レンズ千夜一夜

1251 呑み屋横町で (キニック25mmF1.5は空気感をたっぷりと出してくれる)





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裏ぶれたただのおっさんという風情。
でも、話し始めると、どこか腰の据わった話し振り。
その内容も、なんでもないように見えて、深みがある。

    その御仁が立ち去る後ろ姿を見ながら、
    側に居た人がこう教えてくれる、
    「あの人、ああ見えても、実は詩人で、
    十冊以上も詩集を出して、国際的にも名の知られた人なんですよ。
    でも、絶対に偉ぶったりすることのない人なので、
    このあたりではとても敬愛されている人なんですよ」

そんな情報に接すると、にわかに印象が変わってきて、
さきほどは、「ただのおっさん」じゃないかと思ったくせに、

    「やっぱりねえ、どこかただ者じゃない感じがしましたよ」
    なんて、にわかに尊敬の眼差しで御仁を見送る。
    そんなことがときにはあるものですね。

こう書きますと、あなた、考えていますね。

    「そう、なにを隠そう、ぼくもそんな人間なんだよ」、なんてね。
    でも、たいてい、それはただの独りよがりというものですね。

私にとって、これと似た体験をした思いです。

    ただのボロ廉価版映画用レンズと思っていたキニック25mmF1.5って、
    まさに由緒ある伝統を受け継ぐペッツヴァールレンズだった!

    そう考えますと、なんでもないレンズの描写が、
    この上もなく上等に見えてきたりしますね。

そんな評価が大方の賛同を得られるかどうかは二の次。

    クラシックレンズによる写真を楽しむ人間としては、
    こんな独りよがりができるのが、レンズとの付き合いの醍醐味。
by Sha-Sindbad | 2015-02-06 18:14 | Kinic25/1.5 | Comments(4)
Commented by petzval at 2015-02-07 21:36 x

Shaさん、
Cooke Kinicはペッツヴァール!
この情報を得てから、ShaさんのKinicのページを全部チェックしましたが、
やはりそうに違いありません。
私もKinic欲しいです!
でも、Dallmeyerより数が少ないみたいですね。
Dallmeyerもf1.5はやはり数が少ないみたいです。。。
これらのシネ・ペッツヴァールと19世紀のペッツヴァールと写りがどう違うのか?
(フォーマットの違いは当然ありますが)「同じ」と言っていいと思うのですが。。。
ヴァイオリンで言うなら、ニコラ・アマティがアマティ一族の「最高峰」とされてます。一代目アンドレア・アマティはもはや伝説の人、二代目アントニオ&ジロラモ・アマティももはや歴史です。どちらがどんな音だったなんて誰にも言えません! しかし、ニコラの跡継ぎである四代目ジロラモ(二代目と区別するためヒエロニムスとも呼ばれる)の楽器は少ないながら残っており「良い楽器だが、父親には及ばない」なんて評価されてます。
実際に四代目の楽器に触り、音を出した人は「父親に及ばないなんて、ウソですよ!」と言い切ります。
そりゃ、父親と息子は血がつながっているとはいえ、二人の別の人間ですから、きっと、音はどこか「違う」でしょう。でも、それは「違う」のであって「こっちは最高で、あっちはダメ」なんてことはないでしょう。
この作例、ペッツヴァールそのものじゃないですか!
恐るべし、オリンパスPENに付いたペッツヴァール!
Commented by Sha-Sindbad at 2015-02-08 01:40
petzvalさん
昨日奈良町で、かなりの枚数を2本で撮り比べてみました。
その結果はできるだけ近いうちに本ブログに掲載します。
実はまだ比較対照していません。
まさにストラディヴァリウスをブラインドで2本テストするような感じ。
と言うのも、使っていての感触は、どちらも凄い!
これに尽きるからです。
ペッツヴァールレンズにはまぎれもなくカインの印が付いています。
歴然と、ペッツヴァールはペッツヴァール。
そんな感じがしています。
でも、私の予測ですが、
曰く言いがたい違いがメラメラと立ち上って来るだろう。
そうでなくちゃ、おかしい。
同じペッツヴァールにしても、レンズ設計は微妙に、でも歴然と違うし、
組成ガラスも違うはず。
キニックもノンコーティングですが、おそらく7、80年ほども違うはず。
だから、違いがなきゃ、おかしい。
そんな感じがしています。
Commented by petzval at 2015-02-08 08:33 x


母子のポートレート。。。
ついに、本当の禁断の領域に。。。
美しい魂が写ってしまってるじゃないですか!
(こうなると予想してましたが。。。)
>キニックもノンコーティングですが、おそらく7、80年もちがうはず。
ローデンシュトックのこのレンズは1890〜1910年製。。。
宮崎さんはこう言っておられました。
実は、私も1860〜1880年製と思いたかった。。。
>だから、違いがなきゃ、おかしい。
たとえ1910年製だったとしても、1840年をひきずってます!
そして、1840年をひきずった1910年は、
本当の1840〜1880年への入口です!
ようこそ、魔物の世界へ!(笑)
ある時、私はこれに気づいて、
怖くなって、開店休業状態に陥りました。。。
(8x10をちょっと本気で考えていたんです。)
他の分野で十分ビョーキになっていたので。
とてもじゃないけど、時間が足りなかった。。。
というより、
熱意が、というより、熱意も才能も足りなかった。。。
Shaさんにはどちらもある!と判断しておりますので、
これからのさらなる魔物狩りに微力ながら協力させてもらいたいという決意をあらたにしてます!
Commented by Sha-Sindbad at 2015-02-08 22:38
petzvalさん
もうこうなりゃ、魔物の世界にぐんぐん突入しちゃうぞ!
そんな気持ちになっています。
もちろん才能があるからではなくて、
才能をカバーする猛烈な熱意でなんとかしのいできたから、
ペッツヴァール宇宙でもなんとか遊泳しちゃうぞ、というところです。
でも、いけませんねえ。
ますますうなされたような文章になっていきそうです。