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レンズ千夜一夜

1378 机の陰に(ペッツヴァールとホロゴン15㎜F8Mが書斎で少女を見つけた)


昨日のことです。
書斎で机に向かっていました。
ふっと横を見ると、
机の影に女性が一人、
本当にその場に居るかのような立体感で浮かびあがりました。

よく見ると、フェルメールの「レースを編む女」、
ペッツヴァールの画集の裏表紙でした。
刺繍台が立体的に浮かび上がり、
その向こうに刺繍をする女性(少女でしょうか?)。
本当にその場に居るようなのです。
この後、今もそうなのですが、いくら見直しても、
そこにまだ居て、せっせと刺繍仕事をしている!

そこで、ソニーα7を取りだして、
私の現在のお気に入りレンズ2本で撮影しました。
1枚目がペッツヴァールSVE100mmF2.9
2枚目がホロゴン15㎜F8M
どちらも各レンズの最短撮影距離です。
やっぱり臨場感、立体感十分ですね。

私の知る限り、カメラ・オブスキュラを使った証拠となる、
美術史上数少ない画像の一つです。
一番こちら側の刺繍糸が前ボケを見せているのです。
ところが、少し離れて観ますと、
ボケているように見えるのではなく、
女性よりも糸の方が、観ている私にぐっと近い、
そう見えるのです。
つまり、写真においてもボケの一番の効果である立体感が、
絵の中で実現されている。

私が現実に原画を観て確認できたことは、
この絵と「牛乳を注ぐ女」の2枚は、
アウトフォーカスした光点を丸く浮かび上がらせたり、
刺繍糸やパンの表面を点描で描いたりして、
まさに印象派の技法を使っているということでした。

こうした技法は、カメラ・オブスキュラを使うことで、
フェルメールが、肉眼ではとても起こらないような、
レンズの視覚効果を自分の目で確かめ、
これを絵に活かそうとしたことを表しています。

日本人で、こんなことを言う人がいました、
「フェルメールなんて、
日本人だけがもてはやすだけで、
ヨーロッパでは二流の画家に過ぎない」

私の知る限りでは、
彼を最大限の評価をするヨーロッパ人はいくらでも居ますし、
第一、彼の絵をじかに観たら、彼がどんなに偉大な画家であるか、
一目瞭然なのに、なんだか向こう受けだけを狙った発言じゃないの、
そんな風に感じられました。

私にとっては、彼は奇跡の画家です。
我が家ではからずもそのことが再確認できた想いで、
幸せ。




1378 机の陰に(ペッツヴァールとホロゴン15㎜F8Mが書斎で少女を見つけた)_b0226423_2364157.jpg
1378 机の陰に(ペッツヴァールとホロゴン15㎜F8Mが書斎で少女を見つけた)_b0226423_2363579.jpg




    [後書き]
      そして、付け加えますと、
      今回の2枚、
      しかるべき位置で撮ると、
      超広角レンズも望遠レンズも同じような画像になる、
      ということの証拠となる作例、そんな風に思えます。
      いかがでしょうか?

 
by Sha-Sindbad | 2015-07-31 23:09 | PetzvalSVE100/2.9 | Comments(0)