618 奈良8景 (スピード・アナスティグマート25mmF1.5には独特の眼がある)
千住博さんは「絵を描く悦び」(光文社新書)の中で、
「道具の幅でしかものが見えない」とお書きになっています。
でも、これは、道具が絵を描く条件であることを踏まえてのことです。
たとえば、藤田嗣治さんは、顔と背景との境界をどう描くかという
西欧絵画の弱点である大問題を、日本画の面相筆を駆使して克服しました。
道具あればこそ、画家の個性が絵に描き出されるのですから、
道具は絵画の限界であるとともに可能性でもあるということなのでしょう。
この道理は写真にさらに強く妥当するように思えます。
今日は、オリンパスE-PL1にぼけレンズを付けて出勤しました。
ダルメイヤーのスピード・アナスティグマート25mmF1.5。
私の大好きなレンズです。
このセットを右腕で保持しながら道を歩いていると、
ふっと一つの思いが胸の内から浮かび上がってきました。
このレンズでないと見えないものが見えてくる!
お気に入りのレンズはレーダー探知機なのです。
いつも主として昼食の前後に撮ります。
ロボグラフィを撮る人間でないと、
あっという間に飽き飽きしてしまうほど、
いわゆるフォトジェニックなものなど何もない、
ただのストリート、路地です。
でも、出勤時は絶対にレンズを携行します。
飽きないからです。
そのレンズ好みのロボグラフィが道端からポップアップします。
今日は、とりわけそんな感を強くしました。
たった62枚しか撮れなかったのですが、みんなお気に入り。
スピード・アナスティグマートが見つけてくれたロボグラフィを、
8枚ごらん頂くことにしましょう。
by Sha-sindbad
| 2013-03-08 21:49
| Sp.Anastigmat25/1.5
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