜

2017年 09月 05日 ( 1 )

1871 奈良春日山(2017年8月22日クセノン50㎜F2.8が古代の息吹を)2 軽い石段


私の写真の師匠は江戸っ子の写真家田島謹之助さん。
落語の巨匠たちにポートレートを撮り続けて、
落語家の立川談志さんにその全作品をフィルム毎贈呈し、
談志さんはそのポートレートを使って、
「談志絶倒 昭和落語家伝」を書きました。

今でも売れています。
アマゾンの写真家紹介文を引用しましょう。

  「写真家。一九二五(大正14)年、東京に生まれる。
  子どものころから写真と寄席に夢中となり、
  戦後は日本の原風景を撮り続ける。
  二十代のとき、叔父と親しかった人形町末広の席亭に頼みこみ、
  一九五四(昭和29)年から一九五五(昭和30)年にかけて、
  人形町末広の高座と落語家の自宅を集中的に撮り続ける。
  その数は二千を超え、
  現在でもフィルムのほとんどが変質することなく残されている。」

正真正銘の江戸っ子でした。
シャイで謙虚で、その癖、率直。
そして、ダンディ。

90以上あるコメント欄から拾ってみました、

  「写真が素晴しい。
  まさにその時の落語が蘇る写真。
  落語家ってこんな顔なのだ...と新たに認識した写真。」

  「写真がまた良い。立川談志さんの批評・解説も絶妙ですが、
  これだけの写真も貴重な資料でしょう。
  個人的にはもっと(保存されているらしい)写真を
  拝見したくなります。」

  「貴重な写真の数々に、まずは圧倒されてしまいます。
  まさに黄金時代」

この田島さんの自選の最高傑作2枚の内の1枚は、
「鎌倉建長寺の石段」
ライカM5の使い手でしたが、
長焦点レンズだけはキャノン85㎜F1.9を愛用。
1年間通い続けて苦心惨憺した末に撮れたとのことで、
時代と人々の気配を立ち上らせる入魂の傑作でした。

石段に出会う度に、田島さんのこの傑作を思い出します。
でも、私は、田島さんのような撮り方はしません。
できないのですが、それと言うのも、
私のロボグラフィは一瞬の「一期一会」を記録するだけで、
記憶ではあっても、写真的創造の産物ではないからです。

今回は石段たちをどっさりごらん頂きましょう。
クセノンが質感をしっかりだしてくれています。
開放で撮ったとは思えないほどに、厚みがあります。
でも、刹那のすれ違いで出会った、ただそれだけ。

石は重いけど、私の写真は軽い。




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by Sha-Sindbad | 2017-09-05 11:51 | Xenon50/2.8 | Comments(0)