1359 見慣れぬ街(どこに行ってもダルメイヤー25㎜F1.9は手堅く働き)
一つ、おかしな理論を紹介しましょう。
と言っても、たった今思いついた自説。
たいていの男性は、ストリートスナップができません。
なぜか?
階級差のある社会で生きてきたからではないでしょうか?
たとえば、銀行員。
長年、人を見れば、顧客か上司。
どちらか分からないときは、顧客か上司として対処する。
けっして目下の人としては扱わない。
顧客か上司を目下の人として扱ったとしたら、悲惨ですね。
だから、人に接するときは、とりあえずうやうやしく丁寧に、
という癖がついてしまうのではないでしょうか?
そうすると、路上、初対面の人に出会って、
いきなり撮影してしまう、なんてことがなかなか難しくなる、
ということではないでしょうか?
昔のことです。
ある超一流企業に超エリート大学出身の男性が入社しました。
初めて出社して、エレベーターに乗りました。
余裕を見せるために、やおら煙草に火をつけました。
運良くか、それとも運悪くかは立場で決まりますね。
財界にその名を知られた会長が偶然乗り込んできました。
堂々たる貫禄で、人には頭を下げない御曹司。
俺はエリートなのであると慢心する新入社員、
自社のトップである会長様の顔に向かって、
悠然とタバコの煙を吹きかけたのだそうです。
激高する会長様、平然と見返す新入社員、絵になる光景ですね。
本当にあったお話。
この事件がきっかけになって、
社員の人間性向上の教育が必要であると判断した会長、
大学で心理学を研究している私の親友を急遽選抜して、
エリート社員の人間性をたたき直す教育機関「人間関係研究所」
の所長に据えたのですから。
実のところ、私はこの新入社員にかなり近いのです。
超エリート大学を出たわけではありません。
「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」という言葉、
日本国憲法の基本的人権をまともに信じていたおかげで、
生涯、誰にも頭を下げない、
そのせいで、いわゆる出世に無縁の人生でも、一向に構わない、
そう考えて生きてきたからです。
あれこれ理屈をつけるまでもなく、生まれつきの性格だったのでしょう。
そのままの状態で生涯を暮らすことができました。
おかげで、ストリートを歩いても、誰にも頭を下げない。
日本国憲法の表現の自由もまともに信じているから、
路上で写真を撮ることは、純粋な写真行為である限り、
誰にも遠慮する必要はないと本気で考えているので、
一度も遠慮したことがない。
もちろん相手が気付いているのに、面と向かって撮る、
なんてことはしません。
カメラに気付いている人を撮っても、なんにも面白くない、
そう考えているからに過ぎませんが。
でも、どんなところでも平然としていると、案外気付かれないし、
気付かれても、文句を言われることもありません。
写真人生で文句を言われたのは数回でしょうか?
いずれもちょっとの言葉のやり取りだけ。
私があまりにも平然としているので、すぐ終わりました。
今では、スナップはほとんど撮りません。
写真作品を目指すことがなくなったからです。
今でも人間は撮りますが、
常に路傍で出会うものたちのロボグラフィとしてだけ。
撮りたい人間に出会うことも減ってしまったせいでしょう、
そのせいもあるかも知れません、
ストリートフォトグラファーに出会うこともなくなりました。
寂しいですね。
by Sha-Sindbad
| 2015-07-01 22:55
| Dallmeyer25/1.9
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