レンズ千夜一夜

1264 清爽 (メオスティグマート50㎜F1はやっぱりペッツヴァールだった?)



前回の記事にとても嬉しいコメントを頂きました。
ペッツヴァールの大先輩、中将姫光学さんからです。
あんまり嬉しいので、そのまま本文に移させて頂きます。

    キングスレークの本を見ると、
    ペッツバールの人物用レンズとしての記述の後に
    プロジェクターレンズなどのバリエーションの紹介があります。
    F1レンズはふたつ構成図が出ていて、いずれも6枚ほどの構成なので、
    これらのレンズと同様か変形の可能性はあるかも知れません。
    先日書かれていたようにスティグマートは非点収差を補正したという意味なので、
    おっしゃるようにペッツバールタイプではないかも知れませんし、
    像面フラットナー使用のペッツバール型かも知れません。

さっそくキングズレークの「写真レンズの歴史」に飛びつきました。
50、51頁に記載がありました。

    1873年、C.ピアッツィ・スミスという人が、
    通常のペッツヴァール型人物用レンズの非点収差と像面湾曲を
    取り去る方法を発見した、というのです。
    難しいことははしょるとして、
    ペッツヴァールは、2枚組み合わせのレンズ群が2つ、
    かなり離して向かい合う形になっているのですが、
    この2群の距離を狭くして、後方にもう1枚レンズを置くことで、
    平面性をよくする「像面フラットナー」を付加したのです。

    さらには、コダックは前方の本来の2群の間にレンズを1枚置いて、
    F1の明るさを達成した、プロジェクション・エクターを開発。

というのですから、中将姫光学さんの示唆はかなり有力。

    メオプタはまさにこのプロジェクター用レンズを製造するにあたり、
    このレンズを参考にしたことはかなりありそうなことです。

ただし、ちょっと気になるのは、
キングズレークがエクターの開発を「最近」と記載していること。

    「写真レンズの歴史」の出版は1989年のようです。
    とすると、その時点から見て「最近」となると、1980年代では?
    当然国際特許を取っていたでしょうから、
    メオプタのようなチェコの会社が高い版権を出して使うのも考えにくい。
    巧みに改良を加えて、独自のF1レンズを作ったのかも知れません。
    (いずれにせよ、メオプタが先に作ったら、当然特許をとったでしょうから、
    キングズレークはその方も記載したでしょうから、先ではなさそう)

もっとも、F1のような超大口径レンズの設計はほかにもあるようです。

    でも、プロジェクター用にはかなりペッツヴァールが利用されているようです。
    画像がいかにもペッツヴァールを思わせる清らかさに溢れていることも、
    忘れることができません。

こんなことをいろいろ考え合わせると、私としては、

    像面フラットナーを付加したペッツヴァール系の可能性が高い、
    ひとまず、そう結論することにします。

その証拠写真を6枚、ご覧頂きましょう。

    これらの写真を眺めていると、メオスティグマート50㎜F1は、
    やっぱりペッツヴァールなんだ、そういう思いがこみ上げてきます。




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[後書き]
最後の2枚は自宅。
我が家の長女(猫ですが)です。
こんな美女にペッツヴァールが似合いますね。
by Sha-Sindbad | 2015-02-20 14:09 | Meostigmat50/1 | Comments(2)
Commented by 中将姫光学研究所 at 2015-02-21 01:05 x
またしてもスミマセン。大目に見てください。
レンズのことは、わたしにはこれ以上わかりませんが、ボケについて少々。
ひとつのレンズでも円周ボケと放射ボケの両方が条件次第で出るレンズがあります。
フォーマット外で使うからということだと思いますが、ペッツバールは像面湾曲で設計者もそこまで見ないからでしょう。
このあたりの研究は、kinoplasmatさんが真骨頂ですので、ぜひ読んでみてください。
また、kinon superior50mmF1.6レンズの例を見ると両者のボケを見ることができます。
Commented by hologon158 at 2015-02-21 10:41
kinoplasmatさんのサイトで分かることは、ボケは条件次第で波瀾万丈に変化する、ということのようですね。
kinon superior50mmF1.6、素敵なレンズですね。
作例を全部見ましたが、これもかなり千変万化という感じですね。
それに、ペッツヴァールだからと言って、
いつもぐるぐるボケが出る訳ではないのは、
中将姫光学さんのサイトの写真群でよく分かっています。
ただ、私のメオスティグマート50㎜F1の場合、
売り手によるソニーNexマウントを使って、
しかも、絞りは開放だけ、と、売り手と買い手が同一条件で撮っているのに、
私の千枚ほど、バックはさまざまなのに、
どこにもぐるぐるボケが出ないのは未だに理解できません。